ISBN:4596813523 新書 津田 藤子 ハーレクイン 2006/02 ¥700

36HRシリーズ2冊目読了〜。
さすがケイシー・マイケルズですな。なかなかよかったわ(^^)
そもそもこのシリーズ、「災害が本格的だった36時間」の間で話の起承転結をつけろ!!とかいう決まり事ではなく、その「36時間」、他にもある共通事項(1冊目で出た市長の死、失踪した花嫁、災害時に事故にあった子供、記憶をなくした男、タクシーの中で出産した女性など)を使って各作家がどうキャラクターを設定し、どう料理するかが競作シリーズの見所じゃないのかしら?

今回、ケイシー・マイケルズはシリーズのメイン部分に関係していない、一歩距離をおいたキャラクターと物語を用意していた。
もっともしっかり災害にあって、車ごと流された地滑りの被害者なんだが(^^;
ちょっとシニカルなユーモアセンスを持った毒舌思考ヒロインと、彼女の教え子の父親であるヒーローのやりとりが非常にクスクス笑えて、読むペースが落ちないんですよね。
いや、最初の豪雨の中を歩くヒーローを見てヒロインが細々とその姿を描写するのが笑えるんですってば!
・・・レインコートにレインハット、長靴に懐中電灯をベンツに用意している金持ちヒーローってどうよ?!(爆)
それを見て、宿敵であるヒロインが地団駄踏んでいるのが本当にかわいくって面白い。
こういうとっかかりだと勢いつきますね、読む方も。

学校で問題を起こすヒーローの息子ショーンがまた、ことのさんの青田買いスイッチをポチポチ押してくれちゃうし!(爆)
彼にとってはひどい母親の筈の、ヒーローの元妻もいい按配で心からは憎めないキャラにしてあってここらへんもマイケルズらしい。
家族のやり直し、新しい絆への一歩、過去へのこだわりの清算など足に地のついた、比較的地味なテーマばかりを絡めてマイケルズはペーソスあふれる良作として仕上げている。
ロマンスとしても、勿論「○」です。
よくある「好きな相手には喧嘩をふっかけてしまう」という子供のような二人だった、というのがだんだん明らかになっていく様は微笑ましいもんです(笑)。
このシリーズの1冊目を読まなくても、この作品だけ読んでもOK。
単独作品としてキチンと終わっていて、シリーズものとしてもリンクがあるがそれは軽いもので気になる程でもない。
こういう競作ばかりなら、食わず嫌いせずに初心者の読者にも読んでもらえるんだけどねぇ・・・(^^ゞ