ISBN:4596813604 新書 山田 沙羅 ハーレクイン ¥700

20日刊、36HR新刊読了〜。
いまやLSの看板作家となったビバリー・バートンの初期作品となります。
さすがですな。大きくジャンプして、思った場所に着地して下さいました、って印象です(笑)。

今回は、前回までメイン街道をひた走りにしていたのとは一線を画しておりました。
主役はグランドスプリングに新しく会社の支社を作る事になった実業家ジェイリッド・モンゴメリと、昔から街に住むペイジ。
あの嵐の夜にエレベーターに閉じ込められ、衝動的に体を重ねてしまい、そして別れた二人が・・・上司と秘書として再会するという、しかも妊娠しちゃったぞ、なお約束のお話(^^ゞ

この二人、一目見た時からお互い惹かれあうんだけど・・・ヒーローのジェイリッド、これがまたお約束に家族から愛情を与えられず、金持ちすぎて過去にイタイ目にあっているという設定が(^^;;
「このおバカっ。おバカなんだからっっ」と言いながらサクサク読めるんですな・・・お約束設定でも、作者が細かいところに上手に肉付けしただけで勢いが出る。
実際、このヒーローはヒロインであるペイジに向かって、結婚を申し込む時ですら、結婚は家柄のつりあいによる取引のようなもので、そういう意味では彼女とのことは事故だった、と言わんばかりの発言を繰り返す。
本当〜に、彼女の事を熱烈に欲しながらも自分の気持ちに気付かず、そんなヌケた戯言を口走るおバカさんなのである(笑)。
そんな彼に、彼女は負けてない。
妊娠してようが、彼を愛してようが、自分というものを捨てたりはしない。
プロポーズを最初はしっかり断り、受けた時でも「彼に愛する事を教えられるなら」と賭けのような心境を吐露する。
そういう、自分の足で立っているペイジがこの話を、ドアマット(爆)なものにせずにいてくれた。

お金ばっかり持ってて頭でっかち。
人の言う事は聞かないし、自分のやりたいようにやっちゃってきたので、そんな調子で振舞うし。
妊娠しているペイジは、おなかの中の赤ん坊だけでなく、そんな大きな駄々っ子を一から育てているようなもんで(^^;
ここも「うまいっ!」と思ったのだが、お決まりに生まれてくる子は息子じゃ〜、跡継ぎじゃ〜っっ、と言ってたくせに、検査で女の子だと分かった瞬間に、ママそっくりの赤毛にフリルいっぱいのワンピース姿で「パパ♪」と抱きついてくるちっちゃな女の子を勝手に妄想し、腰砕けになっているあたり・・・アホかわいいじゃないか・・・と、思わずペイジがその駄々っ子っぷりを調教育成したくなる気持ち(笑)を、二行程度で読者にまで味合わせる。天晴れである。

そういう意味では、ロマンスが前面に出てるけど、孤独だったヒーローの人生やりなおし物とも言えなくもない。
ラスト近くは母体と赤ん坊どちらも危なくなるという、これまたお約束の展開なのだがそこすら読ませてくれました。
余談ですが、ここでやっとメインの物語とリンクが出てくるのよね。
ペイジを担当したのは、あの産科医のペトロセリくんでした(^^ゞ
あ、あと前作のヒーローと4冊目のヒーローがこじつけ捜査(爆)にやってきたか←つまりはこの程度でしかリンクしてないのね。今回の作品は。

・・・気になったんだけど、「ペトロセリ医師とその家族」としかエピローグの結婚式参加には書いてないが、この時点で結婚しているんだから、以前の作品のヒロインの名前ぐらい出してやれよ〜、とか思った。
他の作品ではそういう時間軸、割に気にしているのか書いてるんだけどなぁ・・・(^^ゞ

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