サマンサ・ジェイムズのスターリング・トリロジー最終話、読了~♪
最後まで気持ちよく読ませてもらいました(^^)

今回の主役は、末っ子のジュリアンナ。
結婚式当日に花婿に捨てられ、スキャンダルの渦中の人となってしまった過去の為、男性を信じられず生涯独身を誓った女性であります。
既刊2冊でもうっすら分かっていたが、このスターリング兄妹、それぞれに財テク才能に恵まれ、特権貴族の身分ながら、母親が招いた醜聞という轍もあって石橋を叩いて渡る生活設計をしていたりする。
傾いた侯爵家の屋台骨を青二才な年齢で建て直し、更に発展させた長男セバスチャン。
放蕩者と名高いクセに、妙にビジネス勘に優れ色んな商売等で大金小金を稼いでいた次男ジャスティン。
そんな兄二人の例にもれず、侯爵令嬢ながら財テク才能に優れ、投資で儲けて一軒家や別荘と不動産投資も余念なし、「生涯独身」と言うなら実行すべき、と実家を離れて自立しているジュリアンナである。
いやー、こういうヒロイン、好きだわ。
口は一丁前なのに、いざとなったらべったり家族に頼っているキャラも多い中、いやはや。

で、そんなジュリアンナが、マーフィーの法則のように災難に見舞われた結果(笑)、巷を騒がす追い剥ぎ「カササギ」(漢字で書くと「鵲」という硬いものなのね)に遭遇。
怪我をしてしまい、カササギさんの看病を受ける羽目に。
そこは打たれ強いスターリング家DNAの成せる技、その後は返り討ちにあわせてカササギをピストルで撃って負傷させてしまう(^^;
まぁ、根がピュアで正直者なのでたとえ悪人でも怪我人を放置するワケにはいかないわ、と世話をする事に。
人里離れた山小屋で、気付けば男性不審は何のその、少しづつカササギとの絆を深めてゆくのだが・・・いやー。うまいね。
今までの2冊でそんなに書き込まれていなかったジュリアンナのあれやこれやが楽しめた部分だな、この山小屋のくだり。
あの高血圧まっしぐらな塩盛りスープのところはケラケラ笑ってしまったわ・・・そりゃあ、カササギことデインも自分の身体が大事だから料理指導もするってもんです(^^;
デインの飼い猫もいい味を出していて、何だかこのテの「人里離れた別世界もの」の定番展開とはいえほっこり。

しかし、どこまでお互いの正体を隠したまま、「カササギ」の裏事情を隠したまま展開するのかな~、と思ったら・・・あら。
お互いの気持ちに気付きはじめ、あえて山小屋からジュリアンナを帰して、適度に数日おいてあっさりそこを解決させてしまったわ(笑)。
ここらへんの按配がまたいいよね、この作家。
これ以上引っ張るつもりはないとばかりに、読者に、そしてジュリアンナにうまく事情を説明しちゃうもんだから納得するしかない。
ここからはカササギ誕生に隠された偽造通貨事件を解決しつつ、お二人さんはラブラブあっちっち垂れ流してね~、と言わんばかりの雰囲気すら(笑)。
もうね、本当にこの二人、お互いメロメロでこれぞロマンス!ってイチャつき具合で直球勝負もいいトコで(^^ゞ

しかし!
そこで拍子抜けしかけるかもしれないところを、まさか・・・まさかシリーズ1冊目の、あの全てのはじまりの事情まで解決すべくあっさり巻き込んでしまうとは!
正直、これは想像以上だった・・・だって駆け落ちしてその相手と死んだと思われていた3人の母親が生きていたなんて。
いや、そこは既に動かない設定としてあるもんだと決め込んでいた(^^;
甘かったわ、ホント。
でも、このシリーズの根底にある「スターリング兄妹の不変の絆」というものが、このどんでん返しをきっかけに最後に再確認されて、ちょっと泣きそうになってしまったわ。
セバスチャンの告白とか、ジャスティンの手紙の件とか。
思いやりとか、家族の絆とか、ちょっとこそばゆいぐらいに真正面から書かれていて、何というか、心表れるというか。
そして、あえてあの二度目の別れを選択したのも○。
全然違和感なく、かといって悪感情もない。
そうだな。全てを超越した、というか。

ラストの結婚式のドタバタ頓珍漢具合も何だか微笑ましく、3冊通しての共通した雰囲気のエピローグも心あったかくなりました。
主要キャラクター全てに愛着が持て、しかも素直にラストまで楽しく読ませてもらえたのは、読者としてはありがたく。
このトリロジーは終わったけど、是非ともまた他の作品も翻訳してほしいです。

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