ウィンズピアの翻訳新刊、読了。
うっしっし!! これだからウィンズピア作品を読むのをやめられませんってば!!

そんなこんなで、お亡くなりになって既に24年にもなりますが、まだまだ未翻訳作品があるので、こうやって新しい作品を読めます。
読者としてはありがたいです。
というわけでこれは1974年作品なんですが、ああ!まさに中身がその頃のものです!!
何がって、この全くもってエロエロエッサイムひゃっはー!!なご時勢に、朝チュンどころかチュウ止めですぜ?!
けしからん! もっと下さいおかわり下さい!! > リリカルダイスキー(笑)

お話は、両親を亡くしたジェーンは、美しいながら我侭で意地悪い伯母にこき使われる毎日。
伯母の娘も似たような軽薄な美女だったが、その彼女が玉の輿を狙って公爵の位を持つ男性と婚約したはいいが、彼が非嫡出の息子がいる。
予想通り、自分が一番可愛い人間にとって、コブ付きな上にブラジルに拠点を持つ相手にド田舎に連れて行かれるというので、弱腰になった挙句ドタキャンすることに。
こうなってくると、尻ぬぐいさせられるのは、使用人同様に扱われているジェーン。
直接、婚約破棄を伝える度胸のない母娘は、当然のようにジェーンにその任務を押し付けてさっさとトンズラ。
ジェーンは、その相手の公爵ペドロに会いに行ったのだが、そこでペドロは息子の子守として働くことを彼女に提案したのだった。

よくある契約結婚ものではなく、まずは子守として若いヒロインを己のテリトリーに誘い込む公爵キタコレ!!(笑)
美女というのではなく、不思議な妖精ちゃんのようなジェーンを逃すまいとするペドロのトーキングアタックすごいぞ(笑)
この2人、どっちもどっちで人と愛に対して懐疑的なんですが、根気比べのような雰囲気すらしましたね。告白するのはどっちが先?!といった風に。
ジェーンがまた、芯の強い女性で22歳ながら達観しているフシもあるのに、恋愛に関しては真っ白なところがたまらん可愛さですね!
ペドロの息子トリスタオがまたかわいいんで、この少年とジェーンの場面は本当に和んでしまいます。
あー。ペドロでなくても、ラブラブがすぎるぐらいに愛でたい気分ですよ。
ただ、こういったおだやかなムードで終始するのかと思いきや、そこはウィンズピア。
ブラジルのジャングルに抱かれた邸宅でのロマンスのこの話、2人の思いが通じる場面からラストまでが何ともドラマテイック!
直接的な事は描かれてはいませんが、ペドロの置かれた立場の危うさを、あの最後の、上空から見る炎上する思い出の場所が物語るという情緒ある技はさすがです。

こういう、余韻のあるラストシーンを最近、お目にかかっていなかったのかもしれません。
あと、翻訳が霜月さんというのもあって、とにかくウィンズピアの世界観を美しく読ませて戴いたのもあったのでしょう。
非常に満足しました。

「懐かしい雰囲気に浸りたい」
「昔の白い表紙のハーレクインロマンスを読んだような気持ちになりたい」

そんな読者の方に、どうぞこの一冊を。
古典を古典らしく読ませてもらえる、これは今となっては贅沢な話なのです。
美しいウィンズピアの世界を、美しく読ませてもらえた事に感謝しつつ。

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