マリアンヌ・スティリングスのデビュー作にて初翻訳本、読了~(^^)
楽しすぎ!! 何てツボ直撃でしょ!!!

今どき・・・ええ、本当に今どきと言っていい程の、分かりやすい設定から入ってます本。
実際に会った事のない、犬猿の仲の人気作家と編集者が、ひょんなことから直接対決する羽目になり、事件に巻き込まれ、喧嘩しながら恋に落ちる・・・という、古典的ロマコメ。
なのに、そのテンプレさを最大限に活かしたこの作家の素晴らしき、キャラ造詣術よ!

・・・同僚の死に対して負い目を感じて現場から遠ざかっている刑事兼作家のソルジャーと、母親との不和と父親への後悔の念から孤独に暮らす編集者エリザベス、偶然な出会いが何と言うか、運命のいたずらというか。
いや、もう、完膚なきまでの冒頭部分の毒舌っぷり!
普通なら、騒動になってもおかしくないのに、妙なウィットが炸裂して、あれやこれやの新展開?!みたいな(笑)。
よく、ことのさんが主人公たちの丁々発止を萌えポイントにあげますが、この作品に関しては、もう丁々発止を超越しているのだ。
恋人になる前から、というか出会う前からこの二人、ボケツッコミが炸裂していてとにかく抱腹絶倒もいいとこである。
ああ、台詞の掛け合い、脳内妄想へのツッコミなどなど、とにかく軽妙で楽しくって楽しくってポンポンッって跳ねるようなイメージかも。
それが、またエッチでポップでかわいいんだよね。

いや~、こうぶっちゃけた方が分かりやすい?

ヒロイン、ツンデレキターーーーーーッッ!! (核爆)

何なの?!本当に何なのっっ?!
あの最初の毒舌ツンツンっぷりと、その後にチラチラと出し惜しみ状態で続々出てくるきゅんきゅん系デレは何事?!
仕事Deki女でありながら、中味ピュアピュアなカワイコちゃんなのはどういう事っっ?!
ソルジャーでなくても、ギャップ萌え上等!! > びったんびったん

はぁ・・・いいわ。
このラブラブバカップルっぷりも納得してしまうぐらいのカワイコちゃんっぷりだもの!
それでいて、ストーカーに狙われ続け絶体絶命状態のラストの負けん気500%なのもコレキタ!!

脇役もとっても上手に配置されていて、特になまじ悪役でないが、その資格十分のエリザベスの母親の強烈キャラとか天晴れ。
あと、事故の後遺症で障害が残ってしまったが、とてもピュアなエリザベスの父親の、ソルジャーとの会話にはホロリときてしまった。
本当に、最近では時代遅れになっているような事を、愛しい娘の為にあえて口に出すあの場面はうるっとこずにはいられません。
ソルジャーの本気度もあがるってもんです。
あと動物キャラもバッチリで、チワワのピドル(この名前については本編をお読みになって爆笑して下さい)、いい味でっせ~♪
ストーカー事件そのものも、次から次へとの展開の中にしっかり伏線があったりして、とても上手い。
何より、しっかりロマンスを堪能させてもらって、あそこまでサスペンス部分も書いてるのが驚いた。
しかも、暗くなりがちのところをしっかりキャラ力でリカバリして、とても読みやすいものにしているから読む速度も落ちない。これはサスペンスには必須条件なので◎。

とにかく、最初から最後まで、楽しく堪能させてもらえた1冊でした(^^)
そんなに巷では話題にはなっていなさそうだけど、これは新刊買いして正解だったわ~♪♪
別に超能力やらバンパイアも出てこないし、貴族様たちの恋の駆け引きなんてないけど、代わりにロマンス読みとして少し初心に戻る事が出来た気がする。
ヒストリカルやパラノーマルに食傷気味の方、ラブラブバカップルものが読みたい方には是非とも♪

これ、スピンオフがあるんですよね~。
この中でも「あら、あらあらあら(*^^*)」ってサイドロマンスを展開している、ソルジャーの弟テイラーと、エリザベスの親友クレアの二人の話。
年下ヒーローものなのよね~、読みたいわ!
この本が売れて話題になったら・・・翻訳してもらえるかしら?
是非お願いします(-人-) > 出版社さま
エリザベス・ボイルの新刊、読了~♪
超お気に入り!!! > びったんびったんジタバタきゃーっっ(≧▽≦)

・・・いや、ホンマにこんなカンジで最初から最後まで、余りのカワユサに悶え苦しみながらも半面、余りのツボさに恍惚に耽って読んでました!(笑)
何かですね、「ああ、こんなかわいい作品があるからロマンス読みはやめられん」としみじみ思ったわ。
それぐらい、ことのさんにとってのメガヒットだった。

前作『過ちのキスは謎の香り』にて、強烈な印象を残した男爵令嬢フェリシティ(通称ダッチェス)。
前作のヒロイン・ミランダの教え子でもある彼女、あの作品の中で見事なまでの恋のキューピッド役を演じたのをご記憶かと思われます。
彼女の手には、あの「独身男性名鑑」が燦然と(笑)。
そして前作のヒーローでもある「いかれジャック」ことトレモント卿がある青年をダッチェスの旦那さん候補に推薦したのを覚えていらっしゃるでしょうか?

・・・何とこの話、あのたわいもない会話が全ての起源となっている、といういろんな意味でのスピンオフ作品となっているんですよ!(笑)
いや~、読み始めて「あれ?確かこの名前・・・(^^; 」と、すぐに前作を読み返しました(笑)。
まさか、あの彼が「公爵」になるとは!
作品中、フェリシティが口にしている「昨日の次男は、今日の跡継ぎ」を通り越して、三男(一家)の三男に生まれた男が、あれよあれよ、で公爵に!ってだけでも驚きなのに、公爵になる前から、前公爵の策略により花嫁候補(フェリシティ)が決まっている・・・うーん。勝手に祖父に許婚を決められるってのはよくあるが、女性側からの 自分を売り込むセールス手紙 によって、そのくだりが始まるってのは前代未聞(爆)。

とにかく、最初からすっかりフェリシティのペースにハマってしまっているのは、読者だけではなく、ヒーローである第十代ホリンドレイク公爵オーブリー(サッチャー)も例外でなく。
死んだ祖父が勝手に文通して許婚同様の扱いをしていた男爵令嬢の存在を知り、戦場から帰国した足で断りの会見の為、彼女を訪ねるところが冒頭近くにあるが・・・傑作。
従僕募集に応募してきたヤツだと勘違いされるヨレヨレの格好してきた方も悪いんだが、あきらかにフェリシティの勢いに負けている(笑)。
お互い、内心一目ぼれ状態のまま、サッチャーは正体を黙ったまま、気付けば雇い主と従者(のフリをしている)という関係になる羽目に。
ここからが「ダッチェス劇場」の開幕(爆)。
もう、とにかくすぐにいろんな問題が判明したり起こったり。
それを持ち前の頭脳と度胸で乗り切るフェリシティの何と天晴れな事よ!
痛快です、読んでいて。
こんな口のうまい、芝居上手な頭の回転早いヒロインって久々。
それでいて、彼女がどれだけ周囲の人たちの為に頑張っているのか、快活な外見の奥に、傷つきやすい繊細なところが多いかというのがとても上手く描写されていて、ホロっとくる事多々。
本当にサッチャーじゃないけど、抱きしめてあげたくなるんですよ。

いや、もう、ぶっちゃけていうと、話そのものも緩急抜群で筆舌に尽くし難いんですが、それ以上にこの バカップルっぷり はすごい(笑)。
最初のツン区域をエライ勢いでつっ走った後の、あのフェリシティのデレ領域の凄さ・・・いやー。テレっぱなし(シャレかい。爆)。
もう、お互いメロメロメロメロメロメロメロ(エンドレス。笑)すぎて、ウケまくりですよ。
サッチャー、いい大人の男なのに、ラブボケゆえの大人気なさがマジウケ!
愛するフェリシティがいじめられたのを陰険に記憶していて、せっせこ舞踏会の招待リストから彼女をいじめた相手を太線(普通の線じゃなくて、太線ってのに二倍ウケた。爆)で消し込んだり、最後の最後までそれの仕返しを考えていたんだから(^^ゞ

この二人のロマンスだけでも堪能ものなのに、しっかりと周囲のキャラ達も元気でしたし、更に満足。
前作にフェリシティと共に登場した彼女の双子の妹セイリア(タリー)も健在。
いやぁ、相変わらずのクールさと、前より加速したイカれ脚本家っぷりはお見事(笑)。
そして前作にて、運命の出会いをした二人の従妹フィリッパ(ピピン)と、彼女の運命の相手であるアメリカ人船長ダッシュの、何ともまぁ、ラブラブかつ複雑な事情の展開!
ああ、早くこの二人の話が読みたいょぉぉぉ(悶)。
前作主人公カップルも、ラブラブ夫婦として登場(しかし、あのジャックすらも呆然とさせる女の本性の怖さよ。笑)、テンプルさん一家も友情出演だが、クセ者夫婦なのはお馴染み。
そしてそんなメンバーに、あらたにサッチャーの母親とか、挙句にあの!!伝説(?)のジャミーラ姉やまでが登場!
これを笑わずにはいられようか・・・ひーっひっひっひ!
前作以上に、色んな姉や達の格言(?)や思い出(?)が登場するもんだから、サッチャーでなくてもここはとりあえず笑っとけ!ってぐらいスゴイ(笑)。
ここまで、父親の愛人たちとのやりとりを面白おかしく書いた設定ってないんでないのかしら、ロマンス本で(^^ゞゞ

そんなこんなで、結局、最初のシリーズ1冊目のセジウィック男爵のお話から再読必死の超ナイスな作品でしたな。
何かね、あのエピソード部分の「最後に正義と愛は勝ちました。おしまい、おしまい」っていう、非常に日本でいうところの時代劇的なとこに、安心感を覚えたりもしました。
そうですね、この本、「美人令嬢ダッチェスのラブラブ細腕繁盛記」とでも申しておきましょうかね(爆)。

とにかく、最初から最後まで、胸がきゅんきゅんしっぱなしでした。
キュートでポップで、それでいて心情とか細かい描写がしっかりしていてホロリともくる。
スタンダートなのかと言われると、ちょっと違うかもしれないが、読んでて幸せな気分になれる一冊。
読んで良かったよ、本当に。久々のど真ん中ストライク本。
パトリシア・ライスの初翻訳にて魔法シリーズ、読了。

同時に脳内削除、完了(爆)

こんな本、お目にかかった事がないような気がします。
最初から最後まで これでもかこれでもか、と魅力の欠片もないキャラクターが手を変え品を変え登場し、延々戯言と愚行を繰り返す 生産性のイロハも感じない 迷作 でした(笑)。

代々、魔女としての能力を持ったマルコム一族の後継者ニニアンが、先祖の時代に因縁のあったアイヴス一族の領主ドロゴと出会ってあれやこれや、という話。

何でも、この一族同士が結びつくとウィスタン村に壊滅的な影響を及ぼす・・・という、ここだけ読んでたら、よくある魔法もののような気がしてならん。
が、この作品では確かに村に壊滅的な影響が出るが、そもそも小川周辺の異変は要するに公害(鉱山から排出される汚染水による水質汚濁)だろ。
別に主人公二人がくっつく前から起こってるじゃん、みたいな。
それを魔法使いの祟りよろしく騒いでいてシラけた(笑)。
変にこの村の救世主たらん事を、って勢いで「私がいなくちゃあの村は駄目なのよ」という類の台詞をいうヒロインもウザい・・・魔法使いっていうより、何か極地的新興宗教のようじゃないか、それじゃ。
治療師なのに、村限定と憚らず口にして、患者を分け隔てしている時点でロマンスヒロインの治療師的にNG(笑)。

で、相手のアイヴス一家の主ドロゴだが、駄目一家の後始末に疲れきったヒーローという以外にどう表現したらいいのか分からない薄いキャラだった(笑)。
この駄目一家が今後のこのシリーズの主人公たちとなるらしいが、言っていいか?

