ISBN:4270101245 文庫 佐久間伸子 ランダムハウス講談社 2007/10/02 ¥882

レベッカ・ヨークのムーン・シリーズ新刊、読了〜♪
シリーズ4冊目の今回、主人公は・・・シリーズをずっと続けて読まれた読者には二つの反応があるかと思う、まさかまさかっ!!のマーシャル家の生きていた末っ子ジョニーときました!

いやー。
多分、「ええっ、だって生きているマーシャルの息子ってロスとアダムだけっていう設定では?!」という反応の読者が6割かと。
そして、これまでのヨーク女史の読者を煙に撒くあの手法を考慮に入れ「いやー。だって、あの過酷な変身の儀式を一度は越えた、あのマーシャルの狼くんがバーの喧嘩ぐらいで死ぬか?怪しいってば」と懐疑心全開でこの子が生きている方に可能性を見出している疑り深い反応をした読者が4割(爆)。
・・・悲しいかな、ことのさん・・・後者でした(笑)。
いやいや、こういう飛び道具設定、疑ってナンボですってば(爆)。

兄二人を見ていて、自然と縁の切れないウェアウルフらしく、ここでいうサムという偽名を使って生きているジョニーもその通り、人里離れた場所に住まいを持ち、孤独に生きている。
表の顔は青年投資家だが、裏の顔は環境保護主義者の義賊という・・・いや。ヨークのほくそ笑む姿が思い浮かびますな。
これぞロマンス、という設定にすべく手をゆるめない彼女は、サムの相手に、彼の敵の娘オリヴィアをもってくるもんだから、またまたやってくれるぞ、と。

読んでいて、ずっとシリーズ読者でいるせいかマーシャル家のウェアウルフに関する描写に慣れきってしまっていて(爆)、今回はむしろオリヴィアのウッドロック一族の胡散臭さが炸裂の描写にクギヅケ(^^;
先祖代々、呪われたアストラヴォールという霊水に依存し超能力を見返りに与えられてきたウッドロック一族に関しては、もう少し凝なれた設定が出来るのではないか、と思うぐらい曖昧なところが多かったが、ファンタジーというよりはSFに近い感じがした。
液体に依存している、というところが特に。
精神力とか、そういう類で超えるものでなく、その液体と自分をリンクさせるところとか。
いや、恐れ入った事には変わりないんですけど。
普通に超能力、といかずにこんな変化球を用いてくるんだからやられたというか(^^ゞ

義賊としてのサムの力量を求めたオリヴィアと、その兄コリンによってまんまとおびき寄せられたサム(笑)。
それから推察するのにも難しくないように・・・末っ子ちゃん、微妙にヘタレ?(笑)
それでもって、ああ、ウェアウルフの呪いっちゅーか、お約束に一目オリヴィアを見た瞬間にメロメロドッキューン、となっちゃって・・・ぷっ。
このサム、自分が狼な事の方よりも、彼女はお金持ち育ち、僕はブルーカラー育ち、釣り合わないじゃないか・・・と頓珍漢に人間臭いのが笑えるというか。
つうか、ホンマにラストにそういって彼女から去ろうとするし。狼の事よりもそっちかよっ!(爆)
泣く泣く身を引くわ・・・って、ヒロインかっっ!!(byタカトシ。爆)
そういう意味では、お互いの気持ちを知った後からは圧倒的にオリヴィアの方が腹のくくり具合が天晴れ。
義賊?狼?
そんなの関係ねぇ!(by小島よしお)とばかりのすごい発言も飛んだラブシーンといい、いやー、天晴れオリヴィアさんよ(笑)。

今回の戦う相手が、もう完全に壊れているストーカー男で、その壊れ具合を何とも粘質に書かれて、ちょっとゾッとしましたね。
人物描写の巧みな作者らしく、今回も脇役がなかなか出色。
ウッドロック家の血の呪いに侵されたオリヴィアの父と伯父の狂気に満ちた描写とか。
そして、オリヴィアの兄にてハイテクの魔術師コリン。
お気に入りキャラだわ、コリン(^^)
そのコリンのダーリンにてパートナーのブライス・・・よく読んでりゃとんでもないオカルトおたく兄ちゃんだが、あのウッドロックの人間と付き合うにはこれぐらいハズれてないと駄目なのかしらん(笑)。
でも、やっぱり途中から末っ子を助けるべく、すっ飛んできたロス兄ちゃんに尽きるな〜。
もうね、ロスはこのシリーズの象徴的存在っていうのがヒシヒシと感じた登場っぷりでしたわね。
弟の悩みとかにどっか〜んと構えているし。
1冊目から既に貫禄あったけど、もはやマーシャル家の頂点、って感じ。二人の子持ち、とあるが・・・まだ二人だったのか、とか思うあたり駄目か(笑)。

ラストは怒涛の展開だが、やはり妙に人間臭いサムにくっ、となりつつ。
でも、結局はアストラヴォールに依存せざるをえない状況のままなのかしら、ウッドロック家って。
ロスの奥さんがそのうち研究して解決してくれないかしら(^^;;とか心配しつつ、次回は「あの人」なんでしょーねぇ、多分(^^ゞ
いやん。楽しみ♪

コメント