日本初上陸のアメリア・グレイの作品です。
これは嬉しい驚きです!

何が驚きなのかといいますと、この作品の 地味で安定した進行具合 にありました。
最初から「あら。何かバーバラ・カートランド作品を読んでいる気分~」というデジャヴ感があったのですが、もう、全然はずしてなかったよ?!
ことのさんのこのデジャヴ感!!

田舎住まいの伯爵令嬢ミリセントちゃん、叔母からロンドンに呼び出される。
怪我をしたので世話をしてちょうだいと言われたので出かけると、真の目的を語られる。
何と叔母は、ロンドンの社交界で話題のゴシップ記事を書いている「トゥルーフィット卿」その人で、その記事の代筆を頼まれたのだった。
ミリセントは、自分の母親がかつて若い頃にゴシップ記事のせいで社交界を追われた過去もあり、ゴシップ記事に対して悪い印象しかないのだが、叔母の生活費の為に仕方なく引き受ける羽目に。
そんな彼女が、ネタをダンスカードにせっせこ書きとめていたところをとある人間に見つかってしまう。
放蕩伯爵三人衆として有名なダンレイヴン伯爵チャンドラーに見つかってしまう…というお話。

いや、もう、何なのこの王道!
こっ恥ずかしいまでのド直球なボーイ・ミーツ・ガールものですよ?!
そもそも、初対面からお互いひとめ惚れ状態なんですってば。
放蕩の限りを尽くしたわりに、中味がピュアなチャンドラーくんの「もうそろそろ30歳近いし、お嫁さんもらって子供作らないとねー。ステキな奥さん欲しいな♪」的な思考を読んだかの如くのミリセントちゃんとの出会いキタコレ!
何、何ですかこの美人!!
運命の出会いじゃん、って勢いでここから先のチャンドラーは愉快なストーカーに近い有り様となるのですが(笑)。
仮にもいい年の百戦錬磨の伯爵様が、ミリセント会いたさに犬を避けて屋敷に忍び込み木登りとかしててへぺろ☆しているのを誰かツッコミしろよ、ぐらいには(爆)
また、ミリセントちゃんがピュアピュアなわりに頭のよいお嬢さんで「まぁ。仕方ない人ね(^^ゞ」とか、どっちが年上だか的場面もちらほら。

そうなのだよー。キチンと人の話を聞いて、キチンと話が出来る主人公たちの話がこれだけストレス少なく楽しく読めるというのを再認識ですよマジ。
実際、ダンレイヴン伯爵家を含む被害が多発している家宝盗難事件の犯人捜しの時期と、ミリセントのロンドン訪問時期が丁度被っていたのもあって、チャンドラーの中で疑わしい人物リストの中に彼女の名前が挙がるという展開もお約束。
が、昨今のロマンス本でよくある、勝手に自分で抱え込んだまま悶々して2人の関係がこじれてしまうような事もありませんでした。
何せ嘘をつくのが苦手な2人なもので、さっさと彼女に自分の疑念をぶちまけるのがチャンドラーだし、自分の正体だけは明かさないではいても、誠意をもって事件の調査に協力するのがミリセントだ。
おかげで、ロマンスに専念出来て、尚且つ盗難事件についての部分を2人で共有することによって一石二鳥。
しかしこの2人、ラブラブで、お互い以外に見えてないのに、どうも家族のことを大事にしすぎるミリセントの事情が邪魔をするんですよね。
しかもそれを教えてもらえないんだが(ミリセント個人の事情でないから)、チャンドラーはそこでキレたり、八つ当たりしたりしない。ただ哀しげに悶々しているだけ…そこらへんもピュアで可愛いのよチャンドラー(笑)。
ミリセントに首ったけすぎて、本当に可愛い(笑)

自分の正体を隠しているヒロイン、とかいう設定は、いかんせん「嘘をついている」というものなので賛否両論になりがちだが、これは違います。
やれ復讐だ敵討ちだ誘惑だとかいうイタイ二次的事情もないので。
主役2人がゴシップを嫌っている事情もヘヴィとはいえないし、何より読んでもらえれば、それが読者に不快感を与えるものでないのが一目瞭然。
つまりは、そうなのです。
マイナス要素の限りなく少ない(叔母さんが若干鼻につくが、スルー範囲かと)、分かりやすい王道ピュアピュアラブラブものっっ!!
いやー。
最初は愛人候補にするつもりが、ズブズブと本気になりマジ惚れ、「たとえ貴族令嬢でなくても僕のお嫁さんは彼女しかいないよっ☆」、結局は貴族令嬢でしたヤホーとか、かつてカートランド・ロマンスのテンプレを彷彿させるこのオチ!
バーバラスキーな方は読んでもらいたいな♪

そんなこんなで、すっかりお気に入り作家になったよ!
もう1冊の方も買ってるから、これから読むの楽しみになってきたわ~♪

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