こんな人間失格キャラの巣窟を続編にして萎えるなって方が無理!! (爆)

まず、三男ユアン。
発明家でいろんなものを発明しているのはいいが、その後始末は全て兄ドロゴ。
自分の財産を削って研究ならいざ知らず、人の懐に手を突っ込んで居直り強盗のように愚行を繰り返す。
学習能力皆無。
その合間に作った庶子の金銭的世話も、全て兄ドロゴ。

次に、次男ダンスタン。
結婚した悪女が金の亡者なのはテンプレだが、兄ドロゴの結婚によって爵位継承権が脅かされると嫁に言われていそいそ兄の元に参上し、ぬけぬけと財産相続について居直り強盗のような戯言をほざく。
あれだけ兄に信頼され、いろいろ任されておきながら。
そのくせして、若い頃に作った庶子の金銭的面倒は、全て兄ドロゴ。
子供についてぬけぬけほざく前に、己の行状を把握しろよ。
そして、案の定、嫁に逃げられ暴動三昧。
自分より年下の兄嫁ニニアンが、親身になって心配してくれたのに、後に逆ギレ。
こんな子供じみたバカを「兄弟の中では落ち着いて常識ある」と言ったドロゴだが、これが常識ならアイヴス一家の常識は世間の非常識(どキッパリ)。

そして、義理の妹サラ。
血はつながっていないかもしれんが、十分に非常識なアイヴス一家のメンバー(拍手)。
とにかく言動の全てに ボコりたい衝動を覚えるという意味では、今までにない女性キャラ というべきか(爆)。
兄ドロゴに対するあれやこれやの時点でうんざりするが、とにかく自己チューすぎてドン退き。
とにかく、兄の恋人ニニアンに対してどんだけ上から物言いしてるんだ、っていう数々の言動は印象最悪。
「ほら、何も知らない平民の田舎娘なんてセンスの欠片もないんだから、私が面倒見てやらないと。オーッホッホッホ」とかいう高飛車なニュアンス含む言動三昧だが、言わせてもらえば再婚相手の連れ子なんだから、アンタ自身は単なる爵位もへったくれもない立場では?
そして、お約束にその何もない筈の田舎娘ニニアンは自分自身の資産を持つ子爵令嬢で、公爵夫人の姪でもあり、侯爵夫人の姪でもある。
ニニアンが自分が足元にも及ばない権力の縁戚を持つ血筋と認識出来たドロゴが、やっぱり唯一のまともなヤツか? > アイヴス一族

このサラの弟たちについても、駄目人間武勇伝が本編内にあったが、もう書くのも疲れた・・・(~_~;

私は別に、続編ヒーローに庶子がいても何ら構わない読者だ。
ただ、その庶子に関しての態度が問題。
自分の血を分けた子供に関して、認知だけすりゃ責任とったぞ、と言わんばかりの態度のヒーロー候補に何を感じろと?
子供の養育費を全て、兄ちゃんが払っていても何も思わず、挙句、更に自分らの愚行のツケまでせびるいい大人の男に何を感じろと?!
そして、兄が言動を諌めると居直り、ふくれむくれる幼稚さに何を感じろ?!
こんな馬鹿ばかりが、一族にうよめいていたら、そりゃあドロゴは庶子なんて作ろうにも作れないわな。

・・・そして、この作品の脳内削除が完了したのだ。
読みたいですか? 彼らが主役となった話を・・・何ら残念ではないが、ことのさんは読みたくない。
ロマンティック・タイムズのレビュア・チョイスの中でもベスト200に入っているというのを売り文句にした帯に騙された、かなり読んだ後に 何かをムショーに蹴り飛ばしたくなった 1冊でした。
個人の好みは千差万別、と痛感しましたな。
だから皆さん、人のレビューや感想よりも 所詮、最後は自分ニーズかどうか ですぜ、新刊購入の決め手は!(握りコブシ)
レイチェル・ギブソンの新刊でシアトル・チヌークスもの、読了~♪
もう、楽しくって楽しくって、何度も読み返してしまったわ!!

前回のチヌークスもの『大好きにならずにいられない』より数年後が舞台のこの作品。
こちらになってくると、前作よりもこなれてきているのもあって、いろんなところがとても上手い。
今回の主人公は、何の因果かアイスホッケーチームの番記者(代理)になってしまったコラムニスト兼記者のジェーン。
男の世界に小柄で地味で強気な彼女が飛び込んだものだから、セクハラもいいとこな嫌がらせを受ける羽目に(^^;
いやー。ホンマに番記者という設定だけあって、ロッカー場面が多く、必然的(?)に 下半身下ネタ なトークが炸裂しまくり(笑)。
そんな中でも、特にスター選手であるゴーリーのリュックはマスコミ嫌いで通っているだけあって、なかなか手ごわい。
が、しかし、幼い頃に母親を亡くし、いないも同然の父親の存在も手伝ってドン底から這い上がってきたジェーンは負けてません。
生い立ちや過去から愛する事に臆病な彼女が、何故かどうしてもリュックだけは気になってしまう。
そして、最初に見た時から、全然自分の好みのタイプでない筈のジェーンが気になって仕方ないリュック、という事で、同行取材の幕は開けるのだが・・・。

とにかく、ホッケー好きにはたまらんスマッシュな、そのシーズン中のホッケーチームのあれやこれや描写に、本当に上手にロマンスを搦めていて、その時間の流れすら計算したかのような展開。
しかも、シーズン中にこれだけのクライマックスを何度も盛り込めるって、ギブソンの筆力に拍手。
特に、チームが最悪のゲームをした直後にジェーンが解雇されたくだりは、どうなるのかドキドキしたわ・・・その後の展開には大ウケしたけど(笑)。
何か、SEPのシカゴ・スターズ1冊目のフィービーのオーナーの務めのくだりと同じといえば同じだけど、少なくともフィービーは「引き継いだ」だけ。
このジェーンは自分がやらかし、そして作り出したジンクスだから(爆)。

図体のデカイおバカさんヒーローであるリュックの、駄目な中にも変に常識人なところとか、地味な格好をして堅物なジェーンの「秘密の副業」とか、落差萌えポイントもしっかり押えてますなぁ。ふふふ。
いやぁ、このリュックのポジションがゴーリーって事で、今回の作品の実在のスター選手との夢(?)の共演は、パトリック・ロワでしたーっっ!(嬉)
何てこったい。リンクのど真ん中で、両ゴーリーのどつき合い!! ・・・萌えだわ。既刊ロマンス本ではありえないぐらいの力技での萌えだわ! > びったんびったんジタバタ
ロワの姿を思い浮かべながら、ニヤニヤしながら読んでしまいましたよ(^^ゞゞ
前作主人公たち、そしてサイドロマンスを展開したリュックの前任ゴーリーでもある脇役さんカップルもさりげなく再登場。
二組とも幸せな姿を拝ませてくれて、読者としてはそっちも嬉しいサービスでした(^^)

ギブソン作品らしい、個性的な脇役は今回も健在。
チヌークスのレギュラー選手は皆して個性的だし(その中でも、スウェーデンからやってきた訛り全開な新人ウィンガー・ダニエルがご贔屓。笑)、アシスタント・ゼネラルマネージャーのダービーのダサルック上等!のオタクっぷりはキタコレ!(笑)
そんなダービーを待ち受けるのが、ジェーンの親友にてファッション番長の美人キャロラインってのも大笑いしたわ・・・彼女の台詞が傑作だよ。

「それに、しょうがないわ。彼には私が必要なんだもの」

まさに割れ鍋に綴じ蓋カップリング達者のギブソンらしい言い回しだ(笑)。
そんなキャロラインのよい弟子状態となっているのが、両親の死によって異母兄のリュックと同居する事になったティーンエイジャーのマリー・・・と、まぁ、このマリーとリュックのぎこちない家族のやりとりが、何とも切なくて秀逸。
人間反省する事は多いが、何とも潔い反省っぷりだわ・・・それが恋愛面には反応鈍いのはテンプレだけど(^^ゞ

各章のタイトルのツボメガヒットな事といい(あの「反省部屋」だけで、この本を買った甲斐があった!!とすら思いました。笑)、細かくも主人公の設定によって素人にもアイスホッケーを分かりやすく書いている事といい、スピード感があって、それでいて全体的にキュートでハッピーな元気になる作品でとってもベリグッ♪♪
ラストのあのほっこりラブラブさも、きゅんきゅんしちゃって、超お気に入りだわ♪♪
RITA賞作家云々っていうより、これに関しては本当に個人の好み。
これが、アイスホッケーをキーポイントにしているっていうだけで、ほぼ当確なんだけどね(^^ゞ

こうなったら、残るギブソンのホッケーものも翻訳してもらわなくっちゃ!
幸い(?)にしてギブソン、今年のRITA賞をとって二冠となったから、箔はついたわよ、前にも増して!(笑)
ああ、引き続き翻訳バンバンお願いしますよホント(-人-) > ライムブックス様
エリザベス・ホイトのプリンス三部作2冊目、読了。
読み終えるのが勿体ないまでの、圧倒的なストーリーテラーとしてのホイトの本領が炸裂した1冊。

多分、彼女の書く話には賛否両論あるだろう。
勧善懲悪な古典的ロマンス王道からくると、かなりとんがった作品とも言える。
全てが白黒つけられるものでもなく、真実は薮の中だったり、そのちょっとした按配すら危うい感じすらする。
だが、それがひどく効果的なんですよ、このシリーズは。

今回の主役は、三人の中で唯一の市井の男性でもあるハリー・パイ。
土地差配人としてヨークシャーで働く彼は、彼の働く土地で頻発する奇怪な事件を知った土地の相続者レディ・ジョージナと旅をする事に。
悪天候な中、馬車が横転、渋々一夜を一緒に過ごす羽目になるが、そこでお互い惹かれあう。
いや、この夜明かしも、頭の回転の早い、しかもツッコミ体質の二人となると会話が軽妙且つ奇妙で非常に面白い。
よくあるフォーリンラブものと、まずはここらへんからして違う(笑)。

土地に着いたら着いたで、羊殺し事件をベースに、謎めいたハリーの過去が絡んだ、何だか横溝作品ばりなシュチュエーションが!(^^ゞ
山間の田舎村、君臨する鬼畜貴族の男、その息子たち、虐げられた村人たち、物悲しい狂った老女の叫びが響き渡る。
そんな中、故郷に帰ってきたヒーローの背負っている悲しい過去とは?!みたいなドラマ予告煽り文句(笑)を書きたくなるぐらい、よく作りこまれている。
つまりは「こんだけ揃ってたら何か悲惨な事件が起こるに違いない、いや。起こって当然!」と読者に確信させてしまう力技(笑)。
で、羊殺しの罪をハリーになすり付けようした犯人も、老女を殺した罪をハリーになすり付けようとした犯人も、そのなすり付けようとした動機は分かるのに、犯行そのものの動機がちと弱い。
なのに突発的というには核心犯的に書かれているのが、何とも不思議な気もしたが。
ハリーの悲しい生い立ちや育ち、その環境で煙に捲かれた感がしないでもない。

