ISBN:4596120986 新書 苅谷 京子 ハーレクイン 2006/03 ¥672

20日刊で店頭購入したのは2冊。
ス○の可能性が高い方を先に読むのが無難・・・とばかりに、このジュリア・ジェイムズの作品を読了〜。

・・・いや〜、予想に違わぬどうしたらいいのか分からない1冊でした(爆)。

とにかく、このヒーロー・・・ス○ーカー?(^^;
そうとしか思えなかったわ、前半。その上、ヒロインの不意の一言でトラウマスイッチ(ドロロ兵長←by『ケロロ軍曹』。爆)が勝手に入ってキレて暴走するんだから勘弁して下さい(~_~;
金にあかしてひどい事をしておきながら、この男の悲惨な過去を免罪符に「全てを許せ!」と言わんばかりの話の展開とオチには、重いため息しか出ず。

対するヒロイン・・・これがまたイケ好かない女でした(毒舌。爆)。
以前していた婚約が破綻し、「冷血で不感症な女」と噂されるというパターンはよくあるのですが、この女の場合、婚約してた男を愛してたというより、その男の住んでた家とそこにある美術品管理が目的という「・・・」な理由としか思えなくて(~_~;
そんなものは破綻して当然なのに、どうも自分が被害者的思考が頭の隅っこにある様子が伺える。おいおい、である。
こんな女だから、実の兄が家業の銀行業務がうまくいかずノイローゼ寸前まで追い込まれているのに、「風邪だ」とかいう、妹を思う兄の子供じみた嘘を自分本位にあっさり鵜呑みにし、家業の心配すらせず、その家業の利益からあがる金で、自腹切り三昧の美術研究なんかに没頭しているのだ(しかも最後にゃ、それだけ没頭していた己の仕事を「どうでもいい事」と自ら斬り飛ばし、途中で丸投げしたというとんでもなさ。殴)。

ラストの、いきなり海外の孤児施設でボランティアに身を投じるというトンチンカンな行動もナニだが、そこで自分が愛人生活を送っていた際にアジア各地の高級ホテルやリゾートでハンストしていた時の高級料理を思い出して、あんな金があるならこの子らに・・・みたいに回想している場面は目が点。
いや、アンタが己の自尊心かわいさに勝手にハンストしただけでしょーが?!
せっかくコックさん達が苦労して作ってくれたものを殆ど食わずに生ゴミ送りにした自分の行為は都合よく脳内削除と見受けたぞ!(笑)
そして、その施設が偶然にもヒーローが育った施設だったという安直な展開にはもはや絶句。
ボロボロになったヒーローが、彼女を追い求めて何ヶ月も世界中を探しまくり、見つからず憔悴して里帰り・・・とかいうならともかく、何となく里帰りしたらそこにヒロインが鎮座。余りに安直でトコロテン方式。
これじゃ、男が謝り足りないのも当然である。

「借金のカタに愛人」というRの伝統芸能的パターン(爆)も、この本に関しては空回り。
第一、兄ちゃんは家業の銀行は売却してがっていて、とにかく先祖代々の屋敷も抵当に入れてしまったという負い目が何よりも精神的負担になっていたのは妹である彼女も知っていた(そもそも、この妹、兄ちゃんよりも何十倍も、家業なんか二の次、それよりも屋敷と美術品のが大事という姿勢を最初から崩していない女だ。爆)。
んじゃ、そこを取り除けばいいではないか。
そこでラストに向かうところで登場する「己の自尊心を欠片でも取り戻す為にヒーローに小切手をたたきつける」行為がキーとなってくる。
いや、その行為そのものは読んでる方も面白いんだろうが、問題はその金額である。

100万ポンドである。

日本円に換算すると、約2億500万円という計算になる。
そんな金を、この女は土壇場でかき集めてきたのである!!
かき集める、ってそんな桁の金額じゃありえねー!!
そんな金あるなら、最初からお前、その金を兄ちゃんに渡せ!!!
もしくは兄ちゃんの面目を保つ為に誰かに代理に立ててお前が屋敷を買え!!!

昨年のス○ランキングで滅多切りにした『裏切りのスペイン』の借金金額(7千ユーロ→日本円に換算すると98万円ちょい。この程度の金額でマフィアに又借りだ、とかヒーローがこの世の終わりのような反応をした!だと大騒ぎするのだ。大金持ちのヒーローがこの金額を渡して大袈裟に反応しているのが非常に居心地悪い。彼女に貢いだドレス一枚のが高そうなのに。失笑)といい、この作家に完全に欠如しているもの・・・それは現実味のある金銭レートである。
こんな金額を推敲校正で叩き落とさずあっさり通した担当編集共々、末期である・・・脱力した読者はことのさんだけではない筈だ!!

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