すり替えられた花嫁 (マグノリアロマンス)
2011年1月19日 新刊レビュー
シャーナ・ガレンのMisadventures in Matrimonyシリーズ1冊目、読了。
・・・昨年のうちに読んでりゃ良かった(^^;
何がかというと、とても気に入ったからなんですよね。
昨年のうちに読んでいたら、絶対その場の勢いもあってことのさんの2010年の30冊に入れていたのは確実・・・ううむ。すまん(^^ゞ
あ。かといって、すごーくドラマティック!!とか、波乱万丈!!とか、クライマックス連発!!とかそういうのではないのであしからず(笑)。
お話はよくある、機能不全家族の中で、美人の妹ばかりを贔屓され、使用人同様にこき使われ父親に虐待されている姉キャサリンがヒロイン。
あまりに酷い扱いゆえ、すっかり男性恐怖症となり、一生結婚しない宣言を、仲良し従妹三人と共に高らかに宣誓して数年後。
ある時、妹に結婚話が浮上した事によりやっかい払いを目論む父親に、身売り同然の扱いを強要される。
脅迫に屈した結果、何故か妹の婚約者である伯爵と結婚させられる羽目に・・・という。
話そのものは、自分のキャリアの為に妻を欲しがったヒーローのヴァレンタイン伯爵クイントくんが、見た目重視でキャサリンの妹エリザベスをうっかり選んだ事が全ての事の発端(^^;
強欲な父親は、美人なエリザベスなら、伯爵程度でなく(かといって、クイントはのちに侯爵位を継ぐ事が決定しているんですが)、小国の王位を持つ人間すらもゲットできるだろう!!と取らぬタヌキの皮算用したのだが・・・既に結婚する事は公表されてしまっていた。
待てよ、ワシのもう一人の娘・・・イケてない方の地味な姉を押し付けてしまえば一石二鳥!という事で、娘婿となる予定のクイントに結婚式当日に一服盛って結婚を成立させてしまったというとんでも展開(^^;
ここまでだと、何かとんでもない話のように思いますが、クイントくんってば基本的にいい人だから、読者としては妹エリザベスのような性格激悪の頭弱いガミガミ女と結婚を免れたという幸運を拍手せずにはいられませんでした(笑)。
本当にあのケイティ(キャサリン)の家族の機能不全っぷり、DVっぷりを物語冒頭から序盤まで延々読まされているものだから、この仕組まれた結婚が少しづつホンモノになっていく描写にきゅんきゅんせずにはいられません。
何より結婚式前から、クイントは裏表のない個性的な美貌のケイティの事が気になって仕方ない状態だったので(それでも、政治的に考えたら社交家の妹を、というあたり浅はかなんだが。笑)、ロマンス進行にも拍車がかかるというものです。
父親からの虐待のせいで、極度の男性不信に陥っているケイティを、慈しみつつ誘惑し、そして本当の奥さんにしようと日々努力するクイントが何とも良かったわー。
いい家に愛されて育ったお坊ちゃん故に、人の悪いところよりも良いところに目を向けようとするクイントの気質が、ここではプラスに働いたのもあって、二人の不器用ながらのラブラブっぷりは初々しくってウシシッ、となる事うけあい。
そんなクイントに、徐々に心を開いて、活き活きと、そして花開くように美しくなるケイティの描写は古典的ながら、これぞロマンス!!といったところか。
もっとも、ラブラブすぎて、悶々寸止め状態だった期間を取り戻すべく、な勢いが凄かったけど(^^ゞゞ
しかし「二兎を追うものは一兎も得ず」とは良く言ったもので、このテーマが二重に使われているんですよね、上手に。
一つは、更に大きな獲物を狙った強欲なケイティの父親の企みは、結局は婚約破棄扱いとなったエリザベスのところにはロクな求婚話も来ずという展開。
ケイティの場合は養っていても、使用人同様にコキ使っていたし、有能だった上にたいしてお金を使う事もなかった。
が、エリザベスの場合、我侭な上、役にも立たないし贅沢に慣れているからお金は湯水のように使うという(^^;
思わず「ザマーミロ」と思うのは当然の反応ね(^^ゞ
最後の最後、土壇場になるまで、エリザベスの正体に気付かなかったクイントを見て「・・・ふっ、男ってば外見にばっか騙されて馬鹿ね」と、読者はみな鼻で笑った事でしょう(^^;;
そして、そもそも政治家として入閣する為に奥さんを欲しがっていたクイントにも現実が突きつけられる。
あまりに仕事を優先しすぎ、その上に対人恐怖症に近い、騒がしいところが苦手なケイティにパーティを主催するように頼んでしまって最後通牒騒ぎに(^^ゞ
せっかく心を開いてくれたケイティが、家にロクに寄り付かず、執り付かれたかのように仕事に没頭する夫の有様に、家出する寸前になってしまったり。
ここではパーティの雑務を分配する、とか妥協案とか出たりするんですが、ここらへんのノリはコンテンポラリーちっくでクスッと笑っちゃった(^^ゞ
というか、あれよね。
こっちのクイントの場合は、あのおとぎ話よね。
池から女神さまが出てきて「お前が落とした斧は~」ってヤツww
愛するケイティと一緒にいれないような、何より彼女を悲しませるようなら政治家として頂点に立たなくてもいいです、って。
「そもそも、政治の道に進んだのは愛する人たちを幸せにしたいからだったのに」と気付くんですが、そこまでたどり着くのに時間がかかってしまった自分の不甲斐なさをボヤくぐらい、何とも愛らしいクイントだわ(笑)。
そうしたら「キミは正直者だから」と、奥さんとしっかり結ばれて、その上に大臣任命もされるという、全てを手にしました、という大ハッピーエンド。
出来すぎだろー、とは思いますが、契約結婚やら偽装結婚からそこにホンモノのロマンスが芽生えてくるって、昔からのロマンス読みにはたまらんテンプレなのよ!