そんな事件や、脇役をあれだけ描き、更にジョージ(ジョージナ)の家族のキャラクター描写もしているのに、何とがっつりとっ組み合ったロマンス部分か。
ホイトの持ち味でもあるホットなラブシーンも前作同様、そして今回は口の達者なヒロインが何とも不思議な物語を「千夜一夜ものがたり」ばりに、ラブシーンと絡まって語るものだから印象的。
そしてヒーローが、いちいちその語り部にツッコミするのもご愛嬌で可愛い(笑)。
そんな二人をして、二人の間の越えられない身分の差をさりげなく、そして無邪気に残酷に書いているのが凄いんだ。
これまでに書かれてきたような身分違いもの、貴族ヒーローと平民ヒロインだと、この時代だと女性の行動がかなり世間的に制限されているから案外スルーされたところが、この作品では男女逆ゆえにあからさまに書かれている。
ディナーに同席して(恋人の)家族に紹介される事はない、それは女性よりも男性の方がより屈辱的だというのを主人公に明確に言わせている。
高貴な相手の事を思って身を引く、身分の低い恋人の事情を、男の悲哀を、あからさまに、いや、露骨にヒーローに語らせる場面はひりつくまでの魂の叫びのようだった。
あそこまで踏み込める、その度胸良さがホイト作品には随所に見られる。

ハッピーエンドだが、勿論、これからが大変だというのを示唆しつつのエンディング。
家族の承諾さえあればあとはどうでもいい、と言いながらも、そこはかとない匂わせ具合。だが、それも社交界関連なら予想範疇。
あれだけの過去を、醜聞を乗り越えてきた以上に、お互いいればどんな事も乗り越えられるという非常にポジティヴなエンドロールは、ハリーの作る繊細な木彫り以上に印象的。
きゃいきゃいキャラ萌えとか、展開にドキドキするとかいうより、何やらこの季節にぴったりな、随所随所を噛み締めて味わう秀作といった1冊。
やっぱりこのシリーズ、大好きだわ。

で、次は三部作のラスト、イズリー子爵のお話なんですね。
いや~、これは楽しみ楽しみ(^^)
あのゆるーい感じのタラシ子爵がどうやって陥落するのか拝むのが本当に楽しみ(笑)
来月の新刊予定が出たので、覚え書きをば。
何か落ち待ち組が多いなぁ、11月のラインナップ(笑)。
つうか、シリーズ前作、拾っておいてまだ読んでないよ > ジュリア・クインとか他にも(^^;

オークラ出版 マグノリアロマンス
バラをまとう天使 ジュディス・アイボリー
秘められた愛 ジョーダン・デイン

宙出版 オーロラブックス
侯爵と仮面舞踏会の花嫁 ジュリアン・マクリーン
愛しの伯爵と秘密のひとときを エリザベス・ボイル

ランダムハウス講談社 ランダムハウス講談社ロマンス文庫
緑の瞳は復讐に燃えて メアリー・ジョー・パトニー
スキャンダラスな貴婦人 ジョー・ベヴァリー

ソフトバンククリエイティブ ソフトバンク文庫NV
愛は大空の彼方に パトリシア・グラッソ
シークレット とらわれた王女 エマ・ホリー

竹書房 ラズベリーブックス
三十日の恋人契約 エデン・ブラッドリー
青い瞳にひそやかに恋を ジュリア・クイン

ハーレクイン社 MIRA文庫
悲しみをつつむ夜に シャロン・サラ
愛の陰影 ジョージェット・ヘイヤー
清き心は愛をつらぬき キャット・マーティン

原書房 ライムブックス
公爵代理の麗しき災難 キャロライン・リンデン
恋のディナーへようこそ コニー・ブロックウェイ

扶桑社 扶桑社ロマンス
アイ・バーン・フォア・ユー(仮) スーザン・サイズモア
タッチ・ミー(仮) ルーシー・モンロー

二見書房 二見ミステリ文庫
ホワット・アイ・ディド・フォー・ラブ(原題) スーザン・エリザベス・フィリップス
スパイマスターズ・レディ(原題) ジョアンナ・ボーン

ヴィレッジブックス villagebooks
THE LACE READER(原題) ブルノリア・バリー
SCANDAL’S BRIDE(原題)(上下) ステファニー・ローレンス
キス・キス・キスシリーズ キス・キス・キス(8)(仮) ローリ・フォスターほか


ジョー・ベヴァリーだけでなく、ジョアンナ・ボーンも上陸。
ホンマ、何もしなくても寝て待て状態ですな(笑)。
一番の楽しみは、たとえ評価が一部ホニャララだろうがSEP!って事にしといて下さい(笑)。
二番目の楽しみは手堅くジョージェット・ヘイヤー。
ブロックウェイは彼女の初コンテンポラリーなのですが、これも楽しみなんで即買い。
アイボリーは作品次第かな。
ローレンスは延期になっていたスキャンダルだからこれも買い。

あとは、多分適当にさくさく買ってるかと(^^ゞ

+余談+
いつもの穴埋めは、本当は週末のうちに全部やるつもりが安静に早寝しちゃったので週明け(^^;

http://cool-book-new.seesaa.net/article/127301188.html

でも・・・えーっと、先日のゴマブックス破綻の理由(経営悪化しているところに刊行点数増やしたので余計悪化した)を鑑みて、ぶんか社の文庫予定が記載されていないのがすごく不気味なんですが(コミックスはある)。
気にしすぎ、よね?(^^;;
今の時点で単に予定が出てないだけ、よね?
ここ、キャシー・ラヴを出してくれているし、サリー・マッケンジーのネイキッド・シリーズに手をつけたばかりだからここでいきなりロマンス翻訳から撤退してもらっては困るのよ~(^^;;
それでなくても、キャシー・ラヴのあの続編、翻訳未定なのに(^^;
ぼちぼち新刊落ちを古本屋で拾ってきた分を、新刊読書の合間に挟む。
そんなこんなで、1冊目はかなり駄目だったサマンサ・ジェイムズのマクブライド・トリロジー2冊目、読了。
1冊目よりは前半の面白さも手伝ってレベル的にいいが、ヒット本かと聞かれると首を傾げざるを得ない1冊(笑)。

主人公は、マクブライド家次男エイダン。
陸軍のスコットランド高地連隊の有名な士官だった彼は、任務中の判断ミスから部下達を死なせた己を苛むゆえに軍を退役、貿易商として暮らす日々。
そんな彼がある夜、独り夜道を歩いていた女性フィオナと出会った事から、彼の中に変化が訪れる・・・と、まぁ、ベタな傷心の男がファム・ファタール(運命の女性)と出会い、人生やりなおしという王道ロマンスパターン。

で、このヒロインのフィオナだが、裕福な地主の娘だったが、父親を亡くし、そのショックで母親が精神的に混乱し病身となってしまったというバックボーン。
ペンネームを使い、昔から馴染んだ闇や怪物をテーマに怪奇冒険小説を執筆、それが当たってベストセラー作家となっているが、母親を病院に入れる為に田舎からロンドンにやってき、書店を経営中。
いや、この人なんですよ。
このフィオナなんですよ・・・首を傾げる最大の理由(^^;;
彼女のどこが魅力的なのか、全然分からない(ドきっぱり!!)。
エイダンとお互い、最初から惹かれあっているのに、自分が秘密にしている事を盾にとにかく意固地この上ない(^^;
当時、精神病院は入ったが最後の劣悪環境で、という事情や時代背景は全く語られず、とにかく頭ごなしに「(母親の事は)秘密にしなければ」と呪詛のように唱えるんだ、この人。
「だーかーらー。何で秘密?(^^;」とツッコミしたくなるってもんだ。
言わせてもらえば、母親をロンドンの個人病院に入れるのも、彼女は地元で何人も何人も医者に診せて診せて診せ続け、それでも全然母親が回復の兆しがなかったから藁をもすがる思いで、ってワケではなく、どこから出てきたのかイマイチ不明な口コミ情報から名医と決め込まれた個人病院に母親を丸投げしたかのように私には読んで取れた(^^;
おいおい、せめてセカンド・オピニオンとまではいかないが、他の患者を見かけた事ない病院を疑うぐらいの知性はないのか?!
見舞いも週イチって、どんだけ丸投げしているんだ・・・毎日夜中の散歩の時間があるなら、その半分を母親看病に費やせ!(呆)
今までの介護が必要な身内を持ったヒロインの中で、これだけ看病をしないキャラはいませんでした、ってぐらい(^^;;
というか、たいして生活にも困ってないし、お金にも困ってないので切迫感が感じないので、余計に母親に対するあれこれが微妙にズレたように思えたのか。
作家活動を覆面作家として行っているロマンス作品ヒロインはいっぱいいるからいいが、本屋経営と並行しているってのは初耳だな。
エイダンでなくても、すぐバレると思います、ええ(笑)。

そんな彼女が、ストーカーまがいのファンに付きまとわれ・・・とか言われてもなぁ。ちょっと自業自得、って冷たく思ってしまったわ(^^;
エイダンが何故にこんなに彼女に入れ込むのか、分からないままオチを迎えたという気がどうしてもしてならん(笑)。
てか、彼女と一緒に辛い過去の記憶の場所パンジャヴに行ったら、辛さリセット!というのもなぁ・・・エイダン、それはちょっとお手軽すぎるような(^^;
あそこの部分、もう少し書き方があったのではないだろうか?
自分の過ちは決してゼロにはならないけど、それを丸ごと抱えて且つやり直しの一歩を踏み出したというニュアンスの文面を期待していたんだけどなぁ・・・でないと、今までの苦悩はそんなインスタントなものだったのか・・・?!って話になるじゃないですか。

そんなこんなで、どうも首を傾げすぎてしまったところ、とりあえずマクブライド家長男でグレナデン公爵アレックに関してだけは拍手!!な、救いを黒いスコットランド人一人に求めてしまった1冊とも言える(笑)。
いいなぁ、本コレクターでオタクのタラシ公爵(笑)。
噂では年内に翻訳されるらしいトリロジー最終巻の主人公である彼に全ては託された、って気分。
キミの作品がコケたら、このシリーズは 全壊 という事になりかねない(爆)。
頑張れ、頑張れアレック!!いろんな意味で!!!(爆)
ジュリア・ロンドンのデビュタント・トリロジー最終巻、読了~。
あの厚みをあっさり読ませてしまったが、かなり設定的には凝った作りの1冊。

主人公は、三人のデビュタントの残り一人、ドレス作りの得意なフェアチャイルド家次女のフィービー。
母親に急死され、貧乏生活をする事になった際に、自分の洋裁の才能を盾に日銭稼ぎに立ち上がった、はっきり言えば三人の独身女性の中で唯一、地に足がついていたキャラでありました(笑)。
いや、実際読んでもらえば分かるけど、この夢見がちな彼女をとっつかまえて、事あるごとに現実を見るように諭す姉エヴァと、従姉グリアだが、どん底貧乏状態の時には一番堅実だったんですがねぇ・・・自分たちの行状(玉の輿狙い大作戦と、遺産目当ての大冒険)を棚にあげて(^^;;

