ISBN:4812433827 文庫 村山 美雪 竹書房 2008/01/10 ¥910

ジュリア・クインのブリジャートン家の本当の最初の1冊目、読了。
まぁ、最初にこれから翻訳しておけばこんなに低めテンションで読む事もなかったのかしら・・・などと(笑)。

今回の主役はブリジャートン家8人兄弟の上から四番目、長女のダフネとヘイスティングス公爵サイモンのお話。
翻訳既刊分で、しっかりネタバレしている二人の話ですな。はは。

生まれると同時にお産で母親を亡くし、幼い頃の吃音に苦しみ、父親の公爵からは疎まれ、と愛情に飢えた育ちのサイモンと、7人の兄弟妹、両親に囲まれ愛情に恵まれた育ちのダフネ。
全く育ちの違う二人が、お互いの立場の為に「付き合っているフリをする」事になる。
そして、気付けばフリが本気になっていて・・・という話。

今回はブリジャートン一家顔見世興行状態というべきかしら(笑)。
二人のロマンスもなかなかいいんだが・・・いいんだが・・・あ、あの。前作も読んで思ったんだよね。
このジュリア・クインの作品、特徴のないハンサムというか、個性のない優等生というか(^^ゞ
確かに読んでいてサクサク読めるし、キャラクターも軽妙だし、会話のテンポもいい。
だが、こう聞かれると言葉に詰まるのだ。

「で、このキャラクター(物語)の何処が、どんな風に好き?」と(笑)。

・・・それぐらい、薄いというか、ソツないというか・・・ソツが無さ過ぎる?(^^;;
そう。飛びぬけたセールスポイントが無い!(爆)
実際、あれだけの過去とトラウマを持っているのに、何ともサイモンが普通なイケメンに読み取れたりするんだよね・・・書き方?
話の運び具合?(^^;
それを言うならヒロインのダフネも、包容力とか純真さとか軽妙さとかを描かれてはいるが・・・何だか掴みが悪いというか、訴えてくるパワーがないというか(^^;;
ただ、ラストの前公爵からの手紙の扱いは出色もので良かったかな。
よく思うんだけど、好きのもっとも激しい対極って「無」だと思うから。
ああ感じる事によって父親の呪縛から逃れる、というのはなかなかない書き方だと。余韻も感じたし。

ブリジャートン家の皆さん、傑作なお母様を筆頭に、兄弟妹揃ってなんだけど・・・やっぱり個性が余り出てないというか。
かろうじて三男コリンと、末っ子のヒヤシンスが個性的に描かれていたけど、エロイーズとフランチェスカなんて区別もつきゃしない(笑)。
あれだけの大人数登場人物、個性描写が少しでもなければ只の烏合の衆ですってば・・・(^^ゞ
大人数家族ものヒストリカルというと、ジョアンナ・リンジーのマロリー一族ものとかあるけど、あれと比べると余りにキャラの薄さが顕著かと(比べる対象が悪いのか。笑)。

・・・物語の力がそこまで強いものでもなく、キャラクターも飛びぬけているわけでもなく。
よく出来ている、アンサンブルと雰囲気で読む、と言うと聞こえはいいが何度も繰り返し繰り返し読む類の作品ではないかな。
そうね、クセになる話というより、さっくり読んで「よかったねハッピーエンドで。面白かったね」だね(笑)。
ハー○クイン社のシリーズロマンスでいうと、読んだあとにいい意味でも悪い意味でも後を引くRでなく、無難にまとまってさっぱりすっきりのLってとこ(笑)。

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