ニコール・ジョーダンの恋愛戦争シリーズ4冊目、読了。
侮るべからず、RT誌レビュアの★の数、といったところだな、うん。

丁度、この本の原書が出た時の、RT誌の評価がどうしてもひっかかっていた。
何故なら、ヒストリカルって高い評価が割にコンスタントに出るのに、この4巻は「可もなく不可もない」といったニュアンスの評価。
その時点で既に日本版で既刊既読の身だったので「・・・あらら(^^ゞ」とは思っていたが、読んでみて納得しちゃったわ(^^ゞゞ

今回の主役は、既刊3冊でもお馴染みのダンヴァース伯爵マーカスの妹エレノア。
彼女がかつて婚約していたレクサム子爵デイモンと再会し、という復縁もの・・・だよね、これ?(^^;
どうも、始まる前に悲惨な過去のトラウマからデイモンがトンズラしちゃったから「復縁」というのもピンとこなかった(^^ゞ
魂の半分ともいえた双子の兄を結核で亡くし、それから間をおかずに両親を亡くしたせいで、繊細な心にかなりのダメージを受けていたデイモンが恋に落ちたが故のジレンマとか、トラウマからくる悪夢に苦しんでいたり、結核治療に私財を費やしたり、とデイモンに関してはドラマ三昧なんだが・・・そうよ。
それだわ。
どうもエレノア側の描写が・・・上滑り気味に感じたところよ。
既刊のローリング三姉妹みたいに、婚活に必死になる具体的理由とか、自分以外の醜聞のせいで自活してメシ代稼ぐ必要にかられる事もなく。
確かに両親に早く死に分かれ、叔母さんに引き取られたとはいえ、マーカス兄ちゃんとその親友二人に大切に守られていたところに、降って沸いた婚約解消劇も自分側の落ち度でなく・・・うーん。
でもって、今、婚活中のイタリア小国のプリンスに求愛されて、たいしてその気にもなっていないのにホイホイお付き合いしている様も、どうもいろんな角度から解釈しても全てにおいて煮え切らない。

・・・そうなのよ。
このヒロインであるエレノアが、脇役の時のまんまのキャラクター仕立てなんだもので、余り魅力的に思えなかったのよね。
求婚されている相手のプリンスにすら「気のいい妹キャラ臭」が感じてならないし、第一、ビミョーに上から視線で見ている相手に対して結婚云々を考慮しなければいけない切羽詰り感も感じなく・・・設定ばかりが先に進み、描写やキャラがついてきてない(^^ゞゞ
だって、あのイケてない顔だけのプリンスに対して真面目に結婚とか考えているヒロインだなんて・・・ねぇ(^^;
作者としては、デイモンが何故に二年前に醜聞を起こしてエレノアから逃げたのか、その事情を彼の生い立ちや過去、苦悩やトラウマを丹念に描く事によって物語の核として、今回の話を進めていこうとしたんでしょうが・・・デイモン側に関してはほぼ成功したといえるかも。
ただ、これまでの既刊のローリング三姉妹が、個性的で活き活きしていて、あの百戦錬磨の放蕩者ヒーロー達に向こうはって元気に話を進めていた事があって、どうしてもエレノアの 何もやらなさ具合キャラ が際立ったというか・・・ヒーローとヒロインの比率が、登場比率でなくキャラクター造詣比率がアンバランスというか。
その上、サスペンス仕立てかと思って読んでいたのに、何と肩透かしで幼稚な展開!
・・・あんなボンクラが黒幕だなんて、しかもそんなボンクラに殺されかかる事連発のプリンスがヒーローの恋のライバルて!!
殺人未遂の理由も、情けないにも程がある・・・そんな非生産的で非合理的で成功確率の低いもんに頼るより、真正面から 国から娘呼びよせて、プリンスにまとわりつかせておく方が確率高いじゃないの! どうせあのプリンス、女なら片っ端なんだから!!
こっちのズボラさの方がロマンス部分より呆れ心頭よっ!(殴)

とりあえず、まぁ、この巻を読んだ方の9割がこう思っていると信じて、出て間もない新刊に対してこんなコメントを述べてみる。

つまりはこの本って、次回のハヴィランド伯爵が主役の五冊目への踏み台だったのかしら(^^ゞゞ

ことのさんはそう思った(笑)。
あと、6巻ヒロインとなるテスの、ヒロイン予備軍としてのお披露目の場というか(笑)。
気になるラストの、伯爵その後の噂話の真相が一体どうなっているのか、そこは早く知りたいですよ、ええ。

・・・つまり、この4冊目は、三部作で終わる予定だった既刊3冊と、ハヴィランド伯爵とテスを主役にもってくる続編の為のミッシングリンクと思え?!(^^ゞゞ
単品、話としてはたいしてどうって事ないけど(暴言)、過去3冊のその後のあれこれ、残り2冊への伏線がしっかり張ってあるから無いなら無いで困る1冊。
作品としては凡作だが(爆)、マーケティング的には、上手い本という事だな(爆)。

コメント