そんな、堅実な特技と相反して、しょっちゅう白昼夢を見るロマンチストな芸術家気質も見え隠れしている彼女が、今まで覆面デザイナーとしてドレスを作成・販売していたのを、その正体をネタに脅迫されて田園地帯のとあるお屋敷に泊り込み、大量のドレスを作る羽目に。
それまでの自分自身なら、別にバレてもいいんだろうが、なまじ高貴な皆さんと姻戚になってしまった上に、色んな事情が重なり、口惜しながら脅迫に負け、フランス人の未亡人で仕立て屋の女性に化けて遠征の旅に。
そのお屋敷で、サマーフィールド子爵ウィリアムと運命の出会いをするのだが・・・という、ロマンス王道な展開に。

が、そうはいかないのが、このジュリア・ロンドン作品のひねり具合というか。
ここでは、ウィル(ウィリアム)の崩壊した家族が非常に物語のウエイトを占め、その描写がかなりヘヴィだ。
彼がが大陸横断旅行の間に伯爵である父親が卒中に倒れて口もきけない状態となり、長子相続財産に手をつけられないので、屋敷にある他のものを切り売りしながら、保護者になる人間のいないままどん底の生活をせざるをえなくなり、精神的に傷を負っていった弟妹たち。
実質的に飢えはしなかったが、その凄まじいまでの子供たちの精神的な壊れ方と、その後の彼らのやり場なき怒りのような非行具合は、何だか現代にもシンクロしそうな描写のようだった。
そんな家族を支えながらも常に後悔に苛まれ、責任と義務に押しつぶされそうなウィルと、無垢なフィービーのやりとりがとても切なくて素敵でした。
お互い芸術を愛するので、何かにつけての比喩が美しく、読んでいて清々しいほど。
世界中の珍しい場所を放浪し、あらゆる美しいものを拝したウィルが、自分だけの心からの宝物であるフィービーを見つけたのが故郷だったという、何か因縁めいたものを淡々と描きながら進んでいくが、何とも不思議な書き方をしている部分が。
そう、崩壊したウィルの家族たちである。
最後の一線を越えず、何やら「真実は薮の中」と言わんばかりの突き放した状態なのである。
特に次男ジョシュアと、ウィルの結婚相手最有力候補だったキャロラインのくだりは、全くもって掘り下げずに単なるウィルの混乱した家族面の1ピースとばかり。
今までのロマンス本だと、ここはサイドロマンスとしてがっつり書かれるかと思ったら、始まったかと思ったら、次にはいきなりオチ!!みたいな(笑)。
あれには驚いたわ(^^ゞ
主人公二人に的を絞ったという言い方も出来るが、いかんせんその放置プレイに近いまでの凄まじさはどうよ(^^;
そんな中、やはり長女のアリスのキャラクターは放置プレイの枠を越えて群を抜いていたな。
彼女とフィービーの波乱万丈で凸凹な友情と、あとフィービーと病床の伯爵とのやりとりはいいスパイスとなっていた。
そこはやっぱり、頑張り屋さんでピュアなフィービーのヒロインとしてのブレなきキャラありき、ってところ。

まぁ、自分の身分を偽っていたフィービーの正体がバレた時のウィルの反応はテンプレだが(笑)、その後のラストにおける謝りっぷりは潔い。
何というか、まっすぐだよな、このウィルって。
フィービーにメロメロすぎて、言葉もなく、ただ呆然としている場面の多い事ったら・・・ワールドワイドな放蕩者というより、ひねくれた皮を被ったピュアな坊ちゃんだわ(笑)。
ピュア同士、結局はラブラブきゅんきゅん~♪というラストも想定内でしたが、妙に博打されるよりは◎かと。

しかし、つまりはこの貧乏三人、結局はすごい玉の輿に、しかも恋愛結婚状態で上り詰めたという景気いい話だったという事よね(笑)。
いや、予想通りなんだけど、こんだけラブラブバカップルなオチばかりなんだし、一人ぐらい貧乏ヒーローと結婚して下さってもお釣りきたかも(^^ゞ
アーケイン・ソサエティ・シリーズのジェイン・A・クレンツ名義の2冊目、トータルだと3冊目になる1冊、読了~。
クレンツらしい、とっても楽しい1冊でした(^^)

シリーズものは、余り書いてないクレンツだけど、書く時って関連リンクを細かいところに、しかも茶目っ気たっぷりに張ってくれるので、読んでいる方は非常に楽しいんですよね。
今回は、ソサエティの中でもエリート中のエリート、しかもジョーンズ一族でも宗家を継ぐ男ザックが主人公なものだから、組織の中枢事情に踏み込んでいる。
それが丁度、クイック名義として、シリーズとしても1冊目の『運命のオーラに包まれて』(ヴィレッジブックス刊)の組織創生期の解釈部分と見事にリンクしていて「あ、うんうん。そうなのね。そこに繋がるのね!」と、継続して読んでいる読者にはたまらんスマッシュ!!な設定リンクの細かさ(笑)。
でもって、ザックの奥さんとなるべく登場するのがコスチューム・ショップの経営者で能力者であるレインさん。
・・・典型的クレンツ・ヒロイン上等!(笑)
とにかく商売っ気満々で有能、美人なのにややオタク思考、そしてワンコやニャンコを愛する(ここは外せない。笑)。
タフそうなのに、すごくセンシティヴな面も持ち、その落差がまたかわいいんですよね。
今回のレインは二匹のネコを飼っているんだが、この二匹、名前の時点でモエキターッ!!な状態で・・・ああ、やられた・・・。
「バットマン」と「ロビン」だなんて(爆)。
出てくるソサエティ関係の登場人物の男子、必ずメロメロに落せるこの二匹・・・強力兵器か(笑)。
そんな二匹の飼い主のレイン、いやはや。期待通りの肝っ玉っぷりを発揮、前作『許される嘘』のクレアばりに、ファロンを滅多斬りしていたぶってくれました(爆)。
・・・何かファロン、立場的に偉い人の筈なんだが、巻数が進むにつれ ヘタレ度 が増してゆくわ(^^;;

敵対する組織「夜陰」の概要について、ほんのさわりだけとはいえ今回は出てきたのも面白かったな。
クレンツが書くと、こういう怪しい新興秘密組織が実に活き活きしているのがまた笑える(褒めている。笑)。
クレンツの書く悪人って、テンプレなんだけど非常に人間くさい。
そして何より、腕力や残忍性よりも頭脳でやりくりするタイプが多いので、読んでいる方もストレスは少ないと思うんだよな。
生き延びた彼女とか、その上にいる過去の妄執にとらわれている男とかの今後がこれからのシリーズ作品に反映するのも楽しみ。

壮大な超能力ワールドのシリーズなんだが、単発でも読めるレベルまで噛み砕いた上に、マッチメイカーものにしちゃってハッピーエンドにしちゃうその達者さはクレンツならでは。
とっても堪能しましたわ(^^)
気になる脇役も新しく登場したりして、やっぱり続きが早く読みたい♪
でも、まずは先に過去とのミッシングリンクを少しづつ埋めるべく、ソサエティものの次の翻訳はクイック名義でお願いしたいな。4巻目(笑)。
そんなこんなでお願いします > ヴィレッジブックス様(笑)。
読み終えていた本たちも、とりあえず旅行終わったし、一部だけ、ここにぼちぼち覚え書きしておかなきゃね(^^;
って事で、ジャクリーン・フランクの初翻訳にてナイトウォーカー・シリーズ1冊目、読了~。
とってもツボでございました(^^)

何か、今まで読んだパラノーマルものの中で、これだけ深遠な設定を軽快に分かりやすく組み込んだ作品はなかったのではなかろうか。
ラノベ的解釈というか。
恐ろしく大きい話なのに、何故かそれを感じない。
同族を罰する為の規準、歴史の捏造、権力者達による暴走、種族の存亡の危機など、人間世界とのシンメトリーともいえるナイトウォーカー達の負の世界構造がまた絶妙。
それにしても、昨今のパラノーマルはドルイド・キャンペーン中(笑)なのだろうか・・・ここでは実に中心設定としてどーん、と構えている。
まぁ、ケルトや妖精ものには当たり前に登場のデフォルトな信仰だが、キリスト教を起点にした現在の欧米の信仰文化からすると、「キリスト以前」の世界の一種の象徴のようなものとも捉えられるからかしら。
自分たちを「正」と見なし、異形のもの異質なものは認めないとなるという、何とも人間の器の小ささやらをもうまく織り込んでの展開が面白い。
いや、本当に。
ナイトウォーカー達の方がよほど理知的で大人だ、としみじみ読んでいて思ったり。
そんな独自の世界観を支えるキャラクター達が、また飛びぬけて圧巻。
何というか、久々に キャラ萌え という言葉が自然と出てくる、ナイトウォーカー達のクセ者揃いっぷりであるのだ。

でもって、この1冊目の主人公は、そんなナイトウォーカー属のデーモン種族にあって「執行官」という、同族にすら煙たがられる堅い立場にいるジェイコブ。
そんな彼の元に、文字通り降ってきたのが、図書館司書のイザベラ。
出会って早々、誘拐され奴隷凶暴化したデーモンとの対決に遭遇するわ、で、すごいジェットコースター展開なんだが・・・いやぁ。スゴすぎ。
何がって?
この二人の ハンパないバカップル具合 が(笑)。
最初っからフルスロットルで、もう、ついてくのに必死っすよ!(爆)
地球を揺らす規模のエッチに関してはもう、スタンディングでマッハ拍手するしかないぐらいウケた(^^ゞゞ
とにかく、きまじめ一直線イケメンデーモンのジェイコブと末期の本オタクの肝っ玉姉ちゃんのイザベルとの凸凹カップルっぷりが、もうモエキターッ!!なぐらい、きゅんきゅんものなのだよ。うん。
イザベルの文武に秀でた働き者っぷりが、またことのニーズなものだからワクワクしちゃうね。

予言という名の短い文章の中に、今後の展開を惜しみなく晒し、尚且つこの最初の時点で次回主人公候補、カップル候補を羅列してしまうその潔さ。
実に今後が楽しみなシリーズです。
お気に入り確定♪
・・・たとえ、北米では賛否両論な続編であろうとも、翻訳を期待しておこう(笑)。
ま、パラノーマルは世界観そのものが博打だから、ねぇ(^^ゞ
世間一般的読者に受けるも受けないも、それはその時の運というか流れというか・・・まさに博打だわね(笑)。
今は翻訳ロマンスに空前のパラ・バブルだからともかく・・・って事で、鉄は熱いうちに打っておいて下さい > 出版社さま(笑)
ポーラ・クインの初翻訳本、読了~。
何というか、久々に古典なヒストリカルロマンスを読んだなぁ、という感想か。
多分、20年前に読んでも違和感なかったかも(笑)。

いや、確かに面白かったし、コンパクトにまとまっていたかな。
宿敵同士のクランの主人公たちのロマンス、クランの軋轢と悲劇、家族愛とかあらゆる要素を詰め込んでいたかな。
ただ、ヒロインがキャンベル・クラン、ヒーローがマクレガー・クランというのに焦点を集めすぎていたのかどうかは知らないが、絶対に物語配分が間違っている(笑)。
ラストの駆け足っぷりは、何だか余韻めいたものを感じるまでには余りにページ数が足りなかった(爆)。

・・・どうして、こんな秀作に対して、こんなに淡白なコメントを述べているのか?
それは簡単。
この作品、余りに固有名詞(クラン名、地名)が多すぎて、それを単なるスパイスとして読んでいる人はロマンスに集中出来るんだろうが、ことのさんは 気が散ってしょうがなかった というハナシです(^^;
いや、最初に追われたマクレガー一族が逃げ延びてスカイ島(クラン・マクドナルドの巣窟。マクドナルドはインナー・ヘブリディーズに勢力を誇っていた)に城を建てている、という設定に「・・・」となったのが皮切りでした(笑)。
マクレガーがキャンベルを「ローランダーが」というニュアンスで揶揄するが、いや。マクレガーもローランドがそもそも拠点のローランダーでないのか?とか(自分たちの領地をキャンベルに奪われたのが歴史の発端なんだし)、まぁ、ツッコミするのが 面白い 忙しいってのもあったから、読むのに時間がかかった(^^ゞ
ちなみに、キャンベルであるヒロインが伯爵の孫娘という設定はあり。
つまり、彼女のクランはキャンベルはキャンベルでも、その中でも実在する「キャンベル・オブ・アーガイル」ね。
タータン・ブックでキルト・パターン調べるのも楽しかったな。
もっとも、続編のグレアムの話の原書表紙のキルトを見て「・・・何、これ?(^^;;」とは思ったけど。
何故にあのキルトなのか知る為に、続編原書買おうかと一瞬考えました(爆)。

まともにこの本の本編を楽しむには、まだまだ修行が足りませんな(爆)。
いや、最後の慌しさとか入れても、ガチな本で良かったです。
たまには古典的なものでも、とか仰る方はどうぞ。
クリスティーナ・ドットの闇の勇者たちシリーズ最終巻、読了!
大満足、大拍手!! 大団円とはまさに!!

