ISBN:4596633320 新書 黒木 恭子 ハーレクイン 2007/07 ¥710

ブロックマンの10年前の作品を発掘した翻訳新刊、読了〜。

はぁ。よかった。定価払ってなくて > いきなりそれかい!(爆)

バツイチの子持ちクラブ歌手ジェスと、得体は知れないがハンサムなコンピューター・プログラマーでジェスの隣人であるロブとの話。
二人の住む街では不気味な連続殺人事件が起こっていて、そんな中で得体の知れないロブに部屋を貸す事に周囲は懸念を示すが、ジェスは娘が心を開き、そして自分も惹かれている彼を信じる事にした。
恋人同士になっても、ロブが隠す過去が災いし、彼らは苦悩する事になるが・・・という感じなんですが。

主人公であるジェスは、ブロックマンお得意の芯の強いヒロインで、仕事をしながら女手ひとつで子供を育てているんですが、ほのかなセクシーさが垣間見えてステキでした。
心に嘘はつけなくて、それに逆らう事なく自分自身をロブにぶつけるところとか○。
そしてロブですが・・・これは、珍しい運命に翻弄される、受動型ヒーローというか。
そこはブロックマンなので、うまいワケですよ。
寸止め具合も絶妙なセクシーな謎の男な感じで。しかも苦悩して身を引くし・・・そんなこんなで思わずロブの方が典型的ヒロインのような錯覚を覚えるワケです(笑)
そんな二人の愛のキューピッドである、ジェスの娘ケルシーもこれまたかわいい。
こういう子供のバイプレイヤー扱いは、やはりブロックマンはうまいんですよ。

しかし、まぁ、それらプラス面をマイナスオーラで覆ってしまったのが、重要ポイントキャラとなるFBIの皆さん。
・・・こんなにひどい無能な書かれ方をされているFBIにお目にかかったのは初めてじゃないのか?!ってぐらい間抜けだったわ。
FBIから出てきているのは二人だが、まぁ、とんでもない。
FBIの心理分析官のセルマだっけ?
読んでて呆気を通り越して不快に感じたプロファイリングっぷりでしたね。
プロファイリングにこんなに自分のエゴっぷりを入れる心理分析官もはじめてか。参考人であるジェスの意見を途中で遮ってまで弁舌かます様はもはやプロ失格以前。
「取り決めしましょう。まずは質問に答えて。それからわたしの理論を話すわ」
・・・何様?(--;
協力を求めるとかいいつつ、ジェスの意見を本当に聞いているとは思えないぐらい。
こんなプロファイラー、いらねー。
それを言うなら、最高の間抜けはFBI捜査官のパーカーか。
あらゆる捜査の基本をこなせない給料泥棒、いや。税金泥棒という感じすらしたわ・・・引き算も出来ないんだから。
検出された指紋が四つあって、そのうち1個がロブ、他の2つの指紋がシロだから、やっぱり犯人はお前だロブ!!・・・って、アンタ、もう1個の指紋は調べなくていいわけ?
それとも4−3=ゼロって計算してたのか?・・・バカ?

そして、この本を最初に出てきた「定価で買わなくてよかった発言」に結びついたのはこれ。
ラストでパーカーが指示通りに動かず、勝手に人員を動かしたせいで真犯人に捕まり、自分自身と娘の命を守る為に決死の対決をする羽目になったジェスを、ロブと見つけたあと。
イケ好かない心理分析官セルマがやってきた際の彼らの会話である。
パーカーが自分のせいでジェスが殺されかかったという話をとうとうとし、ジェスとパーカーが愛する者の為なら何でも出来るという話の後。
そんなに愛し合う二人がうらやましい、ともらすパーカーに、「おめでとう。あなたがいつか人間である事を認めると信じていたわ」とセルマが言った事。
・・・あのさー、自分らの無能っぷりを置いておいて、言うに事欠いて、人の不幸(この場合、犯人を絶命させるに至ってしまったジェス)を踏み台にしての自分らの成長っぷりを讃えあっているんですか、それって?!
まずは望まずに人を絶命させる羽目になった彼女を心配するのが先でしょ?!
自分たちの、失敗から学び捜査官としても人間としても成長した姿勢をいわば自画自賛している様にとれなくもありませんってば。
セルマなんて、ジェスから調書とってる時は、所詮セックスだけじゃないの。騙されて可哀想だわアナタ、ってオーラが出まくりのプロファイリングしていて、この場に及んで「愛は何よりも強い」とかますのか・・・シンジラレナーイ(笑)。
それてもナニですか。
「私も彼女を見て、人間として分析官として成長したわぁ」と面の皮厚く物語を締める気だったのか?(爆)

今ほどに本社が力を入れていないあの頃のイントリーグにしては設定とかかなりいい出来だったのになぁ・・・結局、FBIは邪魔しただけというハナシなんだよね(笑)。
そりゃあ殺人犯も仕事がやりやすかったろうねぇ・・・こんなにFBIが間抜けなら(~_~;
主役二人とかわいい子役だけでは持ち直せないぐらい凹んだ、イケてない間抜けた脇役の落とし穴大きい1冊でした(^^;

コメント