ラリッサ・イオーネのデモニカ・シリーズ3冊目、読了~!
この作者の斜め上っぷりが遺憾なく発揮された、愛すべき狂った乙女系本!(爆)

・・・褒めているんですよ。
ええ、こんなに毎回毎回「ええっ!!」と驚かされるシリーズも珍しいです。
どんだけ細かい設定を組みながらも、ハンパない己のやむをえないまでのオタク魂への叫びを抑え切れなさ!
オタクとして、潔すぎるぞ!!(爆)
しかも、どうしてあんなにエロいくせして、ヒーローが 乙女系 なんだ?!www
どこまでも己に正直なんですね(笑)。

そんなこんなで、3冊目の主人公はインキュバス三兄弟の末っ子でヴァンパイアを母に持つトレジャー・ハンターのレイス。
前作ラスト近くにて、第二の創生を早めて自己破滅への道を邁進する事にした暴れん坊レイスくん。
そんな彼が、これまた前作ラストにて、とんでも騒動の黒幕だったがおしおき(?)を受けた異母兄ローグの執念の置き土産復讐の餌食となってしまう。
メチャクチャな死へと一直線の生活をしているとはいえ、いきなり「アナタの余命は一ヶ月ちょいです」となったら話は別!!
神に守られたお守りの持ち主であるトレジャー・ハンターのセリーナから、そのお守り守護に付随する能力を頂けば問題解決!という話になり、そそくさと出かけようとするが、ここで問題が。
その力を頂くには、清らかな彼女のお初を頂くという事なんだが、人間との営みにトラウマがあり、ましてやそんな清らかちゃんはご勘弁アレルギーなレイスは大弱り。
しかし、背に腹は変えられない・・・と、その女性・セリーナの元に正体を偽って現れるのだった、というお話。

いやー、まさかあのイー兄ちゃんの頓珍漢コレクションから、ローグによって盗まれた奇妙奇天烈なアイテムがこんな風に二転三転して登場するとは!
というか、あれだけイカれていたローグ兄ちゃん、意外にセコムばりに保険かけまくり堅実気質だったのか?!とか!(笑)
単なる脇役だと思っていた、堕天使のリーヴァーさんがこんなに重要な役だったとは!
何より、モブ同然に書かれていたと認識していた既刊2冊のいろんな場面に、これだけ緻密に膨大な伏線が張られていた事に驚愕。
ドキドキしながら読んで、既刊2冊を手にして再読して確認しちゃったよ(^^ゞ

そして、あれだけ既刊2冊で斜に構えた自殺願望でもあるのかと思わずにはいられないレイスの、恐ろしくピュアなところが全面的にフューチャーされているこの展開そのものが想定外!
何だ、このレイスの 寸止め王子っぷりは!! > びったんびったん
何より、思考回路が三人兄弟の中で一番乙女系で、かわいくって、百戦錬磨かと思ったら不器用くんで、兄ちゃん達二人でなくても面倒見たくなるってもんですよ!(笑)
何というか、乙女系なピュアさと、アンデットヒーロー特有の退廃的なエロさと、少年の不器用さと暴れん坊っぷりが複雑に絡み合っているのが凄い。
母方のヴァンパイア一族による長期の虐待によってのトラウマに苦しみ、半身が憎むべきヴァンパイアである自分を持て余しながらも、奮闘する様が応援せずにはいられないです。
初めて愛したセリーナの為に、全てを諦めようとするし。
しかも、ここで「じゃあ、俺が死んだら彼女は少なくとも助かるし」と、死を選ぼうとしたら、今度は自分の死が兄二人の命運をも巻き添えにする事実が判明し、またも苦悩。

・・・上手いよ。上手すぎる。
設定がいちいちごもっともで、それでいて破天候。
続きが気になって読まずにはいられない、絶妙の絡み具合です。
死に至るのはレイスになるのか、セリーナになるのか、それとも二人ともなのか、とか、二人が無事にハッピーエンドになるなら、どんなオチをつけるのかというのは読んでのお楽しみ。
実際、あのラストは予想以上に微笑ましかったよ、あの展開でありながら。
まさにセリーナのモノローグそのまんま。


大量に登場する脇役の中でも、レイスの兄夫婦でもある既刊2冊の主人公たちのその後が読めるのも嬉しいお約束。
前作ラストで三つ子ちゃんと判明したシェイド兄ちゃん家の赤ん坊の描写の「コロコロ」にウケつつ、イー兄ちゃんの奥さんであるテイと、その姉ジェムのヤケ酒ならぬヤケ柑橘系には更にウケ(笑)。
笑う場面ではないんだが、ルークにペロリと食われた暗殺者ってのも爆笑してしもーた(^^;
そんな笑いばかりでなく、シリアスなところも押えてくれるのが天晴れなんだが。
何より、既刊2冊でどうしようもなくすれ違いを続けたカイナンとジェムの二人に、あの展開は・・・もう、想定外とかいう次元を超えてしまっているよ!
それでいて、何故か微笑ましいのが嬉しい。
二人のジレンマとか、異種種族間との恋愛の苦悩とか深遠をあまつところなく書いておいて、とぼけておとぎ話ちっくに進めてくるんだから策士もいいところ。踊らされまくりです。
・・・ま、とぼけたっていうのは、今回初登場の暗殺者の片割れで、うっかり三兄弟の異母弟と判明したローアくんへ捧げる称号なんだろうが。
いや、とぼけたっていうより、あれは 真性ドMヘタレ だな(爆)。
台詞、モノローグ全てがヘタレ臭むんむんすぎて、真面目な場面でも彼が登場するだけで、たとえ何もしていなくても笑えます(爆)。
ヘタレ災難体質ヒーロー候補、キターーーーッ!!という ある意味間違った 読者の期待を一身に背負いつつ、今後のローアくんの活躍が期待されます(爆)。

そんな、ロマンスとしては少年のような不器用なレイスくんと、愛らしいセリーナのラブいちゃっぷりが堪能でき、且つカイナンとジェムのドタバタの末の凄い展開も味わえる。
パラものとしても、今回は既刊の中で一番この作品の世界観が広く見れた展開だったし、何より二重生活をしていたキャラクター達が岐路に立ち、そこから進展があるのがまた良かった。
今後の活躍やら、ロマンスも期待出来る伏線もしっかりあって、益々デモニカ・ワールドにドップリですよ♪
巻末に、デーモン辞典やら、レイスと兄ちゃん達との初対面短編も収録された文句なしの大満足の1冊でした!
早く続きが翻訳されないかな~♪♪

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