前作ラストページにて、ワイルダー一家の家族勢ぞろいのところに、末っ子ファイアバードの爆弾発言が投下された。
彼女は、ワイルダー一家の人間ではない。血の繋がりのない存在だという事実が判明したという知らせだ。

いやー。仰天した。
最後の最後にそこで最終巻に続けるのか?!と、余りのジェットコースター・ドラマばりの退きに本当に驚愕。
だって、じゃあ、ラストはどうなるんだ?!と。
そこで、あのゾラナ母ちゃんの予言の詳細を摘める事となった。
・・・確かに、この予言では「四人の息子」とある。
でも、きっと予言が部分的に間違っていて、ファイアバードの恋人が4個目のイコンを見つけるんだわ、と思っていた読者をあざ笑うが如くの、まさかまさかのファイアバード出生時の出来事!
そりゃ、あの人は怪しいと思っていたわ。
でも、まさかそんなにキテる怪しさだとまでは想像以上・・・やはり、ドットの巧みな筆力に唸るしかない。
ドキドキしながら読み進めてしまいました・・・。

そして、物語序盤から未婚の妊娠、シングルマザーとなったファイアバードの、今まで語られなかった過去の恋愛部分が語られるんだが・・・そうきたか!
そうくるのか!!
まさか 取り替えられた赤ん坊同士 なんて設定になるとは最初からは予想つかないじゃないですか・・・。
つまりはそうであって、ファイアバードの恋人であり、かわいいアレクサンドルの父親は・・・ああ、力技もいいとこな、行方不明な事がここで判明したワイルダー家の末っ子四男ダグラス(ピューマ)。
何というか、生まれたその瞬間にワイルダー一家から引き離されて、どん底で育ったのに、恐るべきDNA・・・まさにワイルダーの男そのまんま(笑)。
随所に、アホでヘタレなところが炸裂し「ああ、やっぱあの兄弟の弟・・・」と、ある意味しみじみさせられるダグのあれこれ・・・自分の正体をカミングアウトする前に、とりあえず、とピューマのぬいぐるみを彼女にプレゼントって、何だかどうなのよ(^^;
ファイアバードに黙って逃げられた後の、あの姫君と王子様的妄想に至っては・・・いろんな意味で残念なぐらい痛快なヘタレ確定で微笑ましいにもほどが(爆)。

自分の生んだ子が、バリンスキの、ワイルダーの男の子だ、と確信したファイアバードは、そんな ヘタレな恋人 ダグを、家族の元に戻す為に彼に会いに行くのだが・・・ここからは、もうすごいテンポで何度死にそうになるんだ、この二人!!みたいな(^^;
4個目のイコンがどうやって見つかるのかと思っていたけど、まさか死にかけた海で襲ってきた巨大海草類の大群にまみれてご降臨!とは、想定外!
ホンマにドットにしてやられっぱなしよ・・・(爆)。
ロマンスとしては、既にこの二人は本気カップルゆえに、自分たちの家族とか、運命とかいうものをメインにした、過去の空白を埋めるって感じだったかな。
でも、やっぱりラブラブなんだけど・・・ピューマくん、非常にあの兄弟の中ではおとなしい部類に入るかと。若くてホットだけど(笑)。

そんな二人と、二人の息子アレクサンドルがあの予言の核を担っての、バリンスキ一族との最終決戦は、もはやそこいらのミリタリー・ロマンスも真っ青なガチ展開(^^;
拷問場面は、もはやロマンス読者がドン引きするぐらいだし、何だか農園はエライ大事に(^^;
しかし女性チーム、しっかり者にもほどがあるってば!(^^;;
最初は、あんなに上司であり、片思いの相手であるジェイシャを崇めていたアンなんて、今や旦那ジェイシャ(オオカミ)をアゴで使い、私が仕事している間にコーヒー入れろ、ときたもんだ(爆)。
そりゃあ、ロマンスだから、最後はハッピーエンドだと分かってはいるんだけど、とにかくどうやってこのシリーズを納めるのか、っていうのは興味が一番あるところだと思うんだけど・・・きたよ。
ラストのラストで、もう瀕死である筈のコンスタンチン父ちゃんが、伝説のバリンスキ頭領の姿(灰色オオカミ)を存分に発揮して下さった瞬間、何だか悪の滅びの美しさを凝縮されたものを拝んだ気がした。
・・・もっともね、父ちゃん、最終巻にてお茶目さん炸裂なんだけど(笑)。
ホンマにこの人、どんだけゾラナ母ちゃんにゾッコンなんですか!
そんな、第二次成長期の悶々ボーイみたいなアホばかり毎日ラブラブよろしく言ってるから、孫が悪い言葉ばかり覚えるんです! お口をチャックだわ!!(爆)
ワイルダー一家の皆さん、本当にネタ満載なんですが、とりあえず今回一番ウケたのは、バリンスキに捕えられた末っ子ダグを救出しに来た三男エイドリックのあれこれでしょうか(笑)。
「ぼくの弟をいじめやがって、後悔するぞクソ野郎ども」を皮切りに、アホ兄スイッチ炸裂でとても楽しませてもらいました・・・とりあえず、昔の非行少年にパトカーのハンドルを持たせる羽目になったのは間違いでした、って事で(^^ゞ

このシリーズだが、つまりは4冊に及んだ大きな風呂敷を、几帳面にたたんだというより、芸(アート)にした、といった方が正しいかも。
あの予言を、何と美しく面白く味付けして物語を紡ぎ出してくれたのか。
悪魔そのものが排除されるのではなく、あえて悪魔は去っただけという余地を残したのも◎。
悪魔が消えました、ってそんなこの世の中から悪が全て消えました、とか言われたらどっ白けもいいとこだし(第一、そうなったら警察勤めのダグは妻子を持っていきなり失業です。笑)。
ラスト、バリンスキ一族との死闘の末に、今まで培ってきた農園や家の全てを失ったコンスタンチン父ちゃんとゾラナ母ちゃんが、二人で荒地に立つ場面を見て、何だかうるうるしながら笑ってしまった。
思えば、このシリーズはそんな感じだった。
移民してきての、ゼロからの出発から築き上げたもの、土を耕して作物を作る素朴さ、どこか懐かしい家族の団欒・・・それがたまたま、悪魔と契約した呪われた一族の末裔だっただけで。
不思議な運命や縁に翻弄されながらも、根底にあるもの、シリーズ全体を通してのテーマは変わらなかった。
それが全てだったかもしれない。芯のブレない強さが、このシリーズの勢いを加速させ、キャラクター達を活き活きしたものにした。
緩急自在、それでいて何とも微笑ましいヘタレさで(笑)。
もうお別れかと思うと、本当に残念でなりません・・・でもね。ここまできれいに終わってもらえるのも読者冥利に尽きるのかも。
変な「書かなきゃ良かったのに」的スピンオフなどを憂う事もないもの。
最初から最後まで、本当に楽しませてもらいました。ありがとう♪
読書の秋たけなわ~。
って事で、公式に出たようなので、今更だが、10月新刊文庫覚え書きをば。
大半は読むでしょう、と。

宙出版 オーロラブックス
まだ見ぬ公爵からの求婚 エリザベス・ボイル
サムシング・ボロウsomething borrowed エミリー・ギフィン

ヴィレッジブックス villagebooks
LIE BY MOONLIGHT(原題) アマンダ・クイック
THE WINSTON BROTHERS(原題) ローリ・フォスター

オークラ出版 マグノリアロマンス
ミステリーはお好き? マリアンヌ・スティリングス
真夜中の目覚め ララ・エイドリアン

ランダムハウス講談社 ランダムハウス講談社ロマンス文庫
逃げた花嫁 キャリン・モンク

ソフトバンククリエイティブ ソフトバンク文庫NV
誘惑の晩餐 シェリー・トマス
トゥルーブラッド(3)囚われの想い人 シャーレイン・ハリス
時の扉を開いて クレスリー・コール

竹書房 ラズベリーブックス
放蕩者の長い恋 ジュリア・ロンドン
きのうの星屑に願いを リン・カーランド

ハーレクイン社 MIRA文庫
緋の抱擁 アン・スチュアート
光に舞うは美しき薔薇 ブレンダ・ジョイス
プラムローズは落とせない スーザン・アンダーセン

早川書房 ハヤカワ・イソラ文庫
人生最高の10のできごと アディーナ・ハルパーン
おいしいワインに殺意をそえて ミシェル・スコット
月の光に魅せられて テレサ・マデイラス

原書房 ライムブックス
ときめきの喝采 リサ・クレイパス
微笑みをもう一度 スーザン・イーノック

扶桑社 扶桑社ロマンス
キス・ビフォア・ザ・ドーン(仮) キンバリー・ローガン
フロム・スコットランド・ウィズ・ラブ(仮) カレン・ホーキンス

二見書房 二見ミステリ文庫
ラバー・アウェイクンド(原題) J・R・ウォード
クレイミング・ザ・コーティザン(原題) アナ・キャンベル
イット・ハプンド・ワン・ナイト(原題) メアリ・バログ/ステファニー・ローレンス

