さてはて。
前作にて脳天ぶち抜かれたダールのコンテンポラリー、2冊目読了。
すげぇよ!!

いや、前回みたいに官能小説家がどうとかいうのではなくて!
1冊目をすすーっと読んでいると、この巻で「えっ?!」となりまっせ。
それぐらい細かいところまで上手かった。
今回の主人公は、前作のヒロインであるモリーの親友ローリ。
そしてお相手はモリーの兄で建築家のクイン。
旧知の2人が、ひと夏だけの割り切った大人の関係を持つ事に・・・というハナシだった筈よ?!
どこがよ?!
裏表紙のあらすじ見て、そうだと決め込んでふふーん♪とか読んでて・・・驚いたじゃないの!
しょっぱなから、こんだけラブラブきゅーんきゅんとはっ!
「あーあ。とりあえずホットなアバンチュールでも」とか、長年父親の看護に全てを費やして燃え尽き症候群となっていたローリが心機一転とまではいかずとも気分転換を思いつき。
その相手として立候補する際のクインのじたばたっぷりはどうよ!!
ローリの言葉を深読みしすぎ、妄想大暴走とぼけツッコミ三昧、恐ろしくカワイイじゃないかっ!!

・・・いや。
ホンマに、このクイン兄ちゃんのあれやこれやだけでも読んで下さい!
天然ボケの配線違いかと思ってたら、実にこのクインがクセ者でした・・・彼のあのボケっぷりというか、周囲が全く目に入らないマイペースっぷりが、モリーと同じく両親の過去の行状が原因だったとは・・・根が深い。
いや、でも、ありえない話じゃないですよね。
物事を考えすぎてしまうような少年に、自分が傷つかない為に目を瞑り、耳を塞ぎ、口を閉ざし、己の世界のみに没頭し現実から逃れるという手段を取ってしまった事は責められない。
そこから美しいものが創作されるに至ったのが救いだったのか。
しかし・・・ハンパないな。
モテモテなのにも気付かない、己の世界への没頭っぷり。
更にそれに拍車がかかり・・・クインがプレイボーイのようにセレブリティな彼女をとっかえひっかえしているという世間の話が実は!
「己の世界(仕事)に没頭しすぎて、ぼんやりしているうちに女性に押し切られてうっかり彼氏になってしまってる」とかいう(笑)。
で、鬱陶しくなって別れる・・んでなく、ある日気付くと、仕事したいなー。あの仕事いいなー。仕事楽しいなー、とかやってるうちに女の人たちは我慢しきれず消えているというオチ(笑)。
そりゃあ、そうだろ。
このクイン、大好きな仕事以外は約束した事ははなっから覚えてない、時間は守った事はない、そもそも時間の感覚がない。そんな男とどうやって付き合うよ(爆)。
有能な秘書のジェーンさんも、雇い主がまともにデートを遂行出来ないなんてもう慣れっこだ(笑)。

え?
そんな駄目なイタイ男、ヒーローとしてどうなんだ?って?(笑)
ここが上手いんだよ、ダールって。
結局、何事もお互いがちょっとした事でも相手を思いやる、気を配るというか、向かい合っていないとロマンスは成り立たないという当たり前の話につながるから。
全く女性と長続きしないクインだけど、昔から友達のローリだけは別格。
だから、彼女との待ち合わせに遅れないように、っていつも頑張るんだけど、ここではローリがいいのよね。
仕事をしている彼が、熱中するあまり時間感覚が無くなるのも承知なものだから・・・クインの仕事場に待ち合わせで行った時も、慣れすぎて時間つぶし用の本持参(笑)。
数多くのクインの付き合った女性たちを裁いてきた秘書ジェーンも、拍手喝采!(笑)
んで、ワンコのように嬉しげに待ち合わせに駆けつけるクイン(そもそもこれまでそれが無かった。笑)に、よく出来ましたマークを付けたくなるのは読者だけでなくローリもかと(^^ゞ
「よしよし。よく頑張ったね~(^^)」と(笑)
そうなのよ。つまり、クインがローリとの関係を単なるアバンチュールと捉えてなく、こうやって微笑ましく思えるあれやこれやが描かれているんです。
もっとも、ローリの読んでいる官能小説を予習がてら何冊も何冊も熟読するあたりは吹き出しますが(爆)。
真面目かっ!!ww

過去に囚われているローリと、そんなどこか憎めないクインの言動が絶妙にかみ合って、彼女の止まっていた時間が動き出す。
それと並行して、変わらない田舎町のちょっとした変化と、過去の出来事が混ざり合って、ちょっとしたサスペンス仕立てになっているのは前作同様。
これはテンプレみたいですね、このシリーズの。
既出のキャラクターも縦横無尽に活躍し、丁々発止の軽妙洒脱なトーキングマシンっぷりも相変わらず。
いやはや、読んでいて何度愛すべきアホさに吹き出した事か!
特にモリーは前作よりも磨きがかかって・・・ああ、ベンの苦労が見えるようです(笑)
暗くなりそうな、どん詰まりのローリの状況なのに、彼女自身の口からもポンポンと出てくるそれらの言葉たち。
ウケたのが、クインの過去の彼女たちと自分を対比した皮肉炸裂なこれ!

「彼は普段、女性の荒れ狂うシリコンの波に乗っているのだ。私の平地に順応するには、時間が必要というわけだ。地面に足を慣らさなくてはならない」

平地 て・・・世界中の貧乳ちゃん、涙目(^^;;

お約束のすれ違いと、別離、再会・・・が、お約束でないオチに!
エロとはいえ、ロマンス本読みすぎて脳が残念になっていたクイン兄ちゃん「馬!こういう時はヒロインを馬で迎えに!」とかって・・・そこで、はたと彼女が運転したがっていたというので ショベルカー で彼女ん家に行くとかどうよ!(爆)
こんな調子で、エロラブイチャで可愛いんだけど、かなり破壊力抜群なんで一気読みですよん。
ああ、楽しかった♪
しかも、続編が・・・うふふ。秘書さん!
今回の話の重要キャラである秘書さんのお話とあっては、買わざるをえませんな!!

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