テレサ・マデイラスの新刊、読了~。
やっぱりこういうものを彼女に求めていたんだな、と再認識したうきゃきゃ、な1冊。

タイトルからお察しの通り、『100万ドルの魔法使い』の続編で、あれから20数年後のお話。
前作の主人公たちの娘であるタバサの物語で、過去から未来にタイムトラベルしてきた母親とは逆に、過去へと飛んでしまうんですが。

いやー。冒頭部分だけでも、前作を読んでる人にはニヤニヤ笑いが止まりませんでしたな。
細かいネタ満載だし、コパフィールドもスヴェンも現役でお変わりなくって嬉しいったら♪
そしてやっぱりアリアンはアリアンのまんまだし、トリスタンはすっかり甘いメロメロ旦那になっているし(^^ゞ
二人の突出している「才能」を受け継いだタバサだが、むしろ母親から受け継いだものは悩みのタネで「ああ、普通の人生が送りたい」と常々思い、父親ゆずりの天才的頭脳を、頓珍漢で非日常的な事で悩み続けた結果、象牙の塔に囚われのお姫様よろしく学術の苑に引き篭りの大人になってしまっていたり。
そんなある日、両親が突如行方不明になってしまい、タバサは母親の残したメッセージから、魔法を制御するというエメラルドのペンダント(前作の全てのきっかけであり、諸悪の根源ともいえる)の存在を知る。
学術オタクの彼女が念入りに調べているうちに、突然発生した電撃にやられ、気付けば700年前のスコットランドに飛んでました!という展開。

飛んだ先で出会うのが、レイヴンショーの領主コリンなんだが、これがまぁ、よくぞこんな相手をあてがったな作者、みたいな。
ボケとツッコミというか、ちなみにツッコミはヒロインってどうよ?!(笑)
飛んだ時の格好が、ルームウェアにリスのぬいぐるみスリッパ姿なタバサに向かって真剣にスリッパについて聞いてる時点で「ああ、これは・・・そこはかとなく天然ヘタレの臭いが(笑)」と思ったのはことのさんだけでしょうか(^^;
コリンの悲壮な過去なんだが、どうもこのマデイラスが書くとそこまで悲壮感漂わないのは、ご都合主義てんこ盛りなせいでしょうかね。
この作品の場合、スタンダップ・コメディ的なペーソスが多いので、それがプラスに働いているからいいんですが。
実際、コリンの腹違いの幼い妹が乳母(最強の乳母キャラだよ、この大ばあ。NFLプレイヤーに例えられた乳母が今後出るとも思えないし。爆)と共に生きていたところとか、コリンの死んだ恋人のくだりとか。
・・・いや、このコリンって、こんだけひどい目にあっていながら、しかも領主という立場にありながら、何でこう、その猜疑心の欠片もないのかねー、とちょっと呆れてしまうところもあるんだが(^^ゞ
特に幼い頃から決められた許婚のリサンドラと、この父親で近隣の領主のマクダフの事をはなっからスルーしているのはちょっとどうかと思うわ・・・だって、貴方が不在の間、相手が領地や民にどう接したかという事を全く考慮していないし(^^ゞ

いや、マデイラス的にはもしかして、そこはどうでもいいところだったのかもしれないな!(笑)
だって、実際に許婚がいながらどうしてもタバサを思う気持ちが止められないコリンのだだ漏れっぷりを利用され、窮地に追い込まれそうになったところでも「ほれみたことか」っていうより、その直後にあったコリンの親友アリヨンの、親友の許婚リサンドラに対する あざやかなまでのツンデレっぷり で、どうでもよくなっていたもの(爆)。
あれはもう、反則技としか言い様のない・・・(^^ゞ
キャラクター萌えで乗り切れるだけの勢いはあるよ、と思った瞬間でした(笑)。
あの黒猫ルシファーの子供である子猫のルーシーもなかなかの脇役っぷりだし(いや、数々の吹いた場面と呟きが。笑)。

そんなこんなで、細かい事は考えるな! ただ、その場その場で展開するサブカルチャー色の強い小ネタ満載っぷりを楽しむんだ!!といったフシも無くもないかと思ったりもしたが、やっぱりそれでも上手いのよね。
特に、トリスタンが最後、エメラルドがない状態でコリンと離れ離れになってしまって悲しむ娘を思い、頑張って時間旅行のからくりに再び挑むところは泣いてしまったわ。
あのトリスタンが、本当にお父さんになったんだ、とか思ってホロホロと。
でもって、変に高潔でなく、まだまだ自分の可愛いおちびちゃんを手離す気には全くなれない事に胸をはってたりするところもきゅんきゅんきた(笑)。
ラストのラストに、未来にやってきてコリンがタバサの両親と対面した場面ですら、トリスタンが微笑ましくってねぇ・・・うんうん > ・・・主役、誰?とか聞かないようにww

前作からの読者なら、これはぜひともセットものとして読んで頂きたい、と思った1冊でした。
続編になって前作の登場人物たちが残念キャラになっていないのが重要(笑)。
でも、つまりは アリアンって、アリヨンとリサンドラの子孫 って事なのかしら?
そこは詳しく書かれていなかったけど。ちょっと気になった次第(^^ゞ

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