ぶんか社 フローラブックス
ため息は愛のはじまり サリー・マッケンジー
激情は瑠璃色の夜にのって キャシー・ラヴ


ハヤカワからの新レーベル・・・創刊ラインナップを見て、こんなに購買意欲の湧かないロマンス新レーベルは初めてかも、としみじみ(爆)。
そもそも、今更どのクチが「コージーミステリ」をこのラインに入れる意義を述べるのか・・・それならね、4冊出して途中放置しているロマンスも有り!な、コージーのベストセラー・シリーズであるドナ・アンドリューズの鳥シリーズはどうなるんだ?!と、憤るのは私だけか?
ああ、あとね。SFから出したクレンツのキャッスル名義の三部作の残り2冊とか、FTから出したパトリシア・ブリッグスとか、RT誌でお馴染みでありながら1冊で放置されたカリン・スローターとか・・・えっと、ここらへんでやめときます。
あの出版社に途中で捨てられたロマンス読者ウケする本をあげると、終わらない念仏 になるから(爆)。
ま、適当に状況を見ておきますかね・・・ほら。自社雑誌であるミステリマガジンのロマサス特集であれだけの記事をとうとうと述べられたその後の経緯を全部見ているから、全面的に信用出来ませんので(集英社文庫の「毎月ロマサス発売宣言」とどっちもどっちなオチだったわね。爆)。
創刊号は必ず買うという私ですが、まだ保留だわ。マデイラス(メディロスじゃないのか。そっかー)だし。
とりあえず、表紙デザインが変わろうが何だろうが、にわかブームに浮かれ、隣の芝生の青さに踊るより先に、自分ちの庭に咲いてる地味ながら可憐な花を植え替えるが如く、放置していた人気作品をこのレーベルに取り込むという地道作業も忘れないでほしい。
そこらへんの見極めの腕も、じっくり拝見させてもらいます。


今回はイチ押しは、勿論コールだわ。
ニ押しは・・・続きもので前作読んでいるのは自動的に読むから、そこらへん羅列かな。
ボイルは、ダッチェスのお話か(^^)
エイドリアンは・・・あ、そっか。あのヒロインか(笑)。
カーランドは兄ちゃんで、アンダーセンは昨日も言ってたようにロケット♪
いや、まさかこんなに早く読めるとは!!な、ローガンのピーター少年とエミリー少女の後日談は楽しみだわ~。
ホーキンスの悪天候一家シリーズ(笑)は四男くん。
何か、弟属性本が多いなぁ、来月・・・ラヴも弟くん本だし。
青田買い気質なせいか、弟属性にめっきり萌えな自分にやっと気付いた今日この頃・・・うわぉ!(笑)

+余談+
既に先週のうちに全部アプっておいて・・・というツッコミは胸に収めておいてね。てへっ、な毎度お馴染みの穴埋め補足。

http://cool-book-new.seesaa.net/article/124766910.html

いや、AARリスト更新しながら、ついでに作業・・・(^^ゞ
サリー・マッケンジーは、以前RT誌で見たシリーズの1冊目なんだけど、あれで正解かどうかは分からない(^^ゞ
他のは多分、そこそこに。
なるべく新刊書店(ネット書店)で新刊購入して作者、及び出版社に還元してこれからの翻訳ロマンス本継続に、という姿勢でいるんだが、いかんせん飽和状態。
そう、現在の翻訳ロマンス文庫。
月10冊以上は新刊で買っているが、厳選の末にそれでもそこからまだ新刊がだだ洩れしているのは10年前だと考えられない状況(^^;
で、古本屋事情に恐ろしく恵まれた環境なのをいい事に、こうやって近刊拾いも余念なし(笑)。
この本も、本当は新刊で買うつもりだったが、手持ちの新刊本読み終えるより先に落ちてきた(笑)。
そういう時って、ふと考えるよね。
「この本は、そんなにつまらないから早く古本屋送りになったのか、はたまた読み捨て内容なのか」などなど。

で、先日拾ってたこの本を読み終えたことのさんの感想。
「すいませんっ!!この本こそ、新刊定価で購入すべき 超良作 でした!!」

何というか、最近の翻訳ロマンスの極左、極右状況には驚くばかり。
ヒストリカルか、パラノーマルか。
この二つを除くと、殆ど新刊文庫残らないんでないのか?(^^;;という気すらする・・・私の気のせいではないと思うんだがね。
そんな中に、この本である。
もう、何というか、SEPの厳密な意味での新刊に今年中お目にかかれそうにない、良質のコンテンポラリーに飢えていたところにしっかりハマったわ。
メインの外見と中味といろんな本質の落差がキュートな図書館長ヒロインと、泥棒一族のはみだし者大学准教授ヒーローのロマンスもホットでコミカルでグッジョブさることながら、脇を固めた図書館長従妹ちゃんと幼馴染の警察官クンのロマンスが・・・キターッ!!
モエキターッッ!!
ああ、何ていい男の純愛を読ませてもらえたんでしょーか。
本当に、あの藤の木登りシーンだけでもこの本を読んで良かった、と何度もリピってしまったぐらい。
「のぉぉぼぉってぇぇるぅのぉさぁぁぁ」
「しぃんぱぁぁいすぅるなぁああ」
「そぉぉれぇすぅぅ」と三連発して爆笑させておいて、あの「十二年かかったけど」「ついにやったよ」は完全に反則ワザよ。
まっさかさまに恋に落ちるのは、従妹ちゃんだけでなく、読者もです!! > びったんびったんジタバタ

ナンシー・ウォレンって、小道具の使い方と、会話のやりとりの妙、あとモノローグのウィットさ加減はハーレクインの中篇作品や短編集でも随所に光ってたけど、この作品ではズバ抜けていた。
いやー、長編でこれだけ書ける作家なんだ!! > 目からウロコ
何より、パラやヒストリカルのような大きな風呂敷的設定でなく、どこにでもある田舎町を舞台にした、しっかりした共感出来るキャラクター造詣によって読ませてくれた事が二倍嬉しい。
「美術界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれている型やぶりな准教授のこの物思いに、この作品の本質が垣間見える。

彼女が母親になって、「お母さんをがっかりさせないでね」と言い聞かせて育てたら、太平洋岸北西部で一番お行儀のいい子が出来るだろう。
その子の父親になりたい、と心の底から思った。

ホットなのに、こんなときめく描写の数々にきゅんきゅんして、どん底の中から這い上がっての人生やり直しなんかもあって、そして最後にはハッピー気分になれる。
ああ、ロマンス読みで良かった、と久々に初心に返らせてくれた1冊。
お気に入り確定!

+余談+
でもね、読んだ時期が若干悪かったかも・・・ヤク中の夫婦 設定っていうのが(^^;;
あわわ(^^;;
ウッディウィスの新刊にて遺作、読了。
気分は名画『落穂拾い』だな。

まぁ、ぶっちゃけこの作品に対しては、褒めるポイントはない(いきなりかよ)。
それでなくても、『風に舞う灰』以降、出す作品出す作品、叩かれ叩かれ「最近の彼女の作品は昔の作品に比べると、ねぇ(ため息)」みたいな書評しか戴かなかったウッディウィスだが、もう、何かこの作品読んでるとそれを極めた、ってカンジだった。
闘病中に書いていた作品なんだが、もう、御自分が何を書いていらっしゃるのか把握していた度合いが先に進むにつれ低下しているのがありありと見てとれて、別の意味で泣いたわ、私。

ウッディウィス作品のカラーって、丹念に書き込まれた描写とか、テンプレながらガチなヒーローとヒロインのやりあいだとか、個性を超越したキャラの力強さとか、粘質とも言える悪役の言動とかがあるんだけど、この作品に至っては・・・もう・・・穴だらけで穴だらけで・・・トホホのホ~ > 思わず踊ってしまうよ。

で、その穴というか、ご勘弁ポイントを幾つかピックアップしてみた。
未読の方、ここからはスルーするように > ダジャレではなく(笑)。

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① ヒロインのアブリエルの自己中心極めた思い込みの勘違い500%っぷり

この女、何を根拠にそこまで言う?!場面のオンパレード。
金なき家の娘ゆえに、身売り同様に醜悪な金持ちオヤジのところに嫁ぐが、まぁ、いろいろあって清らかなまま未亡人になり一転、金持ちに。
最初に出会った時に求婚してくれなかった、というのを=金持ち未亡人になったから言い寄ってきたのよ的にヒーローを金目当てと一刀両断。
第一、スコットランド人だから貧乏だろう、という頓珍漢な思い込みすら片腹痛い。
こんな女に、あそこまで惚れ込んだヒーロー・レイヴンには、さっさと目を覚ませコールしか掛けられなかったよ、ことのさん・・・。

② ありえない未亡人展開

初夜の際、乱暴に襲い掛かってきた花婿オヤジから逃亡、その時にもつれあって男は館の危険なところから転落し死亡。
しかし、そこからがとんでも展開。
いくら婚前にしっかり書面に財産相続などの詳細を決めておいたとはいえ、どっから見ても床入り不完全ですぜ、あの状態。
つまり婚姻不成立じゃないですか!
そういう場合、彼女は未亡人でなく単なる「遺された婚約者」という立場で実家に逆戻りするだけ。
なのに、何故にあんなに居直って未亡人ツラして居座っているんでしょうか?!
特に初夜だ床入りだ何だを、執念深いと言っても過言ではないぐらい既刊で書きつらねてきたウッディウィスとは思えない頓珍漢っぷり・・・。
悪人の極みのように書かれていた、花婿甥のサースタンくんが 相続に関しては正論を述べている 事に何人の読者がツッコミしたんでしょうか、これ。。。

③ 砦での生活とかいろいろ

さて、なんちゃって未亡人になったヒロインは、ここぞとばかりに相続した金をフル活用し、砦周辺の集落の農奴たちの生活改善に乗り出す。
いえ、いいんですよ。素晴らしい事です。素晴らしい事ですよ・・・自分の金になるべき金ではない金での善行ですけどね (心の声)
そこで、まぁ、ベタな展開でスコットランド人であるヒーローと結婚せざるをえない状況に追い込まれ再婚 > 喪中真っ只中なのにね(心の声)
スコットランド人を蔑むノルマン人、サクソン人に囲まれながらも、奥さんの本当の愛が欲しくて毎日毎日頑張るレイヴンの涙ものの頑張りよりも、自分の物思いに 行数を割きまくる 耽るヒロイン。
挙句、レイヴンが自分の領地の事もあるからスコットランドにいずれは帰る、とほのめかすと「 スコットランド人の中のサクソン人になってレイヴンと立場が入れ替わるし 」とぬけぬけと口に出しやがった・・・。
ここのイングランド人がレイヴンを 受け入れはじめた 矢先、とかいう言い方自体 どんだけ上から口調なんだ、どんだけアンタ自身がスコットランド人であるレイヴンをイングランド人より格下扱いしてるんだよ とか思ったのはことのさんだけか・・・。

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とりあえず、駄目だわ・・・と思った沢山の中の3つばかりチョイスしたけど、まだまだ沢山!(爆)

で、やっぱり、ヒロイン親友コーデリア嬢のこのセリフにツッコミだけはさせて下さい

「アブリエル、あなたはね財産なんかなくったって誰もが結婚したいと思う並外れた女性なのよ!」

いや、金がなかったから皆が一目散に逃げて残ったのは醜悪なエロおやじだけでしたがな!(爆) しかもその時点でレイヴンも求婚してませんがな!!(爆)

・・・きっと、並外れてダメ女なのがにじみ出ていたんでしょう(笑)。

ホンマに、どっかにウッディウィスらしさの欠片でもないか・・・と、目を皿のようにして、落ち穂拾い気分でせっせこ読んだけど・・・しくしく。
レイヴンも、ウッディウィスの書くヒーロー像とはかけ離れていて、全然キャラとしての吸引力ないから薄いカラーだし・・・。
話は破綻していてトホホだし・・・。
これなら読まずに 思い出は美しいままに しておけば良かった・・・と、ファンとしてかなり複雑な気持ちになった1冊でした。
そう、悲しいという意味では二重に悲しい本。

私にとっては、彼女の作品はデビュー作が全てで唯一の存在だったと再認識。
合掌。
イヴ&ロークシリーズ最新刊、読了。
号泣しすぎて苦しいのに、何故か笑っている自分に気付く。
完結していない筈のシリーズ途中での、ありえないこのカタルシス具合。
もはや、筆舌に尽くし難し。

ご存知、このシリーズはノーラ・ロバーツの別名義作品。
そしてノーラが、RITA賞を何度も受賞し、既に殿堂入りしているのも周知の事実。
そんなベストセラー作家が、またも勲章を得たのがこの作品。
そう、J・D・ロブ名義でRITA賞を獲得してしまったのだ、この1冊で。

「他のシリーズ既刊とどう違うんだろうか」

読む前に、この作品が受賞作だと知っていたから、まずは好奇心が先んじた。
そして、読んだら・・・泣いた。マジ泣いた。
前作でもかなり泣いたが、今回はもう、全てにおいて群を抜いていた。

物語は、平凡な一家が深夜に惨殺され、唯一生き残ったのがその一家の幼い娘だったという事件から始まる。
事件を担当したイヴは、その少女ニクシーを匿う事になるが、かつての自分の姿を垣間見、彼女に対して向き合う事に苦しむ。
ロークも、彼女を通して、暴力によって愛する肉親を奪われ、孤独な子供となった自分の姿を重ねて苦しむ。
そんな二人のぶつかり合いとか、成長とかを丹念に丹念に書き込んだノーラの凄腕っぷり!
犯人そのものよりも、事件の根底にあるものをえぐり出して、そしてイヴ達の世界に絡め込んでいくんだが、余りに達者すぎて途中でスタンディングものだ。
バケモノだよー、ノーラ様!

