ISBN:4562043199 文庫 岡本 千晶 原書房 2007/03 ¥900

ジェイン・アン・クレンツの新刊、読了〜(^^)
先月のラズベリーブックスが初期作品なのと比べると、この作品はまぁ、比較的近作に近いかな、という感じですね(さすがの多作クレンツも、ここ近年は各名義で年1〜2冊しか新刊出してないし←それでもスゴイんですよ。彼女の年齢やキャリア、更に3つの名義書き分けを考えると (^^ゞ)。

クレンツお得意のシアトル在住キャリア・ウーマンのヒロインもので、今回は以前の恋人(?)だったヒーローとの関係を絡めたお話となっていました。
しかも、彼女の作品らしく、一癖も二癖もある家族を持つ主役二人(笑)。
小道具や細かい設定が、そりゃあもうクレンツ愛読者にはくすぐったいものばかりでクスクスと笑いが止まりません(^^ゞ

今回の作品の中でも健在だった「クレンツ作品萌えポイント」(勝手につくる。笑)はこんな感じ。
今回クリア分だけで、こんなにありました・・・(^^ゞ

・家族の縁(特に父親)が薄いヒーロー
・家族のフォローに忙しいヒロイン(笑)
・しっかり者のヒロインにおんぶに抱っこ状態の頓珍漢な身内(笑)
・かなりの確率で登場する、目が覚めるようなステレオタイプのフェロモン系脇役美人女性キャラ(笑)
・これまたかなりの確率で登場するヒーローと同種類の筈なのだが、ある意味対極なモテないオタク系脇役男性キャラ(笑)
・世間の評判は孤高のやり手ビジネスマンの筈が、何故か恐ろしくマメで面倒見のいいヒーロー(笑)
・ヒーローと、年下の男性キャラに見る「師弟関係」(笑)
・やってる事自体はホットな筈が、何故かある種の禅問答を彷彿させるラブシーン(爆)
・怪しい道場で、せっせと武術を学んでいるヒーロー(核爆)

この箇条書きを見て「あー。そうそう。そうだよね!」と思う方、かなりのクレンツ読者度の高さが伺えます(笑)。
ここに「個性的なペットくんがいる」「ペットくんとヒーローの頓珍漢な会話」がなかったのが残念でなりません(爆)。

ヒーローであるジャックの複雑な家庭事情も絡めてのハイテク製品捜査、今回の小道具が「フィルム・ノアール」だったので、名作品がたえず引用されていて面白かったな。
ノアールの王道設定である「ファム・ファタールに惑わされる男」というのを根底に書いてるが、読者から見るとジャックも運命の女(エリザベス)に振り回されてるのが見てとれるんですよね・・・もっとも不幸でなく、幸せそうだからいいけど(笑)。
あの時代のモノクロ映画を愛してやまないことのさんには、読んでるだけでワクワクしました(^^)
あと、個人的にはヒロインであるエリザベスのアシスタントであるルイーズがかつて新聞記者時代に書いた記事のキャプションに大ウケでした。
と、東スポかよーっっ?!(爆)

クレンツの作品って、よくマンネリだワンパタだ、と言われ叩かれますが、それをツッコミながら楽しむのは、某ベティ・○ールズも同じだと思うんですがね(爆)。
ほら、医者と看護婦の組み合わせみたら「きたきたきたーっ」みたいな反応(ことのさんHQ歴15年以上ですが、そんな風に今だベティさん作品には全くアンテナ動きませんが。笑)。
クレンツの場合は、それがCEOやコンサルタントとシアトルのキャリア・レディなだけなのよ(笑)
つまり、愛読者にとっては、金太郎飴的「どこを切ってもクレンツ印!」みたいなお約束の楽しみなのです(笑)。
そういう意味で、今回はクレンツ節が効いていて彼女らしく読者を喰ったようなスマートさで、オチもなかなか。
「ああ、早くクレンツ新作読みたいな♪」と思わせてくれました1冊です(^^)

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