そんなラブラブ主人公二人は勿論たーっぷり書かれていて、それこそちょっとした呟き的なモノローグとかも満載で、それがいちいち的を得ていて面白いんですが、多分その主役カップルと同じぐらいの存在感があったのは・・・やっぱりあれだな。
ケイティが幼い頃に、仲良し従妹たちと作った独身カルテット!
もう、彼女たちのあれやこれやが、リージェンシー時代とは思えないパジャマ・パーティやらガールズ・トークを彷彿させてくれて楽しいったら!!
それに行動派なものだから、窓から新婚家庭に侵入したり、とんでもない格好して首相官邸を襲撃したり(爆)。
そういうガールズもの、大好きなので読んでいて楽しいの何のって(もっとも、新郎のクイントはそうは思ってなかったけど。笑)。
シリーズは、残る独身の従妹たちがそれぞれ主人公となるんですが、楽しみすぎますね。
次回は、海賊志望のジョゼフィンが主役との事!
翻訳も決まっていて、発売は3月との事・・・読みますよ、ええ!絶対に読みます!!
だから、残り2冊、シリーズ全部翻訳してあげて下さいね。
このカルテット、一人でも欠けたら成り立たないわ!!
・・・昨年のうちに読んでりゃ良かった(^^;
何がかというと、とても気に入ったからなんですよね。
昨年のうちに読んでいたら、絶対その場の勢いもあってことのさんの2010年の30冊に入れていたのは確実・・・ううむ。すまん(^^ゞ
あ。かといって、すごーくドラマティック!!とか、波乱万丈!!とか、クライマックス連発!!とかそういうのではないのであしからず(笑)。
お話はよくある、機能不全家族の中で、美人の妹ばかりを贔屓され、使用人同様にこき使われ父親に虐待されている姉キャサリンがヒロイン。
あまりに酷い扱いゆえ、すっかり男性恐怖症となり、一生結婚しない宣言を、仲良し従妹三人と共に高らかに宣誓して数年後。
ある時、妹に結婚話が浮上した事によりやっかい払いを目論む父親に、身売り同然の扱いを強要される。
脅迫に屈した結果、何故か妹の婚約者である伯爵と結婚させられる羽目に・・・という。
話そのものは、自分のキャリアの為に妻を欲しがったヒーローのヴァレンタイン伯爵クイントくんが、見た目重視でキャサリンの妹エリザベスをうっかり選んだ事が全ての事の発端(^^;
強欲な父親は、美人なエリザベスなら、伯爵程度でなく(かといって、クイントはのちに侯爵位を継ぐ事が決定しているんですが)、小国の王位を持つ人間すらもゲットできるだろう!!と取らぬタヌキの皮算用したのだが・・・既に結婚する事は公表されてしまっていた。
待てよ、ワシのもう一人の娘・・・イケてない方の地味な姉を押し付けてしまえば一石二鳥!という事で、娘婿となる予定のクイントに結婚式当日に一服盛って結婚を成立させてしまったというとんでも展開(^^;
ここまでだと、何かとんでもない話のように思いますが、クイントくんってば基本的にいい人だから、読者としては妹エリザベスのような性格激悪の頭弱いガミガミ女と結婚を免れたという幸運を拍手せずにはいられませんでした(笑)。
本当にあのケイティ(キャサリン)の家族の機能不全っぷり、DVっぷりを物語冒頭から序盤まで延々読まされているものだから、この仕組まれた結婚が少しづつホンモノになっていく描写にきゅんきゅんせずにはいられません。
何より結婚式前から、クイントは裏表のない個性的な美貌のケイティの事が気になって仕方ない状態だったので(それでも、政治的に考えたら社交家の妹を、というあたり浅はかなんだが。笑)、ロマンス進行にも拍車がかかるというものです。
父親からの虐待のせいで、極度の男性不信に陥っているケイティを、慈しみつつ誘惑し、そして本当の奥さんにしようと日々努力するクイントが何とも良かったわー。
いい家に愛されて育ったお坊ちゃん故に、人の悪いところよりも良いところに目を向けようとするクイントの気質が、ここではプラスに働いたのもあって、二人の不器用ながらのラブラブっぷりは初々しくってウシシッ、となる事うけあい。