今回のノーラの達人技は、何せ、既刊全部に及ぶ細かい設定や登場人物、エピソードをこの1冊に織り込んだ事なのだ。
それはまさに、DEATHシリーズ抜き打ち実力テストとも言うべき(^^ゞ
うっかり読んでいたら「ええっ、これ誰?」「これ、どこのエピソード?!」とかってなってしまうことうけあい(^^ゞ
そこで、この冒頭に書いた「シリーズ途中なのにカタルシス」となる。
ずーっとシリーズを読んでいる読者にとって、時間の流れを再認識し、細かいエピソードやキャラクターの再登場によって、イヴとロークの今までの歩みを再確認し、そして涙するのだ。
こんな核心犯的技をあっけらかんとやってしまうんだから、まさに恐るべし。
あのロークの口から今回飛び出した、「子供が欲しい」宣言なんて、結婚当初では絶対考えられなかったじゃないですか・・・読んで、親戚のおばちゃん状態で「おーおー。よくここまできたなぁ」ともらい泣き必死ですよホンマ。

イヴの擬似家族に今回、ニクシーという少女が紛れ込んだ事により、より一層キャラがたっていてこれがまたそれぞれに秀逸。
特にサマーセットに関しては、もうホロホロもらい泣き三昧でした(泣)。
個人的には、バクスターのイヴん家のお食事シーンが毎回大ウケで・・・メタボまっしぐらだよ、バクスター(^^ゞ
そんな彼の隣にちょこんと座って、申し訳なさそげに毎回ちゃっかり同じものを食べているトゥルーハートくんにもウケまくりなんだが(笑)。

・・・そうなのよ。
この緩急自在さすら、もう舌をまくしかなくって。
世界陸上でウサイン・ボルトが人類最速男として話題独占、ぶっちぎりの彼の前には誰もいない状態だが、ロマンス作家の世界ではまさにノーラがそうだと思わずにはいられない。
これだけ作品を書き続け、これだけのクオリティを保ち、これだけの読者の支持を得てなお、まだ貪欲に前を、先を目指している。
そんな彼女のところに、最新RITA賞の発表で『Tribute』(扶桑社より翻訳予定)が受賞したというお話が(^^ゞ
殿堂の上って・・・あるの?とか思ってしまうよ(笑)。

そんなこんなで、DEATHシリーズの独自の世界観が緻密に、且つ軽妙に具現された秀逸な1冊。
これを読むと、もれなく一巻からの再読の旅に出る事間違いナシとも言えるので、覚悟してお読み下さいませ! > でも、幸せな再読となりますな、この21巻まで戻ってくるなら。
早く続きが読みたいな~(^^)
アネット・ブロードリック久々の新刊、いや。23年前の作品 の発掘刊、読了~。
満足満足(^^)

ご存知の方もいらっしゃると思うが、アネット・ブロードリックには過去、RT誌でべらぼうに高い評価をされた本が3冊ばかりある。
そのうち2冊は日本にも上陸したので、既読の方も多いと思う。
その片方が『ジャングル・ロマンス』で、金ディザィア時代でのアネット本の最高傑作と信じてやまない作品だ。
今回の本は、その本を語るには欠かせない、いわばスピン「オフ」ならぬ、スピン「イン」な1冊となっている。
この本があってこそ、あの作品が出来たと言っても過言ではなし。

主人公は、『ジャングル・ロマンス』のヒロイン・メラニーの姉であるエリーズ。
あの作品では既に母親としてどっしり構え、メラニーの世話あれこれ焼く年の離れた姉ちゃんだったが、ここでは離婚して間もないバツイチの看護士。
(「看護婦」だったエリーズが「看護士」になっているあたり、時代の流れを感じますね)
彼女が勤める病院に、自動車事故にあって重症となった大企業の社長デーモン・トレントが担ぎこまれたところから話は始まる。
事故の影響で視力を一時的に奪われたデーモンと、結婚生活の破綻によって男性に対して懐疑的になってしまっているエリーズとのストレートだが、何ともどこかぎこちないやりとりが非常に心地よい。
すごく時間的には早い展開な筈なのに、ゆったりとした印象すらした二人の言動は、もどかしいまでの触れ合いとか、囁きとか、とにかく世知辛いまでの昨今の翻訳ロマンスが忘れた「何か」を思い出させてくれる。
「ああ、そうだ。私が翻訳ロマンスを読み始めた頃(80年代終わりから90年代はじめ)は、これがテンプレだったんだわ」
今更ながらに、当時はホットであったろうシリーズラインのディザィアですら、見えぬ「HQコード」の存在を思いださせてくれた。
ラブシーンも満載ながら、それでもなお微笑ましい可愛らしさと不器用さを堪能させてくれた。
何より、アネット・ブロードリック独特の、悪役の役回り的キャラですら丸ごと愛さずにはいられない、ほっこりするぐらいのキャラクター造詣は素晴らしい。
バツイチ同士の恋愛ものとはとても思えない(失礼な。笑)、そんなピュアなところもまさに愛すべきアネット節(笑)。

勿論、主人公たちのロマンスだけでも大満足なんだが、後年、あのメラニー嬢に振り回される超ヘタレエリートのジャスティンの若かりし頃のあれこれが、もうファンにはたまらんスマッシュ!!でございますな(笑)。
この本のラストのあの一行に、爆笑しつつ『ジャングル・ロマンス』を即再読するとウケは倍増(笑)。
まさに、今回の話で不器用な若者よろしく姉に振り回されたデーモンが、ジャスティンに笑われた仕返しを数年後にしている、非常に大人気ない行動すらツボですから(爆) > でも、その割には後年になっても嫉妬深い余裕の無さも若干露見しているデーモン(笑)

そんなこんなで、ファンとしては嬉しい発掘劇でした1冊。
勿論、『ジャングル~』再読しましたよ、既に(笑)。
RITA賞作家カーラ・ケリーの初翻訳にて受賞作、読了。
何と素晴らしい余韻に浸れる1冊だった事か。

前評判が高い1冊というのは、どうも期待が過ぎて肩透かしをくらう事が多々あるが、これに関しては最初からグイグイと引き込まれ、一行一行が淡々と、だが鮮やかに絡み合って作品を形成していて実に自然体。
肩の力が入らないと読めないような勢いもない代わり、その全てにおいての等身大さが心地よい。

物語は、牧師である夫を失い、幼い二人の娘を抱えて慎ましく生活している未亡人ロクサーナが、ある日、義兄から愛人関係を迫られ窮地に陥ったところから始まる。
このロクサーナが、何とも読んでいて感服せざるを得ないいい気風の姐御属性キャラで、この時点でことのさんヤラレました(^^ゞ
試練にあうたび、何か考えましょう、とポジティヴで、しかもウイットに富んだ頭の回転の早いDekiっぷり。
噂話に一喜一憂する貴婦人ばかりがあっちこっちどっちしている、CIAやMI6も真っ青情報通キャラ三昧な本ばかりの中、噂話を嫌い、自分の見たものを率直に判断する肝っ玉も素晴らしい。
本当に彼女が軍人、それも司令官でないのが残念でならないです(笑)。
何だか既刊のものでよくある、夫を熱愛していた未亡人のテンプレにはあてはまらない、自分の性欲についても非常に冷静に分析しているところすら、地に足がついている印象すらしました。
そんな彼女が、窮地を脱するべく考えた作戦というのが、教区から徒歩で行ったところにあるウィン卿の領地モアランド・パークの修理がてら、逃げ込んで間借りを決め込もうという奇策(笑)。
ひどい有様の屋敷よりも、とりあえず子供たちと逃げ込む場所を!!と、ウィン卿の土地管理人ティビーと賃貸契約をしっかり証書で取り付け・・・と、ここまでが冒頭部分のさわりなのだから、この話のすごさが分かる(笑)。

で、そのロクサーナのお相手となるのが、土地の持ち主で無類の財テク才能にあふれた素晴らしい軍人でもあるウィンフリー侯爵フレッチャー(ウィン卿)。
淡々としたケリー女史の文体に騙されてしまいそうだが、こんなスーパーマンみたいなのに、妙に親近感の沸くロマンスヒーローって・・・お目にかかった事がない(^^;
ピアノを弾き、絵をたしなみ、乗馬もうまくて、ウィットに富んでいて頭もいいお金持ち。
なのに過酷な戦争体験で精神的に傷ついて帰郷したら、ろくでなし妻のせいで、泥沼の離婚劇を演じ、社交界から締め出しを食らう羽目に。
でも、ここで彼がとった行動ってすごいんだよな・・・聞いた事がないわ、そんなすごいさらし者プレイ(^^;
まぁ、そのせいで元々の人間嫌いに拍車がかかって仕事に没入・・・の筈が、既婚姉妹に振り回されている普通さがキタ。コレキタ。
ちょっといじめっ子な事を冗談で言ったり、ボヤいたり、とにかく親近感が沸いて仕方ない(笑)。
女姉妹に囲まれた唯一の男の子の運命というか何というか、ニヤニヤしてしまう。

そんなバツイチ同士の二人が、モアランド・パークで知り合い、友情を深めながらそれが愛情に変化する様をロクサーナの二人の娘を絡めて、ゆったりとしっとりと、そして可愛らしく描いている。
場面の一つ一つが、何とも印象的でうっとりしたり、うるうるしたり。
ロクサーナの次女フェリシティとフレッチの最初からツーカーな悪い遊び仲間的なコンビっぷり、そして父親を亡くした事に妹以上にショックを受けていたセンシティヴな長女ヘレンとフレッチの、心のやりとり満載な師弟的コンビっぷりが見事で、子供が苦手と口にしているフレッチの言動の一致の無さすら愛おしい。
何より、フレッチとロクサーナの素晴らしいボケとツッコミ具合(爆)。
いや、ホンマにツッコミで何度ロクサーナがフレッチの頭をはたいているか・・・ああ、ハリセンチョップさせたい(爆)。
もう30年ぐらい連れ添った夫婦じゃないのかアンタ達、っていうような、まさに運命の相手、ソウルメイトもいいとこ。
これだけラブラブなのに、どうして気付かないんだお互い・・・(^^;;

