運命は花嫁をさらう (テレサ・マデイラス)
2012年8月31日 新刊レビュー
今日で8月も終わりですね。
学生の皆さん、夏休みの宿題は終わったでしょうか?
ことのさん、大人なので学校の宿題はありませんが、諸事情(爆)によりいろんな宿題を常に抱えております(笑)。
その中に、どうしても、どうしても 消えて無くなってくれない感想待ちの本 というものがありまして(ゴルァ!!)。
アレですね。
苦手な教科の宿題が最後まで残る、ってヤツです(^^;
そんな山の中、ある意味「コイツをどうにかしたら勢い、つくんでね?!」という極めつけの一冊を、夏休み最後の日に 晒して 書いておこうかと思います。
最初に言っておきます。
下記にあてはまる方は、決して今日の日記は読まないで下さい(棒読み)。
◎ネタばれが駄目な人
◎ステキなヒーローさえいればロマンスじゃないの!と思える心の広い人
◎細かいところまで気にせずに雰囲気だけで読書可能の超絶スキルの人
◎作家に絶大の信頼感を持って読書に挑める大人な人
◎テレサ・マデイラス作品の大ファンの人
◎毒舌ツッコミが怖い人(爆)
さて。前置きが長くなりましたが、今年の春に出ましたテレサ・マデイラスのスコットランドものです。
原題が「The Devil Wears Plaid」(キルトを着た悪魔)という、この時点でこの作品を疑ってかかるべきでしたが、後の祭りです。
設定にツッコミするだけで、一ヶ月ぐらい自問自答を繰り返してましたので、読んだ実感が今だありません(爆)
あらすじとか、もうどうでもいいんで(ゴルァ!)、そんなことのさんの独りツッコミ大会の一部を抜粋していきます。
貧しいイングランドの準男爵令嬢エマが、家族を救おうとスコットランドの裕福な老伯爵ヘップバーンに嫁ぐ事になるんだが、この冒頭だけで30分は疑問の山(笑)
・牧師
つまり、プロテスタントですよね? スコットランドの、しかもハイランド氏族の族長の結婚式が「プロテスタント」・・・ほほぅ。改宗なさったのはいつごろ?
それをおいても、結婚式に出ているのがこの氏族の方は又甥とちょこっとの人、あとは野次馬おばさん達・・・えーっと、「強大な力を持つ氏族」だった筈よね? いや、氏族っていうのは一家一族だけでなく、小作人とかも含めた共同体の総称なんですが・・・誰もいなさすぎ(爆)。お前ん家の財源となる民はどこにいる?!(爆)
このじいさんのあれこれを読むたびに余りの自称盛りっぷりに「『劇団ひとり』ならぬ『氏族ひとり』か、ジジイ!!」とか思ったり(^^;
・花嫁が持っているヘザーのドライフラワーのブーケ
金持ちの伯爵の花嫁がそれ? 何で? 花というより、草だよ、あれ(笑)。しかもヘザーって生の花はキレイけど、ドライフラワーって言ってはナニですが色は辛気臭いし、細かいゴミばかり出る(笑)。確かにヘザー=ハイランドの花だが、そのお約束から入ったにしても妙でお粗末。どうせなら、アザミの方がまだ説得力あったかも。
・イングランド王のお気に入りの伯爵
このじいさんが年齢80歳。ハイランドからロンドンまで、あの時代にお気に入りになるぐらいロンドンの社交界に、国王のお膝元に通ってたとしたら驚愕。交通手段が馬車しかない時代に、80歳のじいさんにそれは無理だ(21世紀に高速鉄道を使っても乗継を重ねて8時間以上かかります。実証しました。笑)。もっと細かく言うなら、この物語の設定は1810年代。その時点では、まだイングランド王はスコットランドに一歩も足を踏み入れておりません。ジョージ四世がチャールズ一世以来のスコットランド入りをはたすのは1822年です。
・結婚式にキルト姿の花婿
これが上とかぶります。自称か他称かは知らんが「イングランド国王のお気に入り」の人間が、その時点ではイングランド側に公式に禁じられているキルト正装で、公式行事に挑むというのが解せない(1822年のスコットランド訪問時にジョージ四世がキルト姿で公の場に出てきたから、キルト解禁という見解になっている)
・フォート・ウィリアムを拠点にした200年続く名門氏族
ほほぅ。それはすごい。 イングランド軍のハイランド征伐の最前線の町で200年も変わらずに権勢を誇って財力をもって?!
