ジョージェット・ヘイヤーの翻訳新刊、読了。
おとん無双!(爆)

いや、ヘイヤー作品というのは、いかんせん斜め上キャラしかいない事は承知なのですが(いや、それもどうかと思うよ)、その中でも群を抜いたキャラクターがこの作品では登場しました。
主人公姉弟の父親ロバートさんです。
ハンパないです。
破壊力でいうなら、今までの翻訳本全ての中でもぶっちぎりです。
というか、リミッター解除すぎますYO!
「主役は誰だ?」「え?お父さんだよね」「だよねー」とか言ってるそこのアナタ!
ことのさんも賛成だ(キッパリ)

そんなこんなで、諸事情により自分たちの身分を明かせず、姉プルーデンスは男装しピーターという青年として、弟ロビンは女装しケイトという令嬢として性別を入替てロンドンに現れた。
その美貌で社交界の人気者となる2人が、偶然知り合ったのが、女相続人の令嬢レティシアと、その幼馴染みの紳士サー・アントニー・ファンショー。
サー・アントニーは何かとピーター(プルーデンス)の面倒を見てくれ、2人の間に友情が芽生えるのだが、正体を明かす事の出来ないゆえに・・・という、王道のとりかえばやもの!
が、そこがヘイヤー作品ゆえに、こんがらがって・・・ぷっぷっぷ。

まず、ヒロインであるプルーデンスも普通と考えるには・・・うーむ。
理知的だというのは分かるんですが、いかんせんあの父親の娘なのが端々に出るちゃきちゃきした策士さ(笑)。
でも、あの時代で女神の如き長身と美貌、確かにその時点で変わり種なんですが・・・これが、合うんだわ。
のんびり大きく、いつも眠そうなサー・アントニーと(爆)。
何気に年寄り(暴言)なサー・アントニーことトニーさん、年の差なプルーデンスの正体にさっさと気付くものの、そこは大人なので様子を見るんだが・・・気が長い。
本当に呑気というか、好き好き大好き主張しているものの、気付けばプルーに丸め込まれているし(^^ゞ
ワタクシ、ああいう懐が深く広く、でも癒し系な大型くんが大好物なのでニヨニヨ笑いが止まりません!
しかし、このプルーが策士なら、弟ロビンは限りなくあの父親に近い詐欺師クラスタ(笑)。
女装しつつも、しっかり好みの女性であるレティシアに、こっそり女装解除してアピールしたりしてちゃっかり者すぎるんだが、かといって女装している時のそのなりきりっぷりも半端ない(笑)。
しなをつくってオホホと扇子の向こうで微笑みまくる姿は、正直なところ姉ちゃんよりも女子度が高い(爆)。
いいぞロビン!たとえチビ、あ、いや。小柄でもデキる男だ!(は?)
(もう、何か枕詞か鉄板かお約束かっていうぐらい、ロビンの身長が足りない事が、表現方法や文面変えて登場する。これがトニーの大きいぞ表現と対照的でまた笑えるんだが)
そして、そんなロビンの彼女となるレティーさんが・・・どう見ても災難体質レディ(笑)。
最初が彼女の駆け落ち騒ぎ、そしてクライマックスも駆け落ち強要事件と、まぁ、何とも(^^ゞ
もっとも、配線がかなりホニャララなので、ロビンの正体を知っても斜め上反応すぎてワロタ!!
何て割れ鍋に綴じ蓋カップルなんだい!!
もっとも、それらの全てを手のひらの上で転がすかのような詐欺っぷりと悪知恵のカーニバルなのが、「老紳士」ことプルーとロビンの父親ロバートさん。
いやはや、悪役からの脅迫場面をこんなに爆笑しながら読んだ作品って、ないんでないのかしら?
どう見ても、脅迫している悪役マーカムくんが「??あれ??で、結局どうなったんだこれ?(^^;;」とか、首を10万回ぐらい傾げてそうな展開ですよ、あれ(爆)。
ロマンティックなクライマックスも、この父ちゃんにかかれば騙しあいのデッドバトル(笑)。
脳内がOutlander配線の人間としては、このロバートさんが最前線でジャコバイトを仕切ってくれていたら、あのボニー・チャーリーも負けなかったのでは?!とかいう錯覚すら覚えました(爆)
他の脇役も出色揃いで、最初から最後まで悪役だったのに立派なやられキャラだったマーカムをはじめ、男装のプルーの良き友人となるチャールズなどいっぱい。
が!マストキャラは、なんつーても従僕のジョン!
つまりは彼が、最後の切り札なワケですよ、いろんな意味で(読めば分かる。笑)

本当に、ヘイヤー作品というのは古典でありながら、昨今の大量生産されたヒストリカルと比べると実に新鮮。
いや、新鮮というよりは「色褪せない」といった方が正しいのか。
書かれたのが80年以上前の作品、今だ読み次がれながらの名作は時間を忘れて読める恋愛狂想曲でございました。
ただ、老紳士のキャラクターを笑って楽しめるか、それともウザいと感じるかによって、この作品の評価はパッカリ分かれると思います。
あと、シャレの分かる人でないと駄目かもな(笑)。
「主人公たちのロマンス部分を喰ってまで、何でこのジジイが出しゃばっているの?!」とかいう方には決して薦めません(笑)。
でもね、狂言廻しの彼がいないと、この話、始まらないし、終わらないんだよ?と、少し落ち着いてからの皆様のコメントを期待しつつ(笑)

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