しつこく粘着質な片思い義兄の「クリスマス休暇時差攻撃」のせいで、急を要して凍死寸前になってまで雪山越えしてスコットランドに駆け落ち結婚する羽目になったり、いきなり招かれざる親戚に押し掛けられたり、とかイベント(?)満載なんだが・・・いや、ラストのインフルエンザの猛威のせいで領地の人間が次々と感染していったところは時節柄シャレにならないぐらい怖かった・・・。
(余談ですが、全編「インフルエンザ」と翻訳してありますが、原書はどうなんだろう・・・この時代のこの時点でその単語が確立していたんだろうか、とか時代考証的にちと気になった。他に翻訳の仕様はなかったのか、カッコ書き注釈で「インフルエンザ」でも良かったのでは?とも思ったりしたが、まぁ、いいか←結局いいかげん。笑)


激しいものやら、忙しいもの、ふり幅が大きいもの、パラノーマルものが翻訳ロマンス文庫としてどんどん輸入されている昨今、この作品はいろんな意味で「異色」な事は否めない。
だが、ハーレクイン社のシリーズロマンス読者が、いろんなドラマティックでホットなラインが目白押しな中、あえて昔のイマージュやシルエットロマンスを贔屓目に好んだように、この作品の良さを分かって下さる方も多い筈。
日々日常の中に咲く小さな幸せを噛み締め、それを分かち合える尊敬に値する人と出会い、そして恋に落ちる。
美しい異国の土地、まるでそこに迷い込んだような錯覚すら覚える、優しさと厳しさを交えた素晴らしい情景描写。
そこには、笑いもあり、涙もあり、家族の絆もあり。
ウィットあふれた大団円すら、こう思わずにはいられない。

翻訳ロマンスの原点回帰のリリカル秀作、と。

久し振りに大泣きではなく、自然に泣けた1冊。
前評判に偽りなし。
ただし、これも所詮は好みの問題。
これを面白くない、と思われる方は、まぁ、ことのさんと読書傾向が違ってるんですよ、根本的などこかで(笑)。

ララ・エイドリアンのミッドナイト・ブリード・シリーズ2冊目、読了~。
相変わらずの骨太男前(褒めている。笑)な出来で大満足です。

今回の主人公はブリードの戦士で、オーダーのメンバーであるダンテ。
ラテン気質全開に暴れん坊の女たらしだが、非常にセンシティヴで芸術に理解を示す、いかにもイタリア系といった感のあるイケメンである。
前作でも、割にあっけらかんとしたカラーを出していた彼だが、ブリードメイトである母親の特殊能力を受け継いでしまって、日々「死の瞬間」の映像と向き合う苦悩を抱えた青年(?)として描かれている。
その落差表現が、何ともうまい。

そしてお相手は、ブリードメイトで職業・獣医のテス。
イバラの道を歩んで生きてきた、傷だらけのうら若き女性である。
その余りの過去に、あのダンテがすぐに、彼女の為にオーダーからの引退を、ダークヘイヴンへの隠居を考えるぐらいである。
そんな彼女がハロウィンの夜、診療所前で怪我をした図体の大きなワンコ・・・いや。ダンテを拾った、違った。助けたところから物語は動き出す。
大怪我の際の出血のせいで危険な状態になっていたダンテは、駄目だ駄目だと思いつつ彼女から血を飲んでしまう。
ここで彼女の記憶を消して永遠にサヨナラ!と出来ない事情が・・・前作をご覧の方にはお馴染みだが、テスがブリードメイトだという事だ。
つまりは、ダンテはうっかり一方的にテスに マーキング 聖なる契りを結んでしまった、という話に。
で、ダンテが怪我をする羽目になったロウグのような凶暴行動をするブリードから、ダークヘイヴンから派遣された特別捜査官チェイスの登場、謎の麻薬「クリムゾン」によるダークヘイヴンの薬物汚染、その背後にいる黒幕へと見事なまでの展開をみせる。
いやー、時節柄、ヤクネタが余りにジャストバーニングなホニャララで(^^;;
(でも、このクリムゾンに関する展開は、何か九条キヨ氏の『ZONE-00』を彷彿させますな。うん)

とにかく、イバラ人生を歩んできた分、テスの何と肝っ玉なことやら。
ラスト近くに結婚隠居を口にしたダンテを一蹴するんだが、その洞察力にも拍手。
そうなのよねー。
彼女の言う通り、オーダーって、単なる戦士軍団でなく、ほとんど永遠に近い命を持つが故に孤独と隣り合わせなブリードの、しかも危険だらけな戦士たちにとって「家族」同様なんだよね。
今回、やんちゃなダンテが、テスの事をルカンに相談している場面がかわいくってねぇ・・・兄弟モードばんばんで(萌)。
もっとも、ダンテの台詞の半分は「テスを讃えるリサイタル」(byジャイアン)状態だったけど・・・(爆)。
でも、オーダーのメンバーも、あの彼女のブリードメイトとしての特殊能力を拝んでしまってはリサイタル参加間近?(笑)
とにかく、まぁ、あのタラシのダンテが見事に陥落してメロメロくんになった様を1冊かけて堪能させてもらいました(笑)。

で、次回以降に思いっきり引っ張るキャラとして登場したチェイスだが・・・すごい。
初登場場面から、こんなに ヘタレフラグ を燦然と掲げて参上したキャラがかつていたか?!(笑)
シリアスな筈なのに、兄の未亡人エリスに延々片思いしている様すらヘタレで・・・あああ(^^;;
そりゃあ、ダンテに憐れな犬と同様に認識されるわ・・・あのバリバリのエリートスタイルで、あの豪快な滑りっぷりでは(^^;;
この作品の大半部分は、彼の今までを脱ぎ捨てた「目覚め」というか「序章」的内容に費やされているんだが、もはやあのヘタレっぷりでは・・・応援せずにはいられないわ!(笑)
今までの生活=エリスへの恋心への決別が、ロウグと化してしまった自身の甥で、彼女の愛息子でもある青年ブリードを殺す事だったというのが何とも切なくて・・・。
ああ、しかも次回3冊目では、その最愛の義姉エリスをしっかりテンプレよろしくオーダー戦士であるテイーガンに奪われるという・・・うっうっう。
頑~張れ~♪負け~るな~♪(by小須田さん。爆)

・・・すっかり、イジられキャラとして定着しそうだな > チェイス(爆)

脇役も相変わらずいい按配に描かれていて、このヘヴィさ、ダークさなのに本当にリズムよく読めるのが嬉しいですな。
しかし、前作で瀕死の重傷となったリオのあの姿は・・・悲しすぎる。
彼が早く戦場に、そしてオーダーの輪の中に戻ってくるのを願わずにはいられません。
そんなこんなで、ロウグ反乱軍の黒幕マレックとの戦いも激化するばかり。
物語もどんどんと広がりを見せています。
3冊目は年内に出るんで、今から楽しみです・・・10月発売予定が11月になったとかならないとか?(^^ゞ
まぁ、年内には変わりないからいいけど。
パトリシア・ワデルの紳士クラブ・シリーズ2冊目、読了~(^^)
手堅く進めながら、適度にアホネタも繰り出しつつ、の実はテンプレ的ロマンスでしたなっ。

このシリーズの親切(?)なところは、前作ラスト近くで次回 餌食 ヒーローが分かっているというところですな(笑)。
なにせ、その作品のヒーローの結婚式での付添人を務めるともれなく(?)次回ヒーローに強制決定!!みたいな(爆)。

そんなこんなで、今回の主役は前作ウォルサム侯爵マーシャルの付添人を務めたグランビー伯爵ノートンくん。
お相手は、馬好きなノートンがお買い物に出かけた厩舎の持ち主であるナイト爵ハードウィック氏の一人娘キャサリン。
定番に、キャサリンの駆る暴走名馬にノートンが轢き殺されそうになったのが出会い(笑)。
このキャサリン、親友たちがろくでなし貴族と結婚して虐待されているのを目の当たりにしているせいで、すっかり結婚観の歪んでしまった美人相続人。
ズボン姿で荒馬を駆る赤毛のじゃじゃ馬ちゃん、お約束に気が強いの何のって(^^ゞ
喧嘩っ早いし、妙に知恵者だし(^^ゞ
最初は、キャサリンの愛馬を巡っての争いが、いつの間にやら恋の駆け引きになる(笑)。
チャレンジャーの血が騒ぎ、挑まれた勝負に片っ端から付き合ったノーランの末路は、想定内なミイラとりがミイラに!(笑)

しかし、前作でも稚気あるところを見せた放蕩者ノーラン、今回はじゃじゃ馬お嬢さんに振り回されっぱなし。
遊びが本気になっていくにつれ、意地っぱりなキャサリンのかわいいところがどんどん見つかるもんだから、あっという間に転落一直線・・・まさにツンデレキターッッ!!である(爆)。

リージェンシーもののテンプレよろしく、醜聞を避ける為に結婚!って事になったが、一番喜んでいるのが花婿なのがいとおかし。
「さて、結婚も決まったんだから、今まで放っておいた分もしっかり仕事しなきゃな」とか口で言いながら、脳内はキャサリンに似合う宝石は何かな~、とか、二人の間に出来る子供は~、とか妄想に忙しい(^^;;
しかも、変に頭がいいもんで、あの花嫁なら隙を見せたら逃げ出すぞ!!と分かっているもんだから、なりふり構わん策略っぷりが大ウケ!
まんまとキャサリンをおびき寄せ、遂行されたミッション「真夜中の結婚式」は、もう頓珍漢すぎて・・・ぷーっぷっぷ。
寝間着姿の司法判事の取り仕切る結婚式って!(爆)
そりゃあ、ラスボーン子爵でなくてもその場にいたかった!(爆)

全体的に、二人のすったもんだラブラブエッチッチがメインな中、脇役の皆さんも相変わらずおいしゅうございました。
今回、やはり一番笑わせてもらったのはラスボーン子爵ね(笑)。
真夜中の結婚式翌朝の、新婚さんたちへの紅茶配達場面は大好きだわ♪
「なんといってもぼくはきみの大親友だからな。きみが結婚式に 招待し忘れた 大親友だよ」(爆)
あれだけ、付添人の呪いを恐れているくせしてーっ(笑)。
他にも前作主人公たち、マーシャルの下の妹キャサリン(今回ヒロインと同じ名前なので「小さなキャサリン」となった。笑)も美味しい登場だし、前作はチラ出程度のスターリング子爵夫妻が今回は沢山っ。
年長組では、キャサリンの父親ハードウィック卿が娘に甘い、でも貫禄もばっちりのステキな父ちゃんでした~。
でもね、やっぱりモーランド公爵様には敵わないか(笑)。
今回もいい大人になった筈のノートンを小僧よろしくばっさばっさ斬りまくり(爆)。
その上、今回はキャサリンの伯母フェリシティという猛烈オバサマが公爵とタッグ状態でうひょーっ(^^ゞ

で、次回ヒーローは呪い順番通り、今回のグランビー伯爵夫妻の結婚式の付添(今回は立会人だが)を務めたフィッチことアッカーマン伯爵。
他の明るい三人に比べると、クリミア戦争から帰還して以来、心に傷を負ったフィッチのロマンスというのは一味違いそうで期待だわ(^^)

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