そんなクイントに、徐々に心を開いて、活き活きと、そして花開くように美しくなるケイティの描写は古典的ながら、これぞロマンス!!といったところか。
もっとも、ラブラブすぎて、悶々寸止め状態だった期間を取り戻すべく、な勢いが凄かったけど(^^ゞゞ
しかし「二兎を追うものは一兎も得ず」とは良く言ったもので、このテーマが二重に使われているんですよね、上手に。
一つは、更に大きな獲物を狙った強欲なケイティの父親の企みは、結局は婚約破棄扱いとなったエリザベスのところにはロクな求婚話も来ずという展開。
ケイティの場合は養っていても、使用人同様にコキ使っていたし、有能だった上にたいしてお金を使う事もなかった。
が、エリザベスの場合、我侭な上、役にも立たないし贅沢に慣れているからお金は湯水のように使うという(^^;
思わず「ザマーミロ」と思うのは当然の反応ね(^^ゞ
最後の最後、土壇場になるまで、エリザベスの正体に気付かなかったクイントを見て「・・・ふっ、男ってば外見にばっか騙されて馬鹿ね」と、読者はみな鼻で笑った事でしょう(^^;;
そして、そもそも政治家として入閣する為に奥さんを欲しがっていたクイントにも現実が突きつけられる。
あまりに仕事を優先しすぎ、その上に対人恐怖症に近い、騒がしいところが苦手なケイティにパーティを主催するように頼んでしまって最後通牒騒ぎに(^^ゞ
せっかく心を開いてくれたケイティが、家にロクに寄り付かず、執り付かれたかのように仕事に没頭する夫の有様に、家出する寸前になってしまったり。
ここではパーティの雑務を分配する、とか妥協案とか出たりするんですが、ここらへんのノリはコンテンポラリーちっくでクスッと笑っちゃった(^^ゞ
というか、あれよね。
こっちのクイントの場合は、あのおとぎ話よね。
池から女神さまが出てきて「お前が落とした斧は~」ってヤツww
愛するケイティと一緒にいれないような、何より彼女を悲しませるようなら政治家として頂点に立たなくてもいいです、って。
「そもそも、政治の道に進んだのは愛する人たちを幸せにしたいからだったのに」と気付くんですが、そこまでたどり着くのに時間がかかってしまった自分の不甲斐なさをボヤくぐらい、何とも愛らしいクイントだわ(笑)。
そうしたら「キミは正直者だから」と、奥さんとしっかり結ばれて、その上に大臣任命もされるという、全てを手にしました、という大ハッピーエンド。
出来すぎだろー、とは思いますが、契約結婚やら偽装結婚からそこにホンモノのロマンスが芽生えてくるって、昔からのロマンス読みにはたまらんテンプレなのよ!
そんなラブラブ主人公二人は勿論たーっぷり書かれていて、それこそちょっとした呟き的なモノローグとかも満載で、それがいちいち的を得ていて面白いんですが、多分その主役カップルと同じぐらいの存在感があったのは・・・やっぱりあれだな。
ケイティが幼い頃に、仲良し従妹たちと作った独身カルテット!
もう、彼女たちのあれやこれやが、リージェンシー時代とは思えないパジャマ・パーティやらガールズ・トークを彷彿させてくれて楽しいったら!!
それに行動派なものだから、窓から新婚家庭に侵入したり、とんでもない格好して首相官邸を襲撃したり(爆)。
そういうガールズもの、大好きなので読んでいて楽しいの何のって(もっとも、新郎のクイントはそうは思ってなかったけど。笑)。
シリーズは、残る独身の従妹たちがそれぞれ主人公となるんですが、楽しみすぎますね。
次回は、海賊志望のジョゼフィンが主役との事!
翻訳も決まっていて、発売は3月との事・・・読みますよ、ええ!絶対に読みます!!
だから、残り2冊、シリーズ全部翻訳してあげて下さいね。
このカルテット、一人でも欠けたら成り立たないわ!!
コメント