どうやって生き延びたとかいうのを超越して、ただただ繁栄していたの!とか言われた時点で疑ったのは私だけか?この町の名前の由来はオレンジ公ウィリアムの名前から。「ウィリアム砦」が直訳、そのフォート・ウィリアムの砦と城がイングランド軍によって作られたのは1635年(1690年再建)。ほぼ、このヘプバーン氏族の歴史とただかぶりなのが、不思議でならない。
・死んだ息子たち
で、そのヘプバーンのじいさんには息子が結構いたんだが、全て戦いで死んだという事になっている。そこで疑問だ。「何の戦い」で死んだんだ? 第二次ジャコバイドの反乱(1746年)だとすると、ますます辻褄があわない。たとえそれだったとしても、このヘプバーン氏族はどっち側で戦ったのだ?! ジャコバイド側だとしたら、今頃はこんなに金持ちのワケはなく、逆にイングランド側に組していたとしてもあのジャコバイド拠点のご近所で無傷のワケはない。謎だ。誰と戦ったんだ(笑)
・私生児云々の話
この人たち、生粋のスコットランド人だよね?
じゃあ、何でヒーローの生い立ちを「私生児」と頭から決め付けるのかが謎。
宣誓による変則的婚儀を承認しているスコットランド(だから、イングランドの人間がスコットランドに駆け落ちしに来るんだよ)の人間なら、まずそこを疑えよ!と、物語クライマックスで某真相を語るキャラにツッコミしたのは至極当然でしょ? それが重要な話のキモでした、とか言われてもねぇ(^^;;
と、まぁ、これはほんの一部です(おいおい)。
ヒロインとヒーローのロマンスがステキならいいじゃない!とかいうステキ読者の方には、全く理解し難いぐらい仏頂面で読んでましたが、この調子なんで全く先に進みません(笑)。
ついでに、ヒロインが嫁ぐに至っての家族のあれやこれやも非常にイタくて、この人達の為に犠牲に、とかいう割にヒロインが周辺の金目のものチェックを怠っていない描写がトホホさを演出(笑)。
何より引っかかるのが、さっきから何度も書いてる「舞台設定の珍妙さ」なんですよ。
どうしてフォート・ウィリアムでなければならなかったのか?
そんな、政治的にも表舞台を極めた場所でなくてはならなかったのか?
思い当たる原因らしきものが、一つしかなくてね。
本編をお読みになった方は、何となく気付かれたかと思います。
このフォート・ウィリアムが、ベン・ネヴィスの山のふもとの町だからです。
何度も出てくるんですよ!
ロマンチックな、山の描写が! 雪景色のベン・ネヴィスが!! ロマンチックを通り越して吹き出すレベルで!!
つうか、もしそれが理由でその町を選んで、設定破綻てんこ盛りになったとしたら、ただのミーハーの自爆 じゃん、と冷たい私は笑ったんですがね(^^;
気持ち分からなくもないんだけどねー。
グレートブリテンで一番高い山だし、春でもまだ雪は残っているし(日本人から見たらたかだか1344メートルの山なんで、あれが一番高い山と言われてもピンときませんでしたが。笑)。
ま、何だかんだと言ってもフォローする気もないんですがね。
ベン・ネヴィス山 なんてネタをいきなり物語冒頭近くでかまされてはね。
(注 ベン ben というのは、ゲール語の『山』。つまり直訳したらネヴィス山の山? 正しくはベン・ネヴィスだけか、ネヴィス山。ルビ対処してほしかったのが本音)
日本語のガイドブックとかでは、もう当たり前のようにベン・ネヴィス山って書いてあるけど、ここは翻訳小説だから、もうちょっと・・・トホホ(^^;
結局は山だったんだ。
ベン・ネヴィスだったんだよ、多分。
「まぁ、雪景色のベン・ネヴィスを背景に、禁じられた愛の物語が展開なんてステキ・・・(うっとりロマンチック)」
そこでうっとりするどころか、「ちぇっ、どうせならそんなミーハー心はきっぱり捨てて、スコットランドでもローランドあたりを舞台に手を打てば、この破綻ネタの半分は無かったろうに。もしくは、ハイランドでも超有名で史実がある町でなく、潔くベン・ネヴィス諦めて架空の町にしてりゃあ・・・」と閻魔帳を真っ黒になる勢いで書きつらねたあたり、残念な読者ですんません(笑)
もう、ここまで書いた時点で、また色々思い出して自家発電しそうなんで、ここらへんでやめときます(^^;
いや、ホンマにいろいろと懲りました(^^;
いろんな意味で( ̄▽ ̄;)ノ
学生の皆さん、夏休みの宿題は終わったでしょうか?
