W杯廃人クラスタなので、すっかり読書日記をうっちゃり状態(^^;
試合も残り少ないし、ここでじんわりリハビリしていかねば・・・って、ビョーキだって自覚あるんだwww

そんなこんな(?)で、クリスティーナ・ドットのロスト・プリンセス・トリロジー最終話、読了(してました)。
シリーズ3冊読み終えて、いつも家族とか兄弟姉妹とか、友情とかあったかいものが読後感の大半を占める、手堅い秀作作家の、想定内なのにとっても幸せ気分な1冊。

今回の主人公は、どちらも満を持した二人。
ヒーローは最初から登場し、既刊2冊のヒロイン達の恋の成就を図らずも見守り、時には手助けした、リカルテ王国皇太子レインジャー。
ヒロインは、「失われた王女たち」の長女にて、ボーモンターニュ王国の第一王女で王位継承者であるソーチャ。
既刊から、ソーチャだけが他の二人とは別のところに亡命させられ、そこから行方知れず状態。
それもこれも、彼女は王位継承者なので追っ手が第一に狙う人物だからこそ。
10年たち、スコットランドの孤島にある修道院で成長した彼女が、ある日、島に流れ着いた漁師を発見。
無骨で単純なその漁師アルノーにいらつく反面、何やら好意らしい感情も持つソーチャだが、それもその筈。
その男は漁師に身をやつし、正体を隠してソーチャの元にたどり着いたレインジャーその人だから。

いやはや、今まで色んな格好に、身分に身をやつしてはボーモンターニュの王女3姉妹を捜し求めて旅し続けたレインジャーくん。
見つけた妹姫二人は、さっさとお手付き状態で、やっぱりそもそもの婚約者だったソーチャを探して祖国に連れて帰らないと、自分の国を反逆者の手から取り戻す為の援軍をボーモンターニュから出してもらえない。
いろいろ考慮して、単なる漁師としてソーチャに近付いて彼女の気持ちをゲットするんだ、という考えは、まぁ、よくある「そんな都合よくいくもんですか」みたいな展開(笑)。
海千山千の修道院院長にあっさり出し抜かれ、あわや死体遺棄未遂プレイの憂き目にあいそうに(^^;;
ソーチャは先に祖国に向かって旅立ってしまうんだが・・・ここが大ウケ(^^;
修道院で10年間かけて成長するまでは、あの鉄の女である皇太后様に王位を継ぐ人間として教育を受けてきたソーチャなので、どんなヒロインかしら・・・とか思ってたら、やられた。
何ともキュートな天然ちゃん!ww
レインジャーが彼女の身を案じて後を追う中、男装して陽気に酒場で知り合ったばかりのおっちゃんやお兄ちゃん達と肩を組みながら、おっぱいソングを大合唱していたり!(爆)
合流してからも、暗殺者にやられそうになってあわや、といった直後に、暗殺者の馬にさっさと名前をつけて愛でていたり(笑)、馬を売りに行った後にはご飯を食べる為に売春宿に行って娼婦のお姉さん達と和気あいあいしてたり(笑)。
とにかく、突拍子もなくって、それでいてやる事なす事が可愛らしいんだっ!
読みながら、クスクス笑い続けているものだから、レインジャーの恥じている過去の描写やら、苦悩やらに物語が引き摺られる事もなくいいテンポのまま進む。
いやー、三人姉妹とも魅力的なんだけど、ことのさんはこのソーチャが一番かわいくって仕方ないっっ!
王位継承者としての自覚もあるけど、それと共に自分の気持ちにも素直。
物事を考え、そして状況を打破しようとするんだよね(天然なんで、レインジャーの心の中のツッコミ炸裂だけど。笑)。
無垢だけど、それでいてセクシーなんで落差がまたたまりません。
レインジャーでなくてもメロメロになっちゃうわ、これは。
レインジャーだけでなく、ソーチャに接した人達は、皆して彼女が大好きになってしまうんですよね。カリスマとか高貴なオーラとかいうのを超越した、無類の人好きされる人なつっこさというか。

結局、巧妙に正体を隠した状態のままソーチャと結婚したレインジャーだが、お約束のようにしっぺ返しを喰らい続ける羽目に(^^;
結婚式翌日の、亡命者村の皆のあの新婚二人に対するツッコミ三昧の会話てんこ盛りには、女性チーム、男性チーム共に爆笑せずにはいられない(^^ゞ
いやー。レインジャーの若さゆえのおバカさから、悪女に引っかかって国を転覆させかけた件を読んで「こ、これはバーバラ・カートランド作品の王族ヒーローのテンプレ?!」などとちょっと興奮してしまうあたり(だって、ヨーロッパの架空の小国の皇太子なんて、まさにそのもの鉄板よ。笑)、無駄に長いロマンス読み歴トホホって感じなんですが(^^ゞ
そこから8年間の投獄生活、拷問経験を経過して成長してプチ解脱したのかと思ったら、最後のツメが甘いあたりがまたよろしww
あれだけソーチャにぞっこん惚れてて、それもよく自覚していないおバカさんっぷり。
彼女のコンプレックスでもあるにんじん色の髪を切ろうかしら発言に激怒したり、彼女の周囲にいる全ての男にメラメラ嫉妬心全開だし、自分以外の人間に笑顔を向けるのすらプンスカ怒るし・・・うわ、心狭っww
にんじん色の髪の件のあたり、若干しょっぱいポエマーっぷり(おいおい)を披露してみたり、どうもドM臭が漂ってならんぞレインジャー!!ww

最後のあたりに、お互い死にかけて、気持ちを伝えなきゃ的展開はちょっとあからさま過ぎたんだけど、それでもやっぱり最初から最後まで上手かった。
皇太后おばあさまの「王女に継がせてこんな寒いところでなく、あったかいイタリアかスペインで隠居するまでは!」とかいうのも妙にリアルで笑えるし。
わら人形を身代わりに、悪人の罠から逃れたレインジャーに「忍者か、お前はっWW」などと軽くツッコミしつつも、やっぱり二人が最後に「運命の相手」だったというオチにたどり着いているのを拍手をしてしまう自分がいたしなぁ(笑)。
3冊通じて共通の、やっぱり読後に感じたほっこり感というあたり、ドットはことのさんにとっての癒し作家なんだな、と再認識。
早くドットの次の作品の翻訳が読みたいな(^^)

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