ISBN:4151716572 文庫 吉澤 康子 早川書房 2004/11/25 ¥1,050

出たばかりのローラ・リップマンのテス・モナハンシリーズの翻訳最新刊。
7冊目、この表紙を見てゲゲッとなった。

テスの髪が!!三つ編がないっ!!

そして読んでみたら・・・何と何と!!
ある依頼から、巧妙な犯罪の渦に巻き込まれるテスが、命の危険にさらされる際に犯人に髪を切られるの(泣)
とにかく、リップマンにはいつもやられてばかり。
まさか今回の本で、シリーズ1冊目のある事件の真相が明らかになるなんて誰が想像しようか?!
緻密に計算された犯罪ゲーム、しかし読み手は軽快なテンポにそれを重く感じる事なくページを進む。
天晴れである。ボルチモアの抱える矛盾を絡めた一級のミステリはリップマンゆえに書けるのか?
年末近くに、海外ミステリファンとしてすごい1冊をプレゼントされた気分です。
映画好きなカールのくだりは、ラストに本当にテスと一緒に泣いてしまった。

しかし、ヘビーな話にも関わらず、テス達は本の中を元気に駆け回ってくれました。
いやんっ。すっかり同棲モードなテスとクロウじゃないのっ♪
もうイチャイチャしちゃってこのっこのっっだわ(^^)
31歳のテスが無謀にも17歳のフリをする為に花柄のミニスカを・・・(笑)
クロウは相変わらずうりうりしたいぐらいカワイイし〜。
傑作はテスのママに送られた新製品モップがお気に入りで毎日テスの家の床をピッカピカにしているとこ(爆)。
あと自宅からテスに拳銃を配達することになった時に台所ふきんに包んできたり(爆)
ホイットニーも相変わらずはじけててステキだし。
やっと秘密にしていた昔の事件の真相を彼女にテスが打ち明けた時、また2人の間が元に、いや。それ以上になったのも見てとれる。
ワンコ2匹、エスケイとミアータはすっかりコンビと化していて楽しいし。

ラストシーンで、テスは愛するボルチモアから逃げようとする。
それでもクロウとホイットニー、エスケイとミアータはどこまでもテスについてこようとする。
自分と一緒にいたら危険だから大事な貴方達には離れていてほしいと思いつつ、見捨てられたくない、一人になりたくないと思うテスが読んでいて今まで以上に愛おしいと思った。

テスの新作は今年の夏にハードカバーで出たばかり。
あとがきを読む限りは、次のリップマンの翻訳作品は、昨年からはじまった新シリーズのようなムードだ。
テスやクロウ、エスケイ達に一刻も早く会うには・・・原書ハードカバーしか道はない(涙)。
しかし、あの『ラスト・プレイス』のラストを見たら、あの文庫帯を見たら、早く元気なテスの姿を見たいと思うのだ・・・。
欲しいかも・・・って、単語読みでもいいから、というワリにハードカバーは高いぞ。いくら円高といえど(^^;;

コメント