ISBN:4789732479 文庫 野口 百合子 ヴィレッジブックス 2008/01 ¥966

愛するキャスリーン・E・ウッディウィスの、○○年ぶり未翻訳分上陸作品が、ことのさんにとっての至高作品『炎と花』の続編だったという、何ともめでたい2008年幕開け。
まぁ、オリジナルのブランとヘザーの話を書いてから25年もたってからの続編、当時の賛否両論は納得なのですが、それでいてこのクオリティにまとめてきたウッディウィスは流石、というべきか。

本編に関しては、詳しくはあらすじは書きません。
ただ、読んで欲しいから(笑)。
前作『炎と花』の後半にて生まれた、あのボー坊や(ボーラガール・グラント・バーミンガム)が主人公になるまで成長するなんてねぇ・・・しみじみ。
えっと、まだ30歳前という、比較的若いヒーローですね、ボーは。
いや、どっちにしろ坊やにしか見えないんだけどさ、ことのさんには。おひげのブラン・パパに抱っこされてる姿が余りに鮮明なんで(笑)。
そんな彼が、幼馴染である画家のセリニーズと再会し、そして愛し合うというお話。
展開は古典的(偽装結婚とか)だけど、当時を舞台にしたものの中ではコンテンポラリーか、というぐらい若い二人のアグレッシヴな思考や言動が楽しめる1冊。

もっとも、この本自体が『炎と花』初版から25周年記念に書かれているというコンセプトが明確なもので、前作を読んでいる事を前提としているフシがありありと(^^ゞ
(ただし、後にこの明確すぎるコンセプトこそが、この作品の崩壊を防いだ、という考えも浮かんだのだがね)
そうなの。
やっぱり後日談的ニュアンスが強いのよね。
単独ロマンス作品としても素晴らしいんだけど、後日談ものとしては更に秀逸。
つか、最初っから「ああ、こんなに育ってくれちゃって。ボーってば。うるうる」と、原書の時点で感極まっていたことのさんには何でも秀逸なんだろうけど(爆)。

でも、今回翻訳読んで再認識したけど、父親のブランドンはイカすツンデレ・ヒーローだったけど、息子のボーって・・・ああ、これ。書いていいのかしら。
えっと、ツンアホ、いや、デレアホ・ヒーローだよね!(爆)
ツンの部分も、結局は誤解というかコミュニケーション不足によるすれ違いによるもので、かなり少ない(笑)。
となると、デレデレくんとなるのだが・・・彼の場合、セリニーズと心を通わせた途端、デレを通り越して言動全てアホ度が顕著にアップするんだな、これが。アホすぎてツボ!(びったんびったん)
だから男クジャクさんは「デレアホ」(爆)。
もう、偏愛キャラに対してはこんな憎まれ口叩いちゃうのが、ことのさんらしーっ(爆)。
最初読んだ時、このボーの会話に使われている砕けまくった色ボケ阿呆モード発言単語連打に「・・・ボー坊や。どこをどうしてそう育った?!」と思ったわ(^^ゞ
絶対叔父さんの影響っ!両親のデレデレ垂れ流しのせいっっ!!とかニヤついてみたりもしたけど(爆)。

とにかく、後日談になっても子供3人出来ても、やっぱりブランドンはいい意味でも悪い意味でもオレ様で変わってないし(笑)、ヘザーは麗しきしっかり者。
ジェフも相変わらず口八丁だしね〜。このお話ではラエリンはカメオ登場程度だけど。
ただ、ハッティもアビゲイルも健在なのに、大好きなジョージの名前がない・・・と、原書買った当時にすごく悲しくなった事をまた今回思い出しました(泣)。

この作品を彼女の入門書にしてしまった方には非常に前作ネタバレ三昧ゆえ、そしてあの作品はあれだけで素晴らしく完結していたゆえ、この続編は非常に難しいポジションの本となってしまった事は否めない。
ラストの黒幕とのドタバタっぷりは、ちょっとウッディウィスらしくなく「溜め」とか「緩急」が無くって、そこらへんもぬぬぬ、ともなったり。
もっとも、25年の月日を感じるラスト近くでもありましたな。
ヒロインであるセリニーズのポジティヴな対応は、前作発表時にはそこまでロマンス小説には台頭してきていなかったフェミニズムとか、そういう流れを汲んでいると見受けられるから。
ただ、キャラクター造詣は相変わらずブラボーで、そこだけでもあの厚みを読ませてしまう。そこはやはり年の甲亀の甲(笑)。
まぁ、記念のお祭り企画本と思って、楽しんでもらえれば嬉しいかな(^^)

・・・問題は、こっちを先に出したばかりに、前作とも併せて辻褄を合わせるのに手一杯となり、ウッディウィス作品としては当時酷評されたジェフリー・バーミンガムの本だな(^^ゞ
やはり、ボーの本が明確なコンセプトがあった分、二番煎じのような位置付けになってしまった故とはいえ・・・哀れな(^^ゞ
えっと、この話からは22年前、前作ラストからは2年後の話だった筈。
ぷ。ボーは勿論まだ赤ん坊だ。なのにジェフに「ボーはブランそっくりにしか見えない」とか言われてるし(笑)。
こちらの1冊もまた、そのうち。
バーミンガム家三部作(?)、完全日本上陸を楽しみに待ちつつ。

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