炎と花

2005年9月18日 新刊レビュー
ISBN:4789726703 文庫 野口 百合子 ソニー・マガジンズ 2005/09 ¥798

思い出の1冊が新訳で登場しました。
二度読んでみて、こんなに新訳になっている部分がわかる程に「旧訳版」を読んで読んで読み込んでいたんだなぁ、というのが分かった。

当時、ことのさんはHQを読み始めた頃だった。
その頃には、HQ社からはヒストリカルが毎月翻訳されるとかいう状況ではなく数年に一回、クリスマスの時期にプレゼンツとして出ている状況で、ヒストリカルはサンリオ社とJMOから翻訳されていた。
つまり、余り馴染みないジャンルだった。

もっとも、他にも趣味があったのでHQ代にそんなにお金がかけられるわけでもない貧乏新米社会人、今と比べると本当に店頭であらすじを吟味して買っていたように思う(だから、ことのさんのお気に入り蔵書はこの頃に買った本が多い。クオリティ高い人気作家が現役で毎月高レベルな新刊を書いていた天国のような時代だった)。
そんな中、HQの吟味した新刊本と共に毎月25日に買っていたのがサンリオ社から出ていたバーバラ・カートランドロマンスです。

ある時、本屋に行くといつも新刊ピンク本が置いてあるところに見慣れないぶ厚い本が2冊、鎮座していた。
今のようにインターネットもなく、大型古本屋チェーンが恐ろしい程に乱立していてロマンス古書が手軽に目につく時代じゃない(実際古本の為によく電車にゴトゴト揺られて隣県とかまで行った事もある。電話帳で住所とか調べてね)。
ただ、目の前にある「新刊」だけがある頃に、その作家の名前を初めて見た。

「キャサリーン・ウッディウィス?こんな作家さん、いるんだ」

同じモダンロマンスの作家でも、ジャネット・デイリーは当時既に集○社や新○社から翻訳されていたし、HQからも昔の作品が再版されていたので名前は知っていた。
でも、この人の名は知らなかった。だから、いつもの通り、あらすじを読んで最初の数ページを読んでみた。
・・・読むのが止まらない。面白くて止まらなかった。
その『冬のバラ』という、サンリオ・クラシックロマンスで再版されたという本が欲しくてたまらなくなった。
観たかった映画とかもあったけど、どうしても最後まで読んでみたくて、1000円近いぶ厚い新書を上下買ったのが彼女の作品との出会い。

それから、ずっと本屋さんを張り込みする日々が続いた。
ピンク本の後ろの広告に「キャサリーン・ウッディウィス」の新刊が載るたびに本屋さんに駆け込んだ。
そんな中で、彼女の作家デビュー作にあたる、今回新訳で甦った『炎と花』がことのさんにとって何故か特別な本という位置をしめる事になった。

はっきり言って、他の翻訳されていた作品と比べると最初の作品なのでつたないと他のファンの方には言われるでしょう。
キャラクター達も、他の作品と比べると洗練度は低めでしょう。
物語のプロット自体も、シンデレラものと言われればそれまででしょう(最初のヘザーのいじめられっぷりなどまさにシンデレラ状態ですから)。

でも、その素朴さ、あの独立後そんなにたってないアメリカの描写、何より理屈抜きにただただヘザーとブランドンの二人が、脇役さん達の全てが(ええ、悪役まで。爆)大好きで、買った当時は毎日毎日毎日毎日三時間睡眠ぐらいまで極限状態になってまで読み返していました(他にも読む本があるし、それらを読んで一番最後にこれを取り出してきて途中でやめられなくて、を毎日やっていた。アホである)。
この「理屈抜き」の前には何者も敵わない。だって、本人にもよく分かってないんだもん(^^ゞ

他のウッディウィス作品も大好きで読み返す方なんだけど、他の作品は割に「どこが好き」「どこがちょっと苦手かも」とか冷静に分析出来るんだけど、本当にこの『炎と花』だけはいまだよく分からない。
分からないから、何度も何度も読んでしまう・・・パブロフ?(^^ゞ
そのパブロフは10数年たった今でさえ、たまに発病するっていうんだから重症である・・・。

でも、その分からなさを抱えていたのは、どうやらことのさんだけでは無かった模様。
何故なら、色んなウッディウィス作品あれど、スピンオフが、しかも2冊も出たのは後にも先にもこの『炎と花』だけ。
ブランの弟の伊達男ジェフ、ブランとヘザーの愛息子ボー。
もっとも、二人共、イギリス妻をもらうってとことか若っか〜い妻をもらうってとこまでブランと似ててそれがマンネリだ亜流だと叩かれている理由か?(笑)
それ言うなら、ボーなんて「船長」ってとこまで父ちゃんと同じじゃん(爆)

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