ことのさん、大人なので学校の宿題はありませんが、諸事情(爆)によりいろんな宿題を常に抱えております(笑)。
その中に、どうしても、どうしても 消えて無くなってくれない感想待ちの本 というものがありまして(ゴルァ!!)。
アレですね。
苦手な教科の宿題が最後まで残る、ってヤツです(^^;
そんな山の中、ある意味「コイツをどうにかしたら勢い、つくんでね?!」という極めつけの一冊を、夏休み最後の日に
最初に言っておきます。
下記にあてはまる方は、決して今日の日記は読まないで下さい(棒読み)。
◎ネタばれが駄目な人
◎ステキなヒーローさえいればロマンスじゃないの!と思える心の広い人
◎細かいところまで気にせずに雰囲気だけで読書可能の超絶スキルの人
◎作家に絶大の信頼感を持って読書に挑める大人な人
◎テレサ・マデイラス作品の大ファンの人
◎毒舌ツッコミが怖い人(爆)
さて。前置きが長くなりましたが、今年の春に出ましたテレサ・マデイラスのスコットランドものです。
原題が「The Devil Wears Plaid」(キルトを着た悪魔)という、この時点でこの作品を疑ってかかるべきでしたが、後の祭りです。
設定にツッコミするだけで、一ヶ月ぐらい自問自答を繰り返してましたので、読んだ実感が今だありません(爆)
あらすじとか、もうどうでもいいんで(ゴルァ!)、そんなことのさんの独りツッコミ大会の一部を抜粋していきます。
貧しいイングランドの準男爵令嬢エマが、家族を救おうとスコットランドの裕福な老伯爵ヘップバーンに嫁ぐ事になるんだが、この冒頭だけで30分は疑問の山(笑)
・牧師
つまり、プロテスタントですよね? スコットランドの、しかもハイランド氏族の族長の結婚式が「プロテスタント」・・・ほほぅ。改宗なさったのはいつごろ?
それをおいても、結婚式に出ているのがこの氏族の方は又甥とちょこっとの人、あとは野次馬おばさん達・・・えーっと、「強大な力を持つ氏族」だった筈よね? いや、氏族っていうのは一家一族だけでなく、小作人とかも含めた共同体の総称なんですが・・・誰もいなさすぎ(爆)。お前ん家の財源となる民はどこにいる?!(爆)
このじいさんのあれこれを読むたびに余りの自称盛りっぷりに「『劇団ひとり』ならぬ『氏族ひとり』か、ジジイ!!」とか思ったり(^^;
・花嫁が持っているヘザーのドライフラワーのブーケ
金持ちの伯爵の花嫁がそれ? 何で? 花というより、草だよ、あれ(笑)。しかもヘザーって生の花はキレイけど、ドライフラワーって言ってはナニですが色は辛気臭いし、細かいゴミばかり出る(笑)。確かにヘザー=ハイランドの花だが、そのお約束から入ったにしても妙でお粗末。どうせなら、アザミの方がまだ説得力あったかも。
・イングランド王のお気に入りの伯爵
このじいさんが年齢80歳。ハイランドからロンドンまで、あの時代にお気に入りになるぐらいロンドンの社交界に、国王のお膝元に通ってたとしたら驚愕。交通手段が馬車しかない時代に、80歳のじいさんにそれは無理だ(21世紀に高速鉄道を使っても乗継を重ねて8時間以上かかります。実証しました。笑)。もっと細かく言うなら、この物語の設定は1810年代。その時点では、まだイングランド王はスコットランドに一歩も足を踏み入れておりません。ジョージ四世がチャールズ一世以来のスコットランド入りをはたすのは1822年です。
・結婚式にキルト姿の花婿
これが上とかぶります。自称か他称かは知らんが「イングランド国王のお気に入り」の人間が、その時点ではイングランド側に公式に禁じられているキルト正装で、公式行事に挑むというのが解せない(1822年のスコットランド訪問時にジョージ四世がキルト姿で公の場に出てきたから、キルト解禁という見解になっている)
・フォート・ウィリアムを拠点にした200年続く名門氏族
ほほぅ。それはすごい。 イングランド軍のハイランド征伐の最前線の町で200年も変わらずに権勢を誇って財力をもって?!
どうやって生き延びたとかいうのを超越して、ただただ繁栄していたの!とか言われた時点で疑ったのは私だけか?この町の名前の由来はオレンジ公ウィリアムの名前から。「ウィリアム砦」が直訳、そのフォート・ウィリアムの砦と城がイングランド軍によって作られたのは1635年(1690年再建)。ほぼ、このヘプバーン氏族の歴史とただかぶりなのが、不思議でならない。
・死んだ息子たち
で、そのヘプバーンのじいさんには息子が結構いたんだが、全て戦いで死んだという事になっている。そこで疑問だ。「何の戦い」で死んだんだ? 第二次ジャコバイドの反乱(1746年)だとすると、ますます辻褄があわない。たとえそれだったとしても、このヘプバーン氏族はどっち側で戦ったのだ?! ジャコバイド側だとしたら、今頃はこんなに金持ちのワケはなく、逆にイングランド側に組していたとしてもあのジャコバイド拠点のご近所で無傷のワケはない。謎だ。誰と戦ったんだ(笑)
・私生児云々の話
この人たち、生粋のスコットランド人だよね?
じゃあ、何でヒーローの生い立ちを「私生児」と頭から決め付けるのかが謎。
宣誓による変則的婚儀を承認しているスコットランド(だから、イングランドの人間がスコットランドに駆け落ちしに来るんだよ)の人間なら、まずそこを疑えよ!と、物語クライマックスで某真相を語るキャラにツッコミしたのは至極当然でしょ? それが重要な話のキモでした、とか言われてもねぇ(^^;;
と、まぁ、これはほんの一部です(おいおい)。
ヒロインとヒーローのロマンスがステキならいいじゃない!とかいうステキ読者の方には、全く理解し難いぐらい仏頂面で読んでましたが、この調子なんで全く先に進みません(笑)。
ついでに、ヒロインが嫁ぐに至っての家族のあれやこれやも非常にイタくて、この人達の為に犠牲に、とかいう割にヒロインが周辺の金目のものチェックを怠っていない描写がトホホさを演出(笑)。
何より引っかかるのが、さっきから何度も書いてる「舞台設定の珍妙さ」なんですよ。
どうしてフォート・ウィリアムでなければならなかったのか?
そんな、政治的にも表舞台を極めた場所でなくてはならなかったのか?
思い当たる原因らしきものが、一つしかなくてね。
本編をお読みになった方は、何となく気付かれたかと思います。
このフォート・ウィリアムが、ベン・ネヴィスの山のふもとの町だからです。
何度も出てくるんですよ!
ロマンチックな、山の描写が! 雪景色のベン・ネヴィスが!! ロマンチックを通り越して吹き出すレベルで!!
つうか、もしそれが理由でその町を選んで、設定破綻てんこ盛りになったとしたら、ただのミーハーの自爆 じゃん、と冷たい私は笑ったんですがね(^^;
気持ち分からなくもないんだけどねー。
グレートブリテンで一番高い山だし、春でもまだ雪は残っているし(日本人から見たらたかだか1344メートルの山なんで、あれが一番高い山と言われてもピンときませんでしたが。笑)。
ま、何だかんだと言ってもフォローする気もないんですがね。
ベン・ネヴィス山 なんてネタをいきなり物語冒頭近くでかまされてはね。
(注 ベン ben というのは、ゲール語の『山』。つまり直訳したらネヴィス山の山? 正しくはベン・ネヴィスだけか、ネヴィス山。ルビ対処してほしかったのが本音)
日本語のガイドブックとかでは、もう当たり前のようにベン・ネヴィス山って書いてあるけど、ここは翻訳小説だから、もうちょっと・・・トホホ(^^;
結局は山だったんだ。
ベン・ネヴィスだったんだよ、多分。
「まぁ、雪景色のベン・ネヴィスを背景に、禁じられた愛の物語が展開なんてステキ・・・(うっとりロマンチック)」
そこでうっとりするどころか、「ちぇっ、どうせならそんなミーハー心はきっぱり捨てて、スコットランドでもローランドあたりを舞台に手を打てば、この破綻ネタの半分は無かったろうに。もしくは、ハイランドでも超有名で史実がある町でなく、潔くベン・ネヴィス諦めて架空の町にしてりゃあ・・・」と閻魔帳を真っ黒になる勢いで書きつらねたあたり、残念な読者ですんません(笑)
もう、ここまで書いた時点で、また色々思い出して自家発電しそうなんで、ここらへんでやめときます(^^;
いや、ホンマにいろいろと懲りました(^^;
いろんな意味で( ̄▽ ̄;)ノ
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