キャシー・ラヴの初邦訳にてヴァンパイア・シリーズ1冊目、読了〜。
いや〜、笑った笑った!

昔からパラマーノル小説が大好きで、特にヴァンパイアものはかたっぱしから読んでいるのですごくコアなファンのように思われそうですが、ことのさんの場合は、生真面目な作家が生真面目を極めるが余り、書けば書く程にご自分の首を絞めているような設定破綻が駄目なだけでして(笑)。
こういうのって、格式美というか、ある程度のラインが決まっていて、生真面目にそれを追求していけば追及する程に、その作家によっては破綻の一途を辿る羽目になってしまったり(^^ゞ
どこまで書くか、どこに焦点を絞るか、という妥協とかに対する線の引き具合が大事だと思うの。
そうなの。そんなに難しく破綻させるなら、いっそ明るく潔く最初から笑い飛ばしてぶっ壊れた風呂敷を広げればいいのに・・・と、一発芸奨励者として思ってしまうのよ(^^ゞ

で、この本です。
そうです。やってくれました。
こんなにあっけらかんと最初っから居直ったお茶目なアホ設定で攻めてこられては・・・ことのさん、全面降伏です(笑)。
どこの誰が、己がヴァンパイアだと記憶喪失ゆえに忘れてしまった主人公のヴァンパイアなんてもんをもってくるのだ!(爆)
先がどうなるのか気になって、すごい勢いで腹抱えて読んでしまったわよ・・・まんまと踊らされた(笑)。
ヴァンパイアもののお約束設定の数々を、こんなに逆手にとってコミカルに茶目っ気満々で書いた作家がいたか? いや、いないよ(笑)。

事の始まりは、地方からニューヨークにやってきた天然純朴なお嬢さんジェインがある男性に出会ったところから。
危ないところを助けられ、その場は別れた筈のその男性・リースだが・・・ここからが騒動に(^^;
再度出くわしたところが、彼が謎の男に襲撃されているところ。
そのまま一緒に襲撃されて・・・彼女はその時の記憶がないまま目覚めた。
しかし、リースはそれ以上に記憶が飛んでいた・・・何と185年前のイギリスの子爵様だとか言うではないか。
しかも、自分の事を婚約者だと勘違いまでしている(^^;
リースの弟セバスチャンに請われて、リースの傍にいる事になったジェインだが、何やら記憶喪失以上におかしい事がリースにはあった・・・というお話。

一目ぼれしたかわいいジェインを恋しく思っても所詮自分はヴァンパイア・・・と、事故と怪我をきっかけにその事実と記憶を哀しくも封印してしまうという、何とも乙女系(爆)なリースがキタ!コレキタ!! > びったんびったん!
阿呆といえば阿呆設定なんだが、このリースとジェインのカップルの頓珍漢でキュートな事ったら!
リースのラブラブ垂れ流しっぷりは・・・ちょっとスゴいよ。
どんだけ、ってぐらい彼女の事が好きすぎて萌えて萌えて萌えて一人でクールクルクル踊っているとしか思えない(爆)。
記憶喪失も、よくあるシリアスなものではなく・・・こんなアホで笑える記憶喪失劇は初めてかと(爆)。
ご都合主義、と読者に言われる前に自分たちで言ってるその居直り具合がまたイカす!(笑)
ジェインがまぁ、善人でユーモアにあふれたかわいこちゃんなので何とも微笑ましさが倍増なんだよね、この二人(^^ゞ

そんな二人を一生懸命くっつけようと、丁々発止の台詞で兄とその恋人を煙に巻く、ヤング兄弟の三男セバスチャンがまたキタ!(笑)
ジェインの台詞じゃないが、ああ言えばこう言う、こう言えばああ答える、ってぐらいに傑作のアホ台詞の数々が炸裂しているのがナイス(笑)。
まさにツッコミ待ちかっ?!ってぐらい(爆)。
自分の兄ちゃんの生真面目さを100年以上笑い飛ばしてきたのに、そのセバスチャンすら絶句させるリースの萌え萌え幸せオーラ垂れ流し具合の書き方が、ええ。ロマンス読者にはツボですな(笑)。
そりゃー、垂れ流しすぎてラブラブな余り、ヴァンパイアってのを忘れているのも手伝ってうっかりハニーちゃん咬んでしまうぐらいアホなんだけど(笑)。
その咬み方がまたエッチであっけらかんとしていてグッ!なのじゃー♪
でも、天使か妖精かってぐらいふにふにカワイイ彼女の方が冷静で根性座っているんだよね。ここらもナイス(爆)。

リースとの確執の余り、兄リースを、そしてリースの恋人であるジェインを狙う次男クリスチャンのアンチっぷりもいい按配。
ラストの、彼がジェインを咬んでしまう場面のところはちょっと気恥ずかしいぐらいの大昔の王道少女マンガのような神の天啓を受けたよーなご都合展開だったけど、もう、最初っから設定全てが突き抜けているからそれすらもアリ!なのだ(笑)。
いやー、あのラスト読んだら思うじゃない、皆して。
「あーあー、もう二人してあの世までラブラブ萌え萌えしといてくれ〜い(呆)」ってぐらい(笑)。
何か、些細な設定の矛盾とかそんなものを全て、あの主役カップルのエッチで笑える鬼ラヴっぷりでねじ伏せた反則な1冊って気がしてきました(爆)。

細かいところでウケてしまう話でもあるが(リースの記憶喪失の頓珍漢な時代錯誤っぷりとか、セバスチャンのとぼけ具合とか)、このシリーズはどうやら全体的なそのモードが強そうだ(^^ゞ
今回、敵役として登場し、そしてラストに良心が芽生えた故に失踪した次男クリスチャンが次回主役となるのだが・・・あの鬱々としているクリスが・・・カラオケバー勤めという設定だけで笑えるのは、もはやこのおバカさんシリーズにハマったという事なんだろうか。。。

最後に言っておきます。
生真面目なロマンス読者とか、ガチパラ読者とかにはお勧めしません(爆)。
決して万民向けではないです。
ことのさんがこんだけ奨励しているというだけで「一芸本」「一発本」だというのを察してもらえる方に、どうぞ!(爆)
笑いとばし上等!!(核爆)

+余談+
あとがきにシリーズ4冊ってあるけど、とりあえず並べてみた。
ただし豪快なネタバレがあります、4冊目に関して。タイトルそのものがネタバレ(^^;;
嫌な人は見ないでね〜。
http://cool-book-new.seesaa.net/article/95386275.html
最初は邦題のアホ具合に「おいおい」と思ったが、本編がそれ以上に壊れていたと思わずにはいられない、オリジナル表紙たちだよオイ(笑)

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