愛を知った侯爵 (ベルベット文庫)
2014年7月22日 新刊レビュー
貴方には、新刊を読むことから脱落した作家はいますか?
私にはいます。
それこそ、掃いて捨てる程(笑)。
口癖が「読まず嫌いじゃありません。読んで嫌いになったのよ!」という人なので、新しい作家さんとか積極的に試し読みします。
そしてその挑戦から「ダメだこりゃ」となって脱落というパターンもあれば、今まで熱心に読み続けていたけど、段々とその作家がピークを過ぎて劣化し始めている事に気付くとこれも脱落フラグ(笑)。
人気作家だろうが、ベストセラー作家だろうが関係ありません。
「この人の作品は私には合わない」
これに尽きます。
でも、読書なんてこんなものです。
「好き」「嫌い」「合う」「合わない」ですよ。
で、本日の お題 日記で取り上げるこの作品となります。
そうです。ベストセラー作家で、日本でも人気のあるシェリー・トマス。
私が最初に読んだ本で「駄目だこりゃ! 絶対に合わないよ私には!!」と、五年前にサヨナラした作家さんです(笑)。
ちなみにその烙印を押した本は『誘惑の晩餐』(ソフトバンク文庫)。
とにかく、この作家が何を書きたいのか、どこをえぐりたいのか分からない一冊でした(笑)。
ヒロインの人物描写の堀り下げよりも、焦がしバター描写に行数を熱心に割いているというアンビリーバボーな展開に「お前は海原雄山か!!」とツッコミせざるをえないとか、しかもヒロインの作る料理が全然美味しそうに思えないという残念さ倍増っぷり(笑)。
新刊で買って楽しみに読んだのに、変に尖った話の内容と、理解不能のキャラクター達のやりとりにページを進めるのが苦痛で、何より読み終えても幸せな気分にはなれなかった。
ハッピーエンドの話を読んで、です。
余韻にも浸れなかった。ただただ、新刊でこの本を買った自分の選別眼にガッカリし、そして費やした時間に二倍ガッカリした記憶が刻まれました。
のちにトマスの作品は出版社を変えて、一冊、また一冊と翻訳書が増えました。
それでもなお、あの時のガッカリ感が頭をよぎり、そして「ああ、やっぱり私の好みと世間のニーズは真逆なんだ(´・ω・`)」としょんぼりする日々。
そんな私が、この作品を手にしたのは、ずっと愛読しているロレッタ・チェイス『悪の華にくちづけを』にインスパイアされて書いた話だという、制作秘話を聞いたからでした。
そもそも、チェイスの作品自体がクセのあるものなのですが、それを更にクセのあるトマスが解釈しスパイスを加えて作品化したとしたら…もしかして、何か化学反応が起こる?
根っからのロマンス読者としての好奇心が勝ちました。
そして五年ぶりに手にした、この『愛を知った侯爵』は…結論から先に言います。
ことのさん的には完全な大当たり本となっていました。
まだ発売されて二か月ほどの作品なので、まだ店頭にあるでしょう。
電子書籍も各ショップで出揃っていますので、あらすじ等はここでは割愛します。
トマスは、チェイスと真逆のように見えて、実は紙一重の双子のような解釈を、この作品のヒーローであるフェリックスに施しました。
愛に飢えた生い立ちから、放蕩の、悪の限りを尽くし社交界をセンセーショナルに彷徨う前者に対して、フェリックスは「理想の紳士」と称される完璧さで社交界を優雅に泳いでいる…ということになっているけど。
えーっと、つまりは エサのいらない巨大な猫を飼って被っているんだよね、フェリックスって(笑) とか最初に思った(爆)。
悪の仮面か、エサ不要のネコかの差で被っていることには違いない(笑)。
でもって、フェリックスの日常とか、嗜好とか、趣味とかが 全力で非コミュ電波を発している あたりから、なんちゅうか、ことのさん的にキタコレ(笑)。
だって、ルイーザが、昔欲しかった天体望遠鏡の話をした場面なんて…正直、いつ ♪心の友よ~っっ♪♪とジャイアンばりにリサイタル開き始めるんじゃないかとニヤニヤせざるをえなかったぐらいカワイイ不器用さ満点の挙動不審さ(笑)。
しかも、自分の気持ちの正体を認めたくないわりに、肉屋の話をきいてからの、何だよプンプンっって件のモノローグは、はっきりいってポエマー状態ですよっ\(^o^)/
多分、トマス自身は今までと変わったことを書いてるって気持ちはないと思うの。
実際、フェリックスの言動は由緒正しい(?)、アホな傲慢ヒーローが、己の策略に足元掬われミイラとりがミイラになっちゃった系(ミもフタもないぞ。笑)。
ただ、配置をちょこっといじったりしただけだと考えているんですが私は。
まず最初の時点で、あの短いながら的を得た、フェリックスの生い立ち部分をぼーんと持ってきただけ。
これは正攻法なんですか、案外クセモノであるトマスがそれをすると破壊力増すというのが分かりました。
だって、皆さんあの10数ページの生い立ち部分で、どんだけフェリックスが残念くんだろうが「まぁ、仕方ないわね(*´Д`)」とか許してしまっちゃって、なまあたたかく見守ったりしませんでしたか?! > 私はそうでした(爆)
彼が、物事をすぐに数学や物理学関係のキーワードを使うのも、昨今流行りのラノベでよく見るパターンを彷彿させます。
ヒストリカルって間延びしやすいけど、これが意外とテンポというかリズムらしきものを作り出しているように感じました。
理系じゃないから意味なんて殆どわからないのに、妙にスイスイと加速するのよね、あのテの部分が。不思議に思いました。
何が言いたいのかというと、話そのものは上手なんだけど、どうも読みにくい、読み辛い作風が一気に読み手寄りになったような印象をこの一冊から感じ取ったのです。
前の尖がった作風が好きな読者には、物足りないかもしれません。
ですが、脱落作家に再チャレンジした私にはいい塩梅となりました(;^ω^)
まさか、五年ぶりに再チャレンジする作家が出てくるとは…案外、作家以上に私の好みも変わってきているのかもしれないなぁ、とか思いつつ(いや、多分それは錯覚。笑)。
でも、こういう事があると、脱落した作家の中にお宝があるかも…とか考えちゃいますね。
トマスの他の作品に挑戦するかは、まだ保留。
とりあえずは、フェリックスくんのあれこれを思い出しながらニヤニヤして余韻に浸るとします(笑)。
あとは余談ですが、中に出てくる「ノブレス・オブリージュ」ってどこかで聞いたことがあるなぁ、ともやもやしていたけと、あれだ。
アニメ『東のエデン』のセレソンに対する挨拶だ(笑)。
私にはいます。
それこそ、掃いて捨てる程(笑)。
口癖が「読まず嫌いじゃありません。読んで嫌いになったのよ!」という人なので、新しい作家さんとか積極的に試し読みします。
そしてその挑戦から「ダメだこりゃ」となって脱落というパターンもあれば、今まで熱心に読み続けていたけど、段々とその作家がピークを過ぎて劣化し始めている事に気付くとこれも脱落フラグ(笑)。
人気作家だろうが、ベストセラー作家だろうが関係ありません。
「この人の作品は私には合わない」
これに尽きます。
でも、読書なんてこんなものです。
「好き」「嫌い」「合う」「合わない」ですよ。
で、本日の
そうです。ベストセラー作家で、日本でも人気のあるシェリー・トマス。
私が最初に読んだ本で「駄目だこりゃ! 絶対に合わないよ私には!!」と、五年前にサヨナラした作家さんです(笑)。
ちなみにその烙印を押した本は『誘惑の晩餐』(ソフトバンク文庫)。
とにかく、この作家が何を書きたいのか、どこをえぐりたいのか分からない一冊でした(笑)。
ヒロインの人物描写の堀り下げよりも、焦がしバター描写に行数を熱心に割いているというアンビリーバボーな展開に「お前は海原雄山か!!」とツッコミせざるをえないとか、しかもヒロインの作る料理が全然美味しそうに思えないという残念さ倍増っぷり(笑)。
新刊で買って楽しみに読んだのに、変に尖った話の内容と、理解不能のキャラクター達のやりとりにページを進めるのが苦痛で、何より読み終えても幸せな気分にはなれなかった。
ハッピーエンドの話を読んで、です。
余韻にも浸れなかった。ただただ、新刊でこの本を買った自分の選別眼にガッカリし、そして費やした時間に二倍ガッカリした記憶が刻まれました。
のちにトマスの作品は出版社を変えて、一冊、また一冊と翻訳書が増えました。
それでもなお、あの時のガッカリ感が頭をよぎり、そして「ああ、やっぱり私の好みと世間のニーズは真逆なんだ(´・ω・`)」としょんぼりする日々。
そんな私が、この作品を手にしたのは、ずっと愛読しているロレッタ・チェイス『悪の華にくちづけを』にインスパイアされて書いた話だという、制作秘話を聞いたからでした。
そもそも、チェイスの作品自体がクセのあるものなのですが、それを更にクセのあるトマスが解釈しスパイスを加えて作品化したとしたら…もしかして、何か化学反応が起こる?
根っからのロマンス読者としての好奇心が勝ちました。
そして五年ぶりに手にした、この『愛を知った侯爵』は…結論から先に言います。
ことのさん的には完全な大当たり本となっていました。
まだ発売されて二か月ほどの作品なので、まだ店頭にあるでしょう。
電子書籍も各ショップで出揃っていますので、あらすじ等はここでは割愛します。
トマスは、チェイスと真逆のように見えて、実は紙一重の双子のような解釈を、この作品のヒーローであるフェリックスに施しました。
愛に飢えた生い立ちから、放蕩の、悪の限りを尽くし社交界をセンセーショナルに彷徨う前者に対して、フェリックスは「理想の紳士」と称される完璧さで社交界を優雅に泳いでいる…ということになっているけど。
えーっと、つまりは エサのいらない巨大な猫を飼って被っているんだよね、フェリックスって(笑) とか最初に思った(爆)。
悪の仮面か、エサ不要のネコかの差で被っていることには違いない(笑)。
でもって、フェリックスの日常とか、嗜好とか、趣味とかが 全力で非コミュ電波を発している あたりから、なんちゅうか、ことのさん的にキタコレ(笑)。
だって、ルイーザが、昔欲しかった天体望遠鏡の話をした場面なんて…正直、いつ ♪心の友よ~っっ♪♪とジャイアンばりにリサイタル開き始めるんじゃないかとニヤニヤせざるをえなかったぐらいカワイイ不器用さ満点の挙動不審さ(笑)。
しかも、自分の気持ちの正体を認めたくないわりに、肉屋の話をきいてからの、何だよプンプンっって件のモノローグは、はっきりいってポエマー状態ですよっ\(^o^)/
多分、トマス自身は今までと変わったことを書いてるって気持ちはないと思うの。
実際、フェリックスの言動は由緒正しい(?)、アホな傲慢ヒーローが、己の策略に足元掬われミイラとりがミイラになっちゃった系(ミもフタもないぞ。笑)。
ただ、配置をちょこっといじったりしただけだと考えているんですが私は。
まず最初の時点で、あの短いながら的を得た、フェリックスの生い立ち部分をぼーんと持ってきただけ。
これは正攻法なんですか、案外クセモノであるトマスがそれをすると破壊力増すというのが分かりました。
だって、皆さんあの10数ページの生い立ち部分で、どんだけフェリックスが残念くんだろうが「まぁ、仕方ないわね(*´Д`)」とか許してしまっちゃって、なまあたたかく見守ったりしませんでしたか?! > 私はそうでした(爆)
彼が、物事をすぐに数学や物理学関係のキーワードを使うのも、昨今流行りのラノベでよく見るパターンを彷彿させます。
ヒストリカルって間延びしやすいけど、これが意外とテンポというかリズムらしきものを作り出しているように感じました。
理系じゃないから意味なんて殆どわからないのに、妙にスイスイと加速するのよね、あのテの部分が。不思議に思いました。
何が言いたいのかというと、話そのものは上手なんだけど、どうも読みにくい、読み辛い作風が一気に読み手寄りになったような印象をこの一冊から感じ取ったのです。
前の尖がった作風が好きな読者には、物足りないかもしれません。
ですが、脱落作家に再チャレンジした私にはいい塩梅となりました(;^ω^)
まさか、五年ぶりに再チャレンジする作家が出てくるとは…案外、作家以上に私の好みも変わってきているのかもしれないなぁ、とか思いつつ(いや、多分それは錯覚。笑)。
でも、こういう事があると、脱落した作家の中にお宝があるかも…とか考えちゃいますね。
トマスの他の作品に挑戦するかは、まだ保留。
とりあえずは、フェリックスくんのあれこれを思い出しながらニヤニヤして余韻に浸るとします(笑)。
あとは余談ですが、中に出てくる「ノブレス・オブリージュ」ってどこかで聞いたことがあるなぁ、ともやもやしていたけと、あれだ。
アニメ『東のエデン』のセレソンに対する挨拶